住宅ローンのQ&A 第2回 ペアローンのメリット・デメリットとは?

2025年5月11日(日)10時0分 マイナビニュース


マイホーム購入の際、共働き夫婦にとって有力な選択肢となる「ペアローン」。特に最近は物件価格の高騰もあり、利用者が増加傾向にあります。
それぞれが住宅ローンを契約することで借入可能額を増やせるペアローンですが、手続きの煩雑さやリスクも伴います。本記事では、ペアローンの仕組みやメリット・デメリット、利用時の注意点について解説します。
○ペアローンとは?
ペアローンとは、1つの物件に対し夫婦などの2人がそれぞれ住宅ローンを組む方法です。2人それぞれがローン契約者となり、個別に返済義務を負うと共に、互いの連帯保証人になります。これにより、借入可能額が増え、より高額な物件を購入できる可能性があります。
○1.借入可能額の増加
夫婦それぞれの収入に基づいてローンを組めるため、より高額な物件を購入しやすくなります。
○2.住宅ローン控除が2人分適用
夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられるため、節税効果が高まります。
○3.個別に金利タイプを選択可能
例えば一方を固定金利、もう一方を変動金利にするなど、リスク分散が可能です。
○1.手続きの煩雑さ
2つのローン契約を結ぶため、審査や契約書の準備、登記手続きなどの手間が増えます。
○2.諸費用の増加
事務手数料やローン取扱手数料、保証料、登記費用などの費用が2つ分発生し、単独ローンよりもコストがかかる場合があります。
○3.離婚時の処理が複雑
夫婦のどちらかがローンを引き継ぐか、売却するかなどの対応が必要となり、合意が難しいケースもあります。
○4.片方の返済不能時のリスク
病気や事故、退職や転職などでどちらかが返済困難になった場合、もう一方が返済を続ける必要があり、家計の負担が大きくなる可能性があります。
○1.将来の収入変動を考慮する
転職や育児などで収入が変化する可能性を考え、無理のない借入額を設定しましょう。
○2.団体信用生命保険(団信)の内容を確認する
ペアローンでは、それぞれのローンに対して加入が必要なため、保障内容を確認しましょう。加入者の病気や死亡に対するローン免除範囲は加入者本人分のみ、という保障が主流ですが、最近では、夫婦どちらかが死亡・高度障害となった場合に、もう一方のローン残高も免除される「夫婦連生型」団信を用意している金融機関もあります。
○3.離婚時の対応を想定する
あまり想像したくないことかと思いますが、万が一の際の住宅ローンの処理や売却の可能性、住宅の所有名義をどのように設定するかなど事前に話し合っておくと、トラブルの回避にも繋がります。
○4.返済シミュレーションを行う
収入減少や金利上昇を想定した返済シミュレーションを行い、リスクに備えておくことが重要です。
○収入合算との違い
ペアローンと似た仕組みとして「収入合算」があります。片方が主な契約者となり、もう一方の収入を加味して借入額を増やす方法で、「連帯債務型」と「連帯保証型」があります。
○連帯債務型
片方を主な住宅ローン契約者、もう一方を連帯債務者として連名で1本の住宅ローンを契約する方法です。双方が返済義務を負います。また、夫婦共に住宅ローン控除が適用され、物件の所有権を持ちます。民間ローンにおいては、団信は主債務者のみが加入します(フラット35であれば、連帯債務者も加入できます)。
○連帯保証型
片方が主債務者となり、もう一方を連帯保証人として1本の住宅ローンを契約する方法です。保証人は主債務者が返済不能になった場合に返済義務を負います。連帯保証人には住宅ローン控除は適用されず、物件の所有権もありません。また、団信は主債務者のみが加入します。
ペアローンは収入合算と異なり、夫婦それぞれが独立したローン契約者となります。その分諸費用は増加しますが、夫婦共に住宅ローン控除が適用されること、所有権が双方にあること、双方が団信に加入できることなどが特徴です。購入希望物件の価格やご夫婦の状況に合わせて選択されると良いでしょう。
○まとめ
ペアローンや収入合算は共働き夫婦にとって有効な手段ですが、手続きの煩雑さや将来的なリスクも考慮する必要があります。将来のライフプランを見据え、慎重に判断しましょう。悩まれた場合はぜひ、不動産会社の担当者へ相談してみてください。
角高広 株式会社すむたす 代表取締役。2012年、株式会社Speee入社。不動産売却メディア「イエウール」を立ち上げ、事業責任者として売却領域業界No.1へ。現GA technologiesグループのイタンジ株式会社にて、経営企画・複数事業責任者・人事を兼任した後、2018年、テクノロジーを活用した中古マンションの買取再販・仲介事業を手掛ける「株式会社すむたす」を創業。最短2日で現金化できるマンション売却サービス「すむたす売却」の累計査定数は4万件を超える。リノベマンションが仲介手数料0円で買えるポータルサイト「すむたす直販」も展開している。2019年、Forbes「アジアを代表する30歳未満の30人(Forbes 30 Under 30 Asia) 」選出。 この著者の記事一覧はこちら

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