認知症の主な4つの種類とは?特徴と原因を解説

2024年4月30日(火)12時30分 婦人公論.jp


認知症の代表的な4つの病型とは?(写真提供:Photo AC)

平均寿命が延びる中で認知症患者も増え、厚生労働省の発表によると、2025年には65歳以上の5人に1人に達するとの推計もあります。認知症の症状は人それぞれ異なるため、介護者側とのコミュニケーションが上手くいかず、お互いにストレスを抱えてしまう場合も多くみられます。大阪大学名誉教授の佐藤眞一先生いわく「認知症の人の発言や行動は、その言動をする理由を知れば、介護はラクになる」とのこと。今回は基礎知識として、認知症の代表的な4つの病型を紹介します。

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認知症は主に4タイプ


認知症のタイプは、原因となる病気から主に、

・アルツハイマー型認知症
・血管性認知症(脳血管性認知症)
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型(ぜんとうそくとうがた)認知症

の4つに分類され、4大認知症と呼ばれています。特に高齢発症の認知症の場合には、それらが複数混在している例も多くあります。

また、その他にも認知症の原因となる傷病は多数あり、その数は70あるいは80以上とも言われています。

記憶障害に始まりゆっくり進行する
「アルツハイマー型認知症」


日本人の認知症全体の約6割以上を占める代表的な認知症で、アルツハイマー病によって発症します。

アルツハイマー病の原因はまだわかっていませんが、「アミロイドβ」という特殊なたんぱく質が、長い年月をかけて脳内にたまり、さらに神経細胞内のタウたんぱく質も変性を起こすことによって、神経細胞が破壊され、脳が萎縮するのではないかと考えられています。


『認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ』(著:佐藤眞一、島影真奈美/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

とくに、短期記憶をつかさどる「海馬」の萎縮が目立つのが特徴です。そのため、最初に現れるのは記憶障害が一般的だと言われますが、まれに言語障害から始まる人もいます。

進行はゆっくりで、発症する20年以上前からアミロイドβの蓄積が始まるとも言われます。

進行を遅らせる認可薬はありますし、最近では毒性を持ったアミロイドβたんぱく質を分解する新しい薬剤も開発されていますが、根本的な予防法や治療薬は今のところありません。

記憶・言葉・感情に異常が出やすい
「血管性認知症( 脳血管性認知症)」


認知症全体の1〜2割を占めています。また、アルツハイマー型認知症との合併も多くみられるのが特徴です。

多くの場合、脳梗塞や脳出血の発作が起こり、血管が詰まったり破れたりしたことをきっかけに血流が滞り、その部分の脳細胞が死滅することで発症します。発作が起こるたびに認知症が段階的に進みます。

発作は繰り返し起こるうえ、脳細胞が死滅した部分とそうではない部分の差が生じやすく、症状や障害の個人差が大きいことでも知られています。

また、脳深部の白質と呼ばれる部分の虚血性変化による病変が起点になって生じる認知症もあります。

血管性認知症の症状は主に、記憶障害や失語、失行、失認などです。ただし、これらは障害された脳の部位によって異なります。些細なことで激しく泣いたり笑ったり怒ったりする「感情失禁」もよく見られます。

混乱・幻視・ぼんやりする
「レビー小体型認知症」


レビー小体型認知症も、血管性認知症とほぼ同程度で認知症全体の1〜2割を占めると言われています。

レビー小体という特殊なたんぱく質の塊が高次機能をつかさどる大脳皮質や、生命維持をつかさどる脳幹にたまり、神経細胞が死滅することで起こります。

診断基準は、混乱したり、ぼんやりしたりする状態が1日のうちに激しく変動する「認知機能の動揺」、非常にリアルな幻覚がくりかえし生じる「幻視」、パーキンソン病のような症状が起こる「パーキンソニズム」の3つのうち、2つ以上が当てはまることです。


(写真提供:Photo AC)

感情が激しくなり行動を抑えられない
「前頭側頭型認知症」


認知症全体の1%程度だと言われています。

前頭葉と側頭葉の神経細胞が死滅することで起きるタイプの認知症ですが、その仕組みはわかっていません。かつて「ピック病」と呼ばれていたものも含まれます。症状には次のようなものが挙げられます。

・抑制のきかない行動(失礼なことを言う、暴力をふるうなど)
・無気力・無関心
・常同行動(同じ行為を繰り返す)
・周囲からの刺激に影響を受けやすい(言動をまねる、同じ言葉を言い続けるなど)
・ 社会性の欠如(万引きのような軽犯罪を起こしたり、身だしなみに気を使わなくなったりする)

最近は、こうした行動異常が激しいタイプの認知症のほかに、意味性認知症と進行性非流暢性(ひりゅうちょうせい)失語を含む3種類の認知症を併せて、前頭側頭葉変性症と呼んでいます。

※本稿は、『認知症心理学の専門家が教える 認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです

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