“危険な情事”が招いた凄惨な殺人事件… ストーカー女子大生の狂気とは?

2023年3月30日(木)7時0分 tocana

 私立探偵を雇い交際相手の男性の動向を常に把握しなければ気が済まないという女が犯した殺人はある意味で必然だったのかもしれない。1989年のニューヨークで“危険な情事”の末に悲惨な殺人事件が起こった——。


交際関係になるとストーカー化する女子大生

 異性との関係はその人物の社会性の写し鏡だともいわれている。交際をはじめたばかりの相手をアナタはどのように扱い、親交と愛情を深めていくだろうか。


 キャロリン・ウォーマスは1964年に米ミシガン州トロイで生まれ、デトロイト郊外のバーミンガムで育った。


 彼女の父、トムは保険事業で財産を築き一代で億万長者になった成功者であったが、両親は彼女が8歳の時に離婚している。幼少期に両親にじゅうぶんに甘えることができなかったとしても不思議ではなさそうだ。


 ミシガン大学に入学したウォーマスのキャンパスライフは異性関係で失敗続きとなった。異性関係において彼女が抱いていた脅迫観念が明らかになった。


 キャンパス内でボーイフレンドができたウォーマスは、交際がはじまると相手を常に束縛し、自分の目が離れたところで勝手な行動をすることを許さなかったのだ。交際相手はすぐに辟易としてしまい別れを告げられたのだが、ウォーマスはその後も何人もの男子学生と同じパターンで失恋を繰り返すことになった。


 別れを告げられた後、諦めきれなかったウォーマスは私立探偵を雇って元恋人の身辺を調べさせたり、執拗にストーカーをしたこともあった。


 同じように彼女のもとを去った元ボーイフレンドの1人であるポール・レビンが新しい恋人とうまくやっていることを知ったウォーマスは、そのカップルを含む周囲に自分はレビンの子供を妊娠しているのだと狂言を触れ回ったこともあった。


 堪忍袋の緒が切れたレビンは裁判を起こした結果、裁判所から金輪際レビンに近づいてはならないとする接近禁止命令がウォーマスに言い渡されたのだった。


 こうした一連の出来事からウォーマスの異性関係はなかなかに前途多難であることが明らかになったのである。


起こるべくして起こった殺人事件

 心理学の学位を取得してミシガン大学を卒業した後、ウォーマスはニューヨークに移り住み、コロンビア大学ティーチャーズカレッジで初等教育の修士号を取得した。そして1987年9月にニューヨーク州スカーズデールのグリーンビル小学校に教員として赴任したのである。


 この小学校で彼女は、悩みを聞いてくれアドバイスをくれる心強い先輩の教員、ポール・ソロモンと交流を重ねることになる。ポールには妻子がいて、時折家に招かれたウォーマスは家族ぐるみの付き合いをすることになった。


 ポールの娘の良き姉として振る舞っていたウォーマスだったが、ポールとの関係は次第に不適切なものへとエスカレートしていった。つまり不倫関係へと発展したのである。


 1989年1月15日、深夜近くに自宅に戻ったポールは、床に倒れて絶命している妻を発見する。悲惨なことに妻は拳銃で撃たれて殺害されていたのだ。


 警察は当初、第一発見者である夫のポールを疑ったのだが、彼の女性関係を徐々に把握するうちに嫌疑はウォーマスへと振り向けられた。


 捜査が進み、犯行に用いられた25口径の拳銃(ベレッタ)を事件の直前にウォーマスが購入していたことが突き止められた。そして1990年2月2日に殺人罪でウォーマスは起訴されたのである。


 ウォーマスは一貫して無罪を主張していたが、1992年5月26日、陪審員はウォーマスが有罪であると結論づけ、判事は最高で25年の実刑判決を言い渡した。


 事件には複雑な側面もある(特にポールの女性関係)のだが、ウォーマスの犯行であることはほぼ間違いがないようには思える。ちなみにウォーマスは2019年6月17日に仮釈放が認められているということだ。


 両親の愛情を得られないなまま育ったウォーマスに同情する余地もあるのかもしれないが、好きになった異性への執着はまさに病的ともいえるだろう。その意味では起こるべくして起こった惨事だともいえる。自らが教育者の側になっていたウォーマスだけに、残念ながらその異常性が誰からも指摘されないままその日を迎えてしまったということになるだろうか。



参考:「Murderpedia」、「Oxygen」、ほか

tocana

「殺人」をもっと詳しく

「殺人」のニュース

「殺人」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