「25年通った美容院の店主に、言えなかった『当分行けません』。癌治療をはじめウィッグになった私は...」(東京都・50代女性)

2022年3月17日(木)11時0分 Jタウンネット

髪を切ってもらう時、自分の髪質や似合う髪型を熟知してくれている美容師や理容師がいるというのは、とても心強い。

長年同じ人にお世話になっている、という読者も少なくないのではなかろうか。

東京都在住のJタウンネット読者・Aさん(50代女性)も、25歳のころから25年間、同じ美容院に行っていた。

かつて、硬いクセ毛でどの美容院に行っても思い通りにならずに悩んでいた彼女は、姉から「カットが上手いマスター」がいると紹介されたその美容院に2か月に1度のペースで通い続けたという。

しかし50歳のとき、がんが見つかり抗がん剤治療を受けることになった。

髪の毛が抜けて、しばらく店には行けなくなる。そう思った彼女は治療が始まる数日前にも美容院を訪れたが、マスターにそのことを告げることができず......。

いい話を聞かせてくれるオシャレなマスターだった

私の髪の毛は硬くて、クセ毛でカットがしにくい。その上、量も多くて、パーマがかかりにくい美容師泣かせなものでした。だから、どこの美容院に行っても思った通りにならず悩んでいました。

「カットが上手いマスターがいるよ」と、姉が行きつけの美容院を勧めてくれたのは、私が25歳のとき。

地下鉄丸の内線・新中野駅の鍋屋横丁にある店で、私は2か月に1度のペースでそこに通うようになりました。

マスターはおしゃれな人で、「来てくれると、不思議にその日はお客様が多くなるよ」なんて言ってくれて、私はずっとこのお店に通い続けるのだと思っていました。

でも50歳のとき、癌が見つかったのです。私は、抗がん剤治療を受けることになりました。

始めたら髪の毛は抜けていき、当分美容院には行けません。だから、その前に私は美容院へ向かいました。

偶然にもお客は私だけ。いつものようにカットされている間、いつ病気の話をマスターにしようかとそればかり考えていました。

でも、告知をされて間もなかった私は結局、切り出すことができなかったのです。

マスターへのはがきが届かない

「今は抗がん剤治療中で美容院には行けないけれど、治療が終わって髪の毛が生えてきたら、いろいろ相談にのってください。カットして頂く日を楽しみにしています」

治療が始まりウィッグ生活となった頃、私はマスターにそんなハガキを書きました。

でも、そのハガキは何度出しても届きません。

ちょうどその頃、他県に嫁いでいた姉が実家に来ていたので、電話でその話を伝えると、姉が美容院まで私の話をしに行ってくれました。

そして、わかったんです。美容院はもう、なくなっていました。

姉が隣の店から聞いてくれた話では、契約更新月となり店を閉めたそうです。

闘病中の私はガックリと崩れました。病気のことを話せないまま美容院に行けず、25年カットし続けてくれた感謝の気持ちも伝えられず、残念な別れになってしまいました。

この場をお借りしてお礼がいいたいです。本当にありがとうございました。

私はといえば、抗がん剤治療のおかげで癌をやっつけられ、1年をかけて生え揃った髪は、それまでとは違う天然パーマのような髪質になってしまいました。

新しい美容院を探すのは大変でしたが、現在は髪の毛も無事に落ち着き仕事にも復帰しています。

ゴルフ好きなマスター、今頃奥様とも楽しく過ごせていたら嬉しいです。

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!

名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。

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