高額マンション購入後に配偶者が急死…ペアローン巡る「相続トラブル」を防ぐ3つの備え【税理士が解説】
2025年5月28日(水)6時0分 ダイヤモンドオンライン
高額マンション購入後に配偶者が急死…ペアローン巡る「相続トラブル」を防ぐ3つの備え【税理士が解説】
写真はイメージです Photo:PIXTA
高騰が続く都市部のマンションを購入する方法として、ペアローンを組んだり、検討していたりする夫婦は多い。住宅取得の選択肢の一つとして注目されている「ペアローン」は、夫婦それぞれが住宅ローンを組み、協力してマイホームを手に入れる方法である。夫婦それぞれの収入が安定しているパワーカップルの場合、ペアローンを組めば都心部のマンションも夢ではない。しかし、ペアローンを組んだ夫婦のどちらかに相続が発生した場合、税務上の取り扱いは注意が必要だ。さらに、返済期間中には「ある行為」によって贈与が発生するおそれもある。返済が長期にわたる住宅ローンを慎重に検討するためにも、ペアローンと相続に関する注意点と対策について税理士が徹底解説する。(税理士・岡野相続税理士法人 代表社員 岡野雄志)
パワーカップルが陥りやすい?ペアローンのメリット・デメリット
ペアローンは夫婦それぞれが個別に住宅ローンを契約する形式のため、共働き夫婦が契約することで高額の不動産の購入も夢ではないというメリットがある。借入可能額が夫婦単独での借り入れよりも増加するため、高額な融資を受けることが可能だからだ。これにより、不動産購入の選択肢の幅が広がるというメリットがある。
さらに、住宅ローン控除も夫婦それぞれが受けられる。ただし、控除額には所得税・住民税ともに上限が存在することには注意が必要だ。ペアローンのメリットには、団体信用生命保険(以下、団信)に加入できる点も大きい。夫婦それぞれが団信に加入することで、万が一の事態におけるリスク分散となる。しかし、保険料の負担も二重になる点は考慮する必要がある。
しかし、ペアローンには知っておくべきデメリットもある。購入する不動産は夫婦の共有名義となるため、離婚や相続などの場面においては権利関係が複雑化しやすい。例として、離婚時には不動産をどちらが引き継ぐのかで揉めやすい。また、長期にわたる返済で一方が病気や出産、育児などの都合で収入が低下した際、もう一方の配偶者だけの収入では返済できなくなるおそれもある。
さらに、ペアローンを利用し、夫婦それぞれが不動産の一部を取得した場合は不動産取得税や登録免許税がそれぞれに課税される。単独での住宅ローンと比較すると初期費用が増加する点にも注意が必要だ。