【謎のドローン】乱舞する飛行物体の正体はトランプ大統領が知っている?
2025年2月26日(水)15時0分 大手小町(読売新聞)
いつのころからか耳にするようになった「気になる言葉」を、漫画家でコラムニストの辛酸なめ子さんが独特の切り口で読み解く夕刊「popstyle」の人気連載「辛酸なめ子のじわじわ時事ワード」。今回は【謎のドローン】(なぞ・の・どろーん)です。
このところアメリカのニュージャージー州やニューヨーク州などで謎の飛行物体の出現が相次いでいます。昨年11月中旬から頻繁に目撃され、目撃報告は5000件以上。夜間に派手に発光したり、連続で次々と飛んできたり、「乗用車ほどの大きさ」という目撃情報もあるなど、アピールが激しいです。首都ワシントン上空にも四つの発光物体が出現し、国の中枢に何らかのメッセージを送っているようにも感じられます。
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宇宙人が乗っていたら、観光客の誘致にもなりそうです。しかしそんなロマンある想像はすぐに否定されました。
国防総省(ペンタゴン)、国土安全保障省、連邦捜査局(FBI)、連邦航空局といった重要機関が異例の共同声明を発表。「合法的に飛行するドローンか、有人機や星の見間違い」という夢のない内容でした。金星を見間違えただけという見解もあったほか、「集団ヒステリー」説まで浮上。この火消しぶりに、かえって不自然さを感じるのは、勘ぐりすぎでしょうか。
トランプ氏は大統領就任前、この騒動についてSNSで「何が起きているのか今すぐ国民に知らせるべきだ。さもなければ撃ち落とせ!」と挑発。記者会見時にも「政府は何が起きているか知っています」と意味深なコメント。「何か奇妙なことが起こっているのに、何らかの理由で彼らは公表したくないのです」と言いながら、記者に「ドローンに関する情報のブリーフィングは受けましたか?」と聞かれたら「コメントしたくありません」と、口をつぐみました。トランプ氏こそ何か知っていそうです。大統領になったので、UFO情報を開示する約束をちゃんと果たしてほしいです。
1952年にも、首都上空に多数の未確認飛行物体が出現する「ワシントンUFO乱舞事件」が発生。ペンタゴンに問い合わせが殺到し、恐怖と不安が広がりました。その時出現した機体は、超高速で移動して進路を変えていたそうなので、こちらの方がそれらしいです。
今回のドローン騒動の裏側には、国民に恐怖やショックを与え、コントロールしようとする計画もあるのではと邪推してしまいます。UFO乱舞事件から70年ほどたった今、個人が情報を調べられるようになり、人々は前のように容易に信じたり、コントロールされたりしなくなっているのかもしれません。もし宇宙人が見ていたら、情報化社会で純粋でなくなった人類に一抹のさびしさを感じることでしょう。
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火薬を使った作品で知られる中国の世界的芸術家・蔡国強氏が、福建省の泉州湾上空で、花火と大量のドローンを使った作品を披露。しかしその日は風が強く、強風による電波の乱れで約600台ものドローンが次々に落下してしまいました。
時には未確認飛行物体を装い、人の心を操ることができるドローンですが、意外と風に弱かったようです。1台約21万円というドローンが次々と地面に落下して破損するという見るも無残な光景。やはり地球のドローンはまだ発展途上なので、宇宙人に高度な技術を伝授してもらいたいです。