船員になる誇りを胸に - 宮古海上技術短期大学校で卒業式

2024年3月18日(月)11時51分 マイナビニュース

国立宮古海上技術短期大学校(岩手県宮古市)は3月14日、15期生の卒業式を行った。学校で1年3か月の座学と実習、大型練習船で9か月間の航海訓練を経験した40名の学生たち。船員となる誇りを胸に、晴れやかな表情で母校を巣立っていった。
○■新たな門出を祝福して
岩手県の三陸海岸に面する宮古市。リアス式海岸の特徴でもある細長く入り組んだ宮古湾の沿岸に、宮古海上技術短期大学校はある。操船シミュレータなどの施設・設備が充実し、また航海士や機関士の経験を積んだ教員が揃うなど、船員を育成する環境が整っている同校。その歴史は古く、昭和15年に宮古海員養成所として開設されたのがはじまりだという。
今年の卒業式は、保護者、来賓を招いて行われた。関係者は「コロナ禍が明けたことで、ここまで大々的な卒業式を実施できました。実に5年ぶりのことです」と安堵する。
卒業式にのぞんだのは40名の学生たち。鈴木昭広校長から、それぞれに卒業証書が授与された。また数名の成績優秀者には、賞状と商品も授与された。
続いて鈴木校長から祝辞。その冒頭、創立84年の伝統ある同校では4,902人の卒業生を海運業界に輩出してきた(今年の15期生を含む)と紹介する。続けて「四方を海に囲まれた日本では、古くから内航海運事業により発展してきました」「その重要性は、近年、さらに増しています」とあらためて強調。
卒業生が入学した2年前を振り返ると「コロナ禍で学校行事が制限されるなかでしたが、皆さんはひるまずに仲間と切磋琢磨し、船の学習、寮生活などに取り組んできました。船員に必要な知識と技術を学びながら、人間としても大きく成長しましたね」と讃える。
船会社に就職の決まっている学生に向けては「時間を大切にすること」「向上心を忘れないこと」「自分を信じること」の3つの心構えを伝授。最後は「卒業生としての誇りを胸に、これからも後輩たちのよき道標として、人生という大海原の航海に挑んでください」と結んだ。
日本内航海運組合総連合会の栗林宏????会長からは「皆様はこれからの人生において、様々な荒波を経験することと思いますが、在学中に習得した知識・特技を生かし、失敗を恐れずにシーマンとして大いに活躍されることを期待しております」という祝電が寄せられた。このほか宮古市長の山本正德氏、海技教育機構 理事長の田島哲明氏らの祝電も紹介した。
送辞として、在校生代表からは「皆さんが全力で過ごした2年間の学校生活の記憶のなかに、私たち後輩と過ごした時間も思い出として含まれていたら、何より嬉しく思います。先輩たちの背中から、多くの人ことを学ばせていただきました」と心からの祝福の言葉。
これに対し、答辞を務めた卒業生代表の深渡さんは「新たな人生の門出を前にして大きな希望を抱くとともに、いま、どこか寂しさも感じています」と素直な胸のうちを明かす。
普通科の高校を卒業してから同校に入学した深渡さんは当初、授業についていくのもやっとだったという。「そんな自分にも教官は丁寧に、船舶の知識や技術をイチから教えてくれました。生活面においても私たち1人ひとりに真正面から向き合ってくれました。ときには厳しく、ときには優しくご指導いただいたことで、船員としての立ち居振る舞いを身につけることができました」。
将来に向けては「今後、思わず逃げ出したくなるような困難にぶつかったときも、仲間と励まし合って乗り越えたこれまでの経験を生かしていきます。これから始まる長い航海には、大しけのときもあるかも知れませんが、困難に陥ったときこそ本校の2年間で学んだことを糧にして頑張ります」と言葉に力を込めた。
最後は、校舎の外で恒例の”帽子投げ”が行われた。まずは、卒業生代表が在校生、教官に向けて感謝の挨拶。そのあとで『ごきげんよう』の掛け声にあわせて皆で空高く帽子を投げ、お互いの門出を祝った。
近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら

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