『らぁめん小池』や『キング製麺』の店主が手掛ける『ぷれじでんと』(本郷三丁目)の絶品「塩ラーメン」が旨いワケ!

2021年3月31日(水)10時49分 食楽web


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 今回ご紹介するのは、2021年1月31日、文京区本郷の地にオープンした『ぷれじでんと』。同店の店主を務める水原裕満氏の店については、これまでもこの<ラーメン官僚主義>でたびたびとり上げてきました。

 そう、以前ご紹介した『中華蕎麦にし乃』(本郷三丁目)や『キング製麺』(王子)は、水原氏が開業したお店なんです。


『ぷれじでんと』の内観。明るくオシャレな店内で女性も入りやすい。最寄り駅は『にし乃』と同じ本郷三丁目駅。両店共に同駅から徒歩3分程度という好立地

 水原氏が率いる『小池』『にし乃』『キング製麺』の3店舗は、いずれも『ミシュランガイド東京2021』のビブグルマン部門掲載店舗であり、味は言うに及ばず、同氏が創り上げるラーメンの魅力はそれだけではありません。

「このお店では、こういうイメージのラーメンを出す」といったコンセプトを明確に掲げた上で、店舗ごとにそれぞれ特徴が異なる1杯を出し、それでいて、どのラーメンにも水原氏らしさが息づいている——そう、作り手の顔が丼越しに浮かび上がる1杯なのです。

 さて、今回の『ぷれじでんと』は、そんな水原店主の4thブランドとなるお店。

「場所は『にし乃』と同じ本郷でも、大通り沿いと路地裏とでは、客層が全く違います。『ぷれじでんと』はより人目に付きやすい場所にあり、偶然通り掛かった人が暖簾をくぐる可能性が高いということで、食べ手を選ばないスタンダードな味わいに仕上げることを意識しました」と水原店主。

“お馴染みの味”を極限まで洗練した「塩ラーメン」とは?


「塩ラーメン」900円

 現在、同店が提供しているラーメンは、「塩ラーメン」「担担麺」「酸辣湯麺」の3種類。基本メニューは「塩ラーメン」です。醤油でなく塩ラーメンを看板として掲げている点も、水原氏が手掛ける店舗の中では『ぷれじでんと』が初の試み。

 スープを構成する素材は、煮干し・昆布・椎茸・宗田節・アサリ・セロリ・生姜・玉ネギなど。煮干し・昆布・アサリ等の「海の幸」の滋味がギュッと凝縮されたスープは、『にし乃』や『キング製麺』に通ずるものがありますが、今回は、それに加えて、セロリ・生姜・玉ネギ等の香味野菜を大量にオン。

「これまでの店舗のスープよりも一層まろやかな味わいとなるよう、ナチュラルな甘みをたっぷりたたえた香味野菜を加えました」(水原氏)


スッキリとした味わいの中に旨みや甘みを感じられる透明感のあるスープ

 キレよりも、各種素材のうま味が仲睦まじく手を結ぶコクを重視。「マニア向けでなく、あくまで一般層に訴求する味わいに仕上げたい」。そんな意図が明確に垣間見えます。合わせる塩ダレも、塩・酒・ザラメ・鷹の爪といった定番素材を巧みに使用。

「誰もが親しみを感じるお馴染みの味を、手間ひま掛けて極限まで磨き上げた」というのが、今回の1杯から受ける印象。「至高のスタンダード」という言葉が相応しいラーメンです。本郷に生活拠点を置く人たちが好む味の最大公約数を真摯に追求すれば、このような解にたどり着くのかも知れません。


スープと麺の間を絶妙に繋ぐ香味油

 スープに合わせる香味油にも、『ぷれじでんと』ならではの工夫が凝らされます。鯛の干物・貝柱・ニンニク・生姜で作られた油は、同じく魚介をベースとしたスープと阿吽の呼吸を奏で、舌上でピタリと一体化。


『村上朝日製麺所』に特注した麺

 麺は、『らぁめん小池』や『にし乃』と同様、名門『村上朝日製麺所』に特注したもの。芳醇なスープを引き立てる黒子に徹するひたむきさが、実にいじらしい。もちろん、スープとの相性は申し分ありません。

 またしても、気が付けば完食してしまっていた『ぷれじでんと』の「塩ラーメン」。この店もまた、これまでの店舗と同様、ラーメン職人としての水原氏の歴史に輝かしい1ページを加えるに違いありません。


お店自慢の餃子。「ギョウザ」ハーフ3個250円

「最近は餃子づくりにも力を入れてまして。『ぷれじでんと』は、ラーメンと餃子の双方に等しく軸足を置いた食堂的なポジションを狙いました。例えば、カップルでご来店いただき、1人はラーメン、1人は餃子を注文する。ここでは、そんな食べ方もアリです」と水原店主。

 確かに、券売機をつぶさにチェックすると「ギョウザ定食」や「ギョウザW定食」など、ラーメンが提供されないメニューも用意されています。脱・ラーメン専門店。ラーメンという枠組みにとらわれることなく、より広い世界にまで視野を広げる店主の心意気は、素直に感服に値します。

店主(水原氏)プロフィール

・2014年に第1号店である『らぁめん小池』を上北沢にオープン。
・その後、2018年2月に本郷三丁目の地に開業した『中華蕎麦にし乃』(第2号店)が爆発的な人気を呼び、オープンしたその年に『ミシュランガイド東京』のビブグルマン部門に選出される快挙を成し遂げる。
・2019年3月に王子にオープンした『キング製麺』(第3号店)では、店主初の自家製麺を用いたラーメン作りに挑戦し、今般オープンした『ぷれじでんと(第4号店)』では、塩ラーメンを看板メニューとした食堂系店舗という新機軸に挑む。
・研究を怠らず、常に新しい物事に取り組む姿勢は、ラーメン職人の模範とも言うべきもの。次代の東京ラーメンシーンを担う、ラーメン界の若きエースである。

●SHOP INFO

店名:ぷれじでんと

住:東京都文京区本郷2-26-9
TEL:非公開
営:11:30〜15:00、18:00〜21:00
休:なし

●著者プロフィール

田中一明
「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。

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