“自分の人生を生きる”ことは、社会問題や世界平和へと繋がっている

2024年3月13日(水)16時0分 ソトコト


地方で働く女性、都心で働く女性、子育てをしながら働く女性、さまざまなライフスタイルを送る女性たちを取り上げ、女性の健康課題や社会課題について考える対談コンテンツ『フェムコト』。


今回対談させていただいたのは、ウェルビーイング事業を主軸とする企画会社M5(エムサンク) 代表の山﨑真理子さん。M5では“ホリスティック”がキーワードのプラットフォームや都心型リトリート施設を展開する『QUANTA』も運営しています。フランスで生まれ、雑誌編集者として10年以上のキャリアを積み辿り着いた、ホリスティックな生き方。これまでの経歴とともに、山﨑さんが考える「ウェルビーイング=喜びとともに生きること」についてお聞きしました。


ー山﨑さんの3つのルールー
RULE1. 現実世界は私たちの心の鏡として現象化されているという視点に立つ
RULE2. ひとりで過ごす「時間」と「空間」をもつ
RULE3. すべてのタイミングを尊重して“待つ”


〈Profile〉
M5代表/QUANTA創設者・山﨑真理子さん
やまさきまりこ●1978年、フランス生まれ。小学校は東京、中学・高校はパリで過ごす。1998年に帰国し、慶應義塾大学入学。卒業後、2002年アシェット婦人画報社 (現ハースト婦人画報社)に入社し、編集者として10年間在籍後に独立。2014年、株式会社M5(エムサンク)を設立し、2019年 『QUANTA』を創設。同年、クラニオセイクラル・バイオダイナミクス(頭蓋仙骨療法)や瞑想的手法を用いた対話型のヒーリングなどに出合い、プラクティショナーとしても学び始める。1児の母でもある。


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ホリスティックな生き方の人が増えていく時代に


フェムテックtv:山﨑さんはホリスティックな界隈では知られた存在で、経歴もとても興味深いです。本日は山﨑さん自身について、そしてウェルビーイングであることについてお話を伺いたいと思います。まずホリスティックとは何か、教えてください。


山﨑さん:ありがとうございます。ホリスティックは「全体性」を意味する「holos」というギリシャ語が語源です。世界保健機関(WHO)でも健康とは病ではないということではなく、肉体的にも精神的にも、そして社会的にもすべてが満たされた状態のことであると定義されています。ボディ(身体)・マインド(心)・スピリット(精神/魂)を全体的に捉えていく考え方。現在はM5としてホリスティックな在り方を伝える方たちのマネジメントやプロデュース業をしつつ、私自身もホリスティックな生き方を実践するプラクティショナーでもあります。どんな仕事に携わっていたとしても、同時に自身の心や身体をセルフケアする軸をもつこともできます。自分という存在に還り、それを自由に表現できる場として『QUANTA』という実験型プラットフォームを立ち上げました。


フェムテックtv:具体的な活動を紐解いていきたいのですが、もともと山﨑さんはどのような幼少期を過ごされていましたか?


山﨑さん:海外駐在の多い両親の元に生まれフランスで育ったことは、少なからず自己の形成に影響を及ぼしているかもしれません。多様な国や地域の集合意識に幼少期から触れてきたので、どの意識に対しても中庸なところがあるかもしれません。自然とそれぞれの意識を“観察”しながら育ってきたと思います。


「幼少期のパリでの家族写真。クリスチャン家系に育ったので生まれてすぐ現地の教会で幼児洗礼も受けています」

フェムテックtv:全体性を持ったモノの見方は、もしかしたらそのとき培われたのかもしれませんね。中学・高校とパリで過ごした後、日本で大学を卒業し、出版社に入社された経緯をお聞かせください。


山﨑さん:高校時代、パリコレなどで活動するファッションジャーナリストのような華やかな職業の人たちを身近で見て単純に憧れをもっていました。ただ言葉を扱う仕事で、このままパリにいて現地の人を魅了する言葉を紡げるかといったら外国人では難しいなと。とりあえず目標達成への最短ルートを考えたとき、日本の大学に進学することにしたんです。卒業後、出版社に入社しました。10〜20代は今のようなプロセス重視の軽やかさはなく、努力と根性が欠かせない修業の日々で、目標達成型な生き方をしていました。


