ChatGPTは子どもに悪影響か? 小5児童が読書感想文を書かせたケースも。親が知っておきたい注意点とは

2022年2月25日(金)11時24分 マイナビ子育て

ここ数年で、子どもを取り巻くデジタル環境は劇的に変化。私たち親世代は、子どものデジタル機器の付き合い方や、ITリテラシーの教え方にどう向き合ったらよいのでしょうか? ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーとして活躍し、自身も二児の母である鈴木朋子さんに教えてもらいます。

執筆者プロフィール 鈴木朋子さん ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザースマホやSNSなど、身近なITサービス全般に関する記事を執筆。なかでもSNSに関しては、コンシューマーからビジネスまで広く取材を行い、最新トレンドを知るジャーナリストとして定評がある。また、安全なIT活用をサポートするスマホ安全アドバイザーとして記事執筆や講演も行う。著書は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)、『インターネットサバイバル 全3巻』(日本図書センター)など。

ChatGPTってなに? 子どもは使える?

「ChatGPT(チャットジーピーティー)」ーー皆さんは聞いたことがありますか? 今、世界中で注目されている最新のテクノロジーを使ったサービスです。

もう少し詳しく説明しましょう。ChatGPTとは、対話形式でテキストを生成するAIチャットボットです。機械学習した大量のデータに基づき、新たなテキストや画像を作る生成系AI(Generative AI)のひとつです。アメリカのOpenAIが開発しました。

たとえば、夕飯の献立に迷ったとき、検索サイトでヒントを得るには「鶏肉 焼く」など、材料や調理法を入力して、検索された結果のURLをひとつずつクリックして決めていきますよね。

ChatGPTでは、「今日の夕飯は何にしようかな」「鶏肉を使いたい」などをチャットしていくと、夕食の献立は主食と副菜で構成するといいとか、メニューの例などを紹介してくれます。会話形式なので、紹介されたメニューに対して追加の質問もできます。

ほかには、旅行に行く際に観光スポットや旅程なども相談できます。ChatGPTに鎌倉への旅行について尋ねてみました。

ChatGPTが鎌倉の観光スポットや食べ物、旅程を回答してくれました

すらすらと美しい日本語で回答してくれるため、内容も正しいと思い込んでしまうのですが、実はChatGPTが生成するテキストは正しいとは限りません。たとえば上記の場合、実際に存在しないスポットが含まれています。「鎌倉市立博物館はない」と指摘すると、謝罪とともに実際に存在する別の場所を送ってきました。

このように、ChatGPTに生成されたテキストを信じてしまうと、誤っていることがあります。また、現在無償で使えるChatGPTは2021年9月までのデータを学習しているため、それ以降の情報を持っていません。

とはいえ、漠然とした悩みを相談したいときや、仕事のブレスト、文章の要約に使う、簡単なプログラムを書かせるなど、便利なシーンはたくさん考えられます。

ChatGPTを試してみたい人は、ChatGPTにアクセスし、アカウントを登録すると利用できます。アカウント登録に負担を感じる人は、LINEでChatGPTが使えるサービス「AIチャットくん」(picon)と「友だち」になると、LINEでChatGPTからの返答を見られます。無料で使える回数は1日5回までに制限されていますが、ChatGPTがどんなものかを知ることができます。

ChatGPTをLINEで使えるアカウント「AIチャットくん」

子どもがChatGPTを使いたいと言った場合の注意点

便利に使えるChatGPTですが、新たなITサービスが出てくると子どもへの教育面で不安を感じる人もいるでしょう。最近では小学5年生が読書感想文をChatGPTに書かせたというニュースが話題になり、教育現場の対応も迫られています。

すでに東京大学を始めとして、いくつかの大学がChatGPT利用についての見解を出しています。「チャットボットで作成した文章などをいっさい認めない」「授業によっては利用を一切禁止する」など、方針はそれぞれです。また、文部科学省も生成系AIについて学校現場での取り扱いを示す資料を作成する方針です。

とはいえ、我が子が通う学校や政府の方針が固まるまでには時間を要するかもしれません。家庭でお子さんのChatGPT利用について注意すべき点を3つ挙げてみます。

1.ChatGPTの利用は13歳以上

ChatGPTを運営するOpenAIは、利用規約や公式ブログで、利用年齢を「18歳以上(または保護者の承認を得た13歳以上)」と定めています。今後は年齢を検証するための機能も追加されるかもしれません。ChatGPTを始めとした生成系AIに触れることも教育面で大切な経験ですが、13歳以上の子どもが使いたいと言った場合には大人が一緒に利用するようにしましょう。

2.個人情報を入力しない

ChatGPTは、入力された情報をAIの改善に利用します。つまり、プライバシーに関する情報を入力すると収集される可能性があります。OpenAIは、個人情報を可能な限り削除すると公式ブログで述べていますが、念のため個人情報を入力することは避けておきましょう。

3.回答を信じすぎない

ChatGPTの回答は、以前に行われていたパターンに基づいて大規模なデータの中から単語を並べてテキストを生成しています。それは真実とは限りません。回答をうのみにせず、真偽については改めて検証し直すようにしましょう。

ChatGPTに子どもがChatGPTを使うことについて、教育面での影響を尋ねてみました。すると、「ChatGPTを使うことには、利点と欠点があります。子供たちがChatGPTを利用する際には、適切な指導や監視が必要であり、また、正確性や情報源の信頼性について常に疑問を持つことが大切です」との回答(一部抜粋)が得られました。もっともですね。

まとめ

テクノロジーの進化はとてもおもしろいものですが、ChatGPTを始めとした生成系AIはまだ始まったばかりの技術です。ChatGPTはテキストを生成しますが、画像を作るAIもあり、自撮りアプリなどでも活用され始めています。真偽を判断するリテラシー教育がますます必要になりそうです。

(文:鈴木朋子、編集:マイナビ子育て編集部)

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