「今年も國學院大はやるよ」実業団vs.大学のエキスポ駅伝で國學院大が学生トップの3位、帝京大が4位、駒大が6位

2025年3月24日(月)6時0分 JBpress

(スポーツライター:酒井 政人)


「今年も國學院大はやるよ」

 トヨタ自動車と富士通がワン・ツーを飾ったエキスポ駅伝(大阪・関西万博開催記念 ACN EXPO EKIDEN 2025)。史上初となる実業団 vs.大学の戦いは前者が完勝したかたちになった。では大学勢はどんな戦いを見せたのか。

 今年度の出雲と全日本を制した國學院大が大学勢トップの3位に入ると、帝京大が4位と大健闘。三大駅伝すべて2位の駒大は6位、箱根駅伝を連覇した青学大は7位に終わった。

 國學院大は当初、「4年生を入れて実業団に勝ちたいと思っていた」が、足並みが揃わず、「それなら新チームのキックオフをやろう」と三大駅伝未経験の1年生トリオを含む3年生以下のメンバーで臨むことになった。

「4年生を含めて、12人エントリーしたんですけど5人ぐらいが故障して、7分の7で勝負するようなかたちになったんです。実業団を倒す気概がなかったわけではありませんが、プライドを持って戦った実業団は強かった。ちょっと差を感じましたね。そのなかで選手たちは力を出してくれて、『今年も國學院大はやるよ』というのは見せられたと思います」(前田康弘監督)

 なかでも収穫となったのが1年生の活躍だ。2区の尾熊迅斗が区間2位、4区の飯國新太が区間7位、6区の浅野結太が区間6位。それから最長3区を新主将となる上原琉翔(3年)が区間2位、後半のロング区間の5区を野中恒亨(2年)が区間2位と快走した。

「箱根はまた別ですけど、今回駅伝デビューした1年生3人は出雲と全日本の戦力になるのがわかりました。上原は一回引っ込み、後半勝負してクレバーでしたね。5区野中も良かった。これでエースの目途は立ったと思います。箱根で青学大と駒大にやられたので、今回は勝つつもりで来ました。出雲、全日本、宮古島、エキスポ。裏4冠ですね(笑)。あとは箱根だけ。山との向き合い方を含めて、新年度は箱根を勝ちにいくチームを作ろうと思っています」(前田監督)


大学トップを目指した駒大は6位

 箱根駅伝で2位に入り、國學院大に先着した駒大。1区の伊藤蒼唯(3年)がトヨタ自動車・吉居大和と4秒差の2位で好スタートを切ると、3区の山川拓馬(3年)が区間5位、5区の桑田駿介(1年)も区間3位と好走した。

 しかし、2区の吉本真啓(4年)が区間8位、4区の白井恒成(2年)が区間12位、6区の工藤信太朗(2年)が区間12位と“つなぎ区間”で失速。2区で4位に転落すると、終盤区間でも順位を落として、大学勢では國學院大、帝京大に次ぐ6位でフィニッシュした。この結果に藤田敦史監督は渋い表情だった。

「主要区間の1区、3区、5区は戦えたところがあったんですけど、いわゆるつなぎですよね。2区、4区、6区で取りこぼしがあった。特に2区は流れを断ち切ってしまい、そういうところが弱さかなと思います。一方で帝京大はつなぎ区間であげてきた。それが駅伝の強さだと思うので、我々も上の選手だけではなく、それ以外の選手をしっかり強化するべきだと感じましたね」

 今回、吉本以外は3年生以下のメンバーで出場。エース佐藤圭汰(3年)は米国・アルバカーキの合宿中で、箱根駅伝で活躍した帰山侑大(3年)と村上響(2年)は大会同日に開催されたニューヨークシティハーフマラソンに出場していた。

 ベストオーダーを組むのが難しい状況ではあったが、「このメンバーでも大学では一番を取りたかったですね。圭汰は米国の方で順調に練習をしていますが、彼に頼ってしまってはいけない」と藤田監督はチームの底上げを課題に挙げた。


ジャイアントキリングを起こした帝京大

 今大会、ジャイアントキリングを成し遂げたのが帝京大だ。今年度の学生駅伝は出雲8位、全日本8位、箱根10位。今回は3年生以下で臨み、大学勢では國學院大に次ぐ4位に入り、入賞(5位まで)を勝ち取った。

「全日本大学駅伝の上3つとなる城西大、立大、早大はオーダーを見たときに勝てるかなと思っていました。でも勝負は時の運だと思いますよ」と中野孝行監督。4位入賞という結果に対して、不敵な笑みを浮かべた。

 1区の小林咲冴(1年)が8位で発進すると、2年生トリオが素晴らしかった。4区の原悠太が区間5位、6区の柚岡由浩が区間2位、最終7区の浅岡侑大が区間2位。いずれも学生トップを奪っている。

 柚岡は出雲4区8位、全日本6区4位、箱根5区14位と今年度の学生駅伝を経験しているが、原と浅岡は“新戦力”といえる選手たちだ。

「当初は原と楠岡を逆にしようかと思ったんですけど、原は練習ができていたので、(外国人選手のいる区間を)経験させたかったんですよ。アンカーの浅岡は1週間前に立川シティハーフマラソン(1時間02分29秒で2位)に出場しているんですけど、8kmほどなら走れると思って起用しました。本当によく頑張ってくれましたし、全力で向かった結果だと思います」

 ちなみに帝京大の三大駅伝最高順位は4位。今回はそれを上回ったかたちになるが、「たまたま当たっただけで、取り組みはそんなに変えていないですよ」と中野監督。その一方で、「やっていることは間違いないと感じました。でも来月から新年度なので、これで終わりです。今回の結果は引きずりません。いつまでもあるものだと思ったらダメなので、積み重ねていき、どんどん上に行きたい。期待は周りがするわけで、我々は箱根駅伝と全日本大学駅伝のシード権をしっかりと掴んでいきたいと思っています」と冷静に話した。

 中野監督に浮かれた様子はまったくなく、来年度の帝京大は非常に不気味な存在だ。

筆者:酒井 政人

JBpress

「大学」をもっと詳しく

「大学」のニュース

「大学」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