毎日の生活の中の不便を解決する《発明品》。瓶オープナー、風呂場用靴型スリッパ…。当事者だからこその気づきを大切に

2025年3月9日(日)12時30分 婦人公論.jp


(画像:stock.adobe.com)

創刊以来、《女性の生き方研究》を積み重ねてきた『婦人公論』。この連載では、読者のみなさんへのアンケートを通して、今を生きる女性たちの本音にせまります。加齢とともに生じるさまざまな《不便》。今回は「どのような不便に悩まされているのか」についてリアルな声を集めました。

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「日常生活で不便に感じていること」調査結果はこちら

不自由さを感じるなら


今回、「日常生活で不便に感じていること」や「あったらいいなと思う器具・サービス」について回答をいただきました。そこで出てきた不自由、アイディアが発明品の開発に通じるかもしれません。


〈「生きるということは創作することである」という言葉のように、日常生活の中で何かを感じ、考え創るということは、人間にとってこの上ない喜びであると思います。

新製品を買って、充分使いこなすには、やはり頭を使います。また、それを自分に使い易く改造するのもよいでしょうし、別の用途を考えつくこともあるでしょう〉(1953年7月号)


戦後、発明協会や読売新聞社主催で、生活を豊かにする工夫、いわば「便利グッズ」のアイディアを募集した「女性発明展」。前述の一文は、第3回展で話題になった発明品を紹介した記事内の一節です。

記者によると、〈一日に何回も不自由さを感じる、生活用品についての発明が多かった〉といいます。

同号には「家庭用軽便高速手編機」で婦人経済連盟賞を受賞した丹生三千代さんの手記も掲載されました。丹生さんは7人の子どもを育てながら、食料調達のために農業を始め、毎日がてんてこ舞い。家事の合間に素早く編める道具が欲しいと考えたのだとか。

同じように、自分のアイディアを形にしたいという女性が多かったのでしょう。53年には、「日本婦人発明協会」(現・婦人発明家協会)が発足。特許化や商品化に関する勉強会を行ったり、発明コンクール「なるほど展」を主催したりするなど、女性発明家たちの交流の場となっていきます。


『婦人公論』1968年6月号

その機運を受け、『婦人公論』でも、「サイドビジネス情報 あなたも特許夫人になりませんか」(68年6月号)という記事が掲載されました。7人の主婦が登場し、半生を語るのですが、紆余曲折が面白いのです。

佐藤昌子さんは、実家の医院の手伝いをしていましたが、忙しい時に限って薬瓶のフタが開かず、そのたびにイライラ。ある日、ゴムで道具を作ったら滑らないのでは? と考えました。試行錯誤して出来上がったのが、「モンキーキャップ」という瓶オープナー。月に約10万個売れたと言います。


(写真:stock.adobe.com)

主婦発明家の気づき


風呂場で長靴の着脱のしにくさに着目した安井昌子さんは、靴下をはいたまま簡単に脱いだり履いたりできる、靴型のスリッパを考案。新聞で紹介され、月に1万足売れたそうです。安井さんが考える発明の極意とは?


〈不便だと思ったことは心にとめておき、三年ぐらいの間に何度か同じ不便だという状態にぶつかったら、具体的に考えるようにすると無理のないものができるんじゃないか〉



〈こんなものが受けるんじゃないか。これでひと儲けしようと思うと物にならない場合が多い。毎日の生活の中で不便だなと思っているものを、なんとかして解決しようとする積極的な姿勢が物を言う〉


現在、婦人発明家協会のウェブサイトでは、会長の福島りえこさんが、次のように綴っています。


〈作品に介護用品の占める割合が高くなっています。当事者だからこその気づきを大切にしてください〉


皆さんも、自らの不自由を解消するようなグッズを考えてみてはいかがでしょう?

次回は「今している、してみたい習い事は?」をご紹介します

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