フェムテックtv:社内においてさまざまな雑誌を経て、トータル10年間在籍。出版社勤務というと、相当ハードでしたよね。


「社会人として訪れたフランスでの撮影や取材では、子どもの頃とは違った視点や世界に触れることができ、意識のアップデートになりました」

山﨑さん:そういう時代だったと思うのですが、例に漏れずハードワーカーでした。毎日訪れる締め切りに追われるように過ごし、終わりのないレースのなかで謎の使命感だけで走り続け、まさに命を削って働いていた時期でした。


もっとも忙しいときは朝10時に帰宅し、1〜2時間だけ仮眠してまた出社。気づいたときには、不眠症になっていました。交感神経が優位になりすぎて眠いのに眠れない。頭がずっと回っているような状態に。それから食べても太れない。身長163cmで体重は30kg台にまで落ちました。頭痛もひどく、仕事でもケアレスミスが目立つように。今思えば過労死というものが身近にあったのだと感じますが、当時はそんなことにも気づかない精神状態でした。


「社会軸に生きることに疲れたとき、自分自身を取り戻す過程で友人が住むボラボラ島へ。現地のプリミティブなエネルギーに触れたことはかなり大きかったです」

フェムテックtv:同時期である2011年頃にフランス式メディカルアロマテラピーと出合われているんですよね。


山﨑さん:更年期など健康課題に関する取材を通し、以前から興味がありました。そこで休職中、心身ともに病んだ状態のなかメディカルアロマの専門家である日下部知世子さんのところへ相談に行ったんです。そしたら「とりあえずパーソナルトレーニングを受けてみたら?」とトレーナーの島田智史さんを紹介してもらい、筋トレをスタート。週2で続けたら1か月後には身体に変化が出て、次第にメンタルも回復していきました。


フェムテックtv:身体を強化することで心にも良い影響が出そうです。その後、会社を退職され独立。2013年には現在『QUANTA』のチームメンバーでもあるスピリチュアルカウンセラーのyujiさんに出会われたんですよね。


山﨑さん:そもそも私は“スピリチュアル”と括られるものに対して大きな偏見をもっていました。女性誌の巻末によく「今月のホロスコープ」というページがありますが、その編集担当を振られたくなくて、“興味ないです”オーラを全開にしていたくらいです(笑)。それがyujiさんと出会って180度変わりました。誰から知るのか。そのことが何より大事なんだと改めて感じた瞬間でした。価値観や世界観、そしてバイブスに共振できるか。yujiさんは面白いし、信頼できると直感的に感じて、私のなかの目に見えない世界への偏見が一気になくなっていきました。


「独立して初めての仕事がモロッコ&ドバイ(アラブ首長国連邦)での撮影で、そのまま延泊して友人とモロッコ全土を旅しました。会社員ではできなかった働き方のスタートです」

敬虔なクリスチャン家系で育ち、また中学・高校時代に哲学を専攻していたこともあり、宗教や哲学などの精神世界、“目に見えないもの”について考えることが昔から好きでした。宇宙に生きる生命体として目に見えない世界と繋がっていることはとても自然なことなのに、“スピリチュアル=いかがわしい”というレッテルを貼っていた私のなかでの偏見がなくなり、その頃から精神や神秘世界の文献などを新たな視点で読み始めました。


「独立後、バリのウブドやハワイには導かれるように年に1回は訪れていました。それら土地の浄化や癒しのエネルギーを必要としていたのは私自身でした」

強みと弱みは表裏一体。浄化と癒しが深まったコロナ禍


フェムテックtv:文献などを読み進め、また各種施術のプラクティショナーとして学びを深めるなかで、自身の生き方に変化はありましたか?


山﨑さん:私には自分の人生を幸せにする責任があるのに、それを後回しにしていたことに気づきました。自分に制限をかけているのは、いつだって自分自身。自分の本音を知ることは、見ないふりをしてきた違和感や自身の陰の側面に触れることもあるけれど、それらを認めて受容することで初めて癒しを得られることを知りました。


「『QUANTA』では、yujiさんやアーユルヴェーダ専門家のMOTOKOさんらと共に定期的に全国でリトリートプログラムを提供しています。私自身、プラクティショナーとしてエネルギーワークのセッションに加わることも」

フェムテックtv:山﨑さんご自身はどんなことに向き合ったのでしょうか?


