品数多くても栄養不足に?管理栄養士が教える、健康長寿のための食事とは。砂糖は白より黒、みそは長期熟成タイプを【2024年下半期ベスト】

2025年3月26日(水)10時0分 婦人公論.jp


(写真:stock.adobe.com)

2024年下半期(7月〜12月)に配信したものから、いま読み直したい「ベスト記事」をお届けします。(初公開日:2024年11月24日)
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食事の品数は豊富でも、体に必要な栄養素が摂れていない人は思いのほか多い、と話すのは管理栄養士の関口絢子さん。健康長寿の分かれ道となる、食事のコツを紹介します(構成=山田真理)

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毎食同じ作り置きが並ぶ食卓


私は管理栄養士、料理研究家として、腸内環境や血流の改善、アンチエイジングなど、健康効果が期待できるレシピをユーチューブで紹介しています。

私たちの体は食べたもので作られているため、食材の選び方や食べる順番によって老化を加速させてしまうことも、ゆるやかにすることもできる。「食」は、長い人生を若々しく過ごしていくためのカギなのです。

ところが、ある食品会社が行った食生活調査で気になる結果が出ました。内容は、幅広い年代の人に朝昼晩3食を3日分、写真に撮ってもらうというもの。

その中でシニア世代の食卓を見てみると、品数は多いのに、毎食同じ作り置きのキンピラや漬物などが並んでいる。また、肉類などのタンパク質が少ない、使っている野菜の種類が限られているなど、「ちゃんと食べているようで、実は栄養が偏っている人」が多くいらっしゃったのです。

心身を健康に、若々しく保つには、約50種類ある必須栄養素をバランスよく摂らなければいけません。調査結果のような食事を続けると、一部の栄養素ばかりを摂取することになるため、臓器の働きや新陳代謝などがうまく行われず、老化を加速させる原因になるのです。

とはいえ年を重ねると、日々の食事作りを面倒に感じたり、食が細くなったり。夫婦2人やひとり暮らしだと、食材をいろいろ買っても余らせてしまうといった悩みもよく耳にします。ですから、シニアほど栄養素を効率よく摂っていく工夫が必要なのです。


表 ●老化をゆるやかにする食材(図を拡大)

食材の選び方、調理法がカギ


さまざまな食材を食べて、バランスよく栄養素を摂取するのが理想ですが、食べられる量には限界がありますし、たくさんの種類を準備するのは大変ですよね。だからこそ、栄養価の高い「老化をゆるやかにする食材」(表)を知って、それを意識して選んでいきましょう。

たとえば砂糖なら、白砂糖ではなくビタミンB群やミネラルが豊富な黒砂糖にする。味噌は、アミノ酸やビタミンが豊富な長期熟成タイプのものに。油も、オレイン酸が多く、酸化しにくいオリーブ油や米油に替えてみる。野菜や魚介類は、栄養価がぐんと高まる旬のものを選ぶといいですね。

また、基礎代謝を促し、体の機能や組織を調整するミネラルも積極的に摂りたい栄養素。野菜なら緑黄色野菜、海産物では牡蠣など貝類に多く含まれています。

しかし、せっかく栄養素が豊富な食材を選んでも、調理法によっては無駄にしてしまうことがあるので要注意です。特に野菜は、以下のことに気をつけましょう。

切ったごぼうやれんこんはアクをとるために水にさらす場合がありますが、そのまま使うこと。変色は防げても、水溶性の栄養素が溶け出してしまうからです。

また、野菜は皮にも栄養素が含まれているので、なるべく皮ごと調理を。ピーマンの種やワタには血流を促したり、精神を安定させるピラジンという栄養素があるため、捨てずに食べましょう。

さらに、緑黄色野菜に多く含まれ、皮膚や粘膜の健康を維持する脂溶性のβ-カロテンは、油を使って調理すると吸収率が高まります。

おやつの時間も有効活用


一度の食事で種類や量が食べられない人は、おやつの時間を上手に使いましょう。お菓子ではなく、チーズやヨーグルト、小魚を食べてカルシウムを補う。肉をあまり食べず、タンパク質が不足しがちな人は、食物繊維も同時に摂れる大豆製品やナッツを、といった具合です。

また、お茶やコーヒー、ココアには、抗酸化作用(※)のあるポリフェノールが含まれています。野菜や果物よりも飲み物からのほうが栄養素を摂りやすい、という海外の研究結果もありますので、水分補給も有効活用を。ただし、なるべく無糖で飲みましょう。糖分の摂りすぎは糖化(※)を引き起こす要因となり、老化を促進させてしまいます。

※「糖化」「酸化」についてはこちらの記事を参照

ほかにも糖化対策として、甘いものは、間食時よりも食後に食べると、血糖値の上昇を抑え、糖化予防に繫がります。

目標はバランスよく栄養素を摂ることですから、種類の違う食材を使った作り置きを2〜3品用意してローテーションしたり、スーパーのお惣菜を取り入れてもかまいません。ゆるくでも、続けることが大切です。

後編で、「美肌」「疲労回復・美肌」「骨密度強化」「脳の活性化・血流改善」効果がある4品をご紹介します。メインの食材3つと、家にある調味料で手軽にできるレシピですので、ぜひ作ってみてください。

後編「若々しい体を作るレシピ4選」につづく

婦人公論.jp

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