山﨑さん:いちばん大きかったのは、母との共依存です。30代になり、子宮頸がんの検診で高リスク型としてよく引っかかるようになりました。けれど定期的に婦人科検診をしても、特に異常はない。にもかかわらず、意識が飛びそうになるほど大量の不正出血が続いたこともありました。都内の大学病院で検査しても原因はわからずでした。また自分へ還るというプロセスを始めると、その頃から顔や腕、首などが腫れ上がり、皮膚の炎症が一気に悪化していきました。


それからキネシオロジー(運動機能学)や瞑想的手法を用いたヒーリングのセッションなどに出会い、自分のインナーチャイルド(幼少期のときの自分)の声を聞くことも。子宮の出血が抱えている根本のテーマは「母性」であるとわかり、人間関係、健康、豊かさなど、自分の幸せに関連するテーマすべてに3年ほどかけて向き合うことになりました。その一連のプロセスのなかで完全に母との共依存から解放されると、不思議とこれまでの不調がなくなったんです。


日々の出来事や健康に苦しんでいる人がいるのだとしたら、この“目に見えない領域を調律する”という経験や手法を伝えたいと強く思うようになりました。私自身が自分の人生を生きるようになると、母も自分の人生を生きるようになりました。また家族以外も共振するように影響を受けて、近しい人たちがみんな自分の人生を歩み出すんです。ひとりの決意や自立が、本当は社会をも揺るがす力をもつのだと体感しました。そのためにも自分のことを幸せにする覚悟をもつ。内なる問題を解決することが、社会問題や世界平和へ繋がっていくと感じています。


風の時代は“自分のことは自分で責任をもつ”のが重要


フェムテックtv:子育てについてもお聞きしたいです。山﨑さんは1児の母としてお子さんを育てられていますよね。


山﨑さん:娘は小学2年生ですが、学校にはほとんど行っていません。その道を選んだのは本人の意思ですが、一度決めたからといってずっと同じ道を進む必要もないので、できるだけ本人の気持ちに耳を傾け、なるべく彼女の世界が広がることに協力できたらいいなと感じています。何事も「タイミングを待つ」というのは大事だな、と子育て以外でもよく感じています。


「昨年のお正月には、沖縄の竹富島へ娘と娘の友だちと遊びに行きました。子どもたちは魂レベルでは大先輩。いつも気づきをもらっています」

フェムテックtv:子どもが不登校で悩んでいる親も多いかと思います。


山﨑さん:“不登校であることがバレるのが嫌で、平日の日中は子どもと外を歩けない”という方もいるようですね。学校へ行かないことは恥ずかしいことでも何でもないですし、大人としては勇気のいる選択をした子どもを応援する立場でいたいです。私は子どもがやりたいようにやるのがいちばんだし、それを大人が自分の経験値の上だけで判断したり、邪魔しなければいいんじゃないかなと思っています。


フェムテックtv:子どもも大人も自分に素直であることは、すごく大事なことだと思いました。


「世界最高峰のウェルビーイング施設ということで、視察も兼ねてタイのホアヒンにある『チバソム』を訪ねました」 

山﨑さん:心に素直になると、キラキラと若返ります。ひとりが若返ると、その周囲で“集団若返り現象”が起こるんですよ。面白いですよね(笑)。それと同時に、ひとりひとりの個性が際立つ。「本当はこういう素質だったよね」という本来の部分が出てくるんです。そうじゃなかったときは、没個性。どこにでもいそうな人。“自分に戻る”ことで、その人の名前や存在感は驚くほど際立ってくるんです。


フェムテックtv:自分らしく個性を際立たせれば若返るなんて素晴らしい世界線ですね。でも、簡単なようで実は「自分らしくある」って難しかったりしますよね。


山﨑さん:だから私は、通称“魂のジム”とも呼ばれる都心型リトリート施設『QUANTA』の拠点を世界中につくりたいと思っています。こういう活動をしていると、国境に関係なく、言語は通じなくても、話が通じる感覚があるんですよね。その感覚やバイブスで繋がれる広がりを、もっと増やしていけたらと思います。今は風の時代。自分のことに責任をもつ、自立が重要です。それこそ自分に還るというプロセスは、誰かに代わってもらうことも、外注することもできない。自分で気づいていくしか道はないのです。


「QUANTAの神宮前の拠点では、年間を通じて行われるリトリートプログラムをはじめ、エネルギーワークやイヤーコーニング、筋トレなど、さまざまな催しを企画しています」詳細はこちら https://holos.quanta.tokyo

フェムテックtv:風の時代を生き抜くための重要なキーワードですね。最後に、山﨑さんにとってのウェルビーイングな社会をお聞かせください。


山﨑さん:自分の魂の望みに気づき、喜びとともに生きている。そういう人たちで成り立っている社会だと思います。


Photo:Mie Nishigori




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