ヘアカラーで頭皮がヒリヒリするのは我慢すべき? 原因や対処法を紹介
2025年5月19日(月)12時9分 マイナビニュース
白髪を染めたり好みの髪色に変えたりできるヘアカラーですが、頭皮がヒリヒリして不安になったことはありませんか?
施術中や施術後にヒリヒリを感じたら、我慢せず美容師さんに相談し、適切に対処しましょう。本記事では、ヘアカラーによる頭皮のヒリヒリの原因や対策について詳しく紹介します。
頭皮のヒリヒリの原因は「刺激性接触皮膚炎」と「アレルギー性接触皮膚炎」
ヘアカラーをして頭皮がヒリヒリする場合、刺激性接触皮膚炎やアレルギー性接触皮膚炎の症状であることが考えられます。
まず、ヘアカラーを塗布したときや放置しているときに頭皮がヒリヒリする場合、カラー剤に含まれる成分による刺激が原因となる刺激性接触皮膚炎が疑われます。
一方、ヘアカラーをした翌日など、少し時間が経ってから頭皮のヒリヒリ感やかゆみが出てきた場合には、皮膚に触れた物質に対して免疫が反応を起こすアレルギー性接触皮膚炎の可能性があります。
刺激性接触皮膚炎とは
刺激性接触皮膚炎とは、化学物質などの刺激物によって皮膚が直接刺激を受けることで起こる症状です。ヘアカラーを塗布した直後や放置時間の間に頭皮のヒリヒリを感じる場合、刺激性接触皮膚炎の可能性が高いといえます。
ヘアカラー中の頭皮のヒリヒリの多くは刺激性接触皮膚炎が原因で、かゆみよりも痛みを感じやすい点が特徴です。
ヘアカラーによる刺激性接触皮膚炎は、染料に使われる薬剤である過酸化水素とアルカリ剤が主な原因物質となります。
頭皮に傷がある場合や頭皮が日焼けしているとき、寝不足やストレスが原因で頭皮が荒れている場合などには、ヒリヒリとした痛みをより感じやすくなります。
アレルギー性接触皮膚炎とは
アレルギー性接触皮膚炎とは、皮膚に接触した物質に対して免疫システムが反応することが原因で起こるものです。主に、ヘアカラーに含まれるジアミン染料のアレルギー反応が考えられます。
ヘアカラーの施術後、少し時間をおいてから頭皮にヒリヒリとした痛みやかゆみ、湿疹、赤みなどが出て数日間継続する場合は、アレルギー性接触皮膚炎かもしれません。
アレルギー性接触皮膚炎では、かゆみと痛みの両方が出る場合もあります。ヒリヒリやかゆみなどの症状は、頭皮以外の顔や首、耳など、カラー剤が直接触れていない部分に出るケースもあります。
最初は何も症状が出なくても、繰り返しヘアカラーを使用することでアレルギーを発症することがあるため注意が必要です。刺激を引き起こす物質に少しずつ触れ続けていると、ある日突然アレルギーが起こることがあります。そのため、今までヘアカラーを問題なく使用していても、今後もアレルギー性接触皮膚炎にならないとはいえません。
まれなケースではありますが、染毛している間や終了してすぐなど、短時間でアナフィラキシーショックが起こる場合もあります。アナフィラキシーショックでは、全身の皮膚にかゆみや赤み、蕁麻疹などが現れたり、息苦しさやしびれなどの重い症状が出たりして、非常に危険です。
ヘアカラーで頭皮がヒリヒリしたときの対処法
ヘアカラーで頭皮がヒリヒリした場合、原因によって対処法は異なります。
ヘアカラーを施術する前に気をつけたいポイントもあるので、しっかり準備を行い、もし施術中や施術後に症状が出た場合には、早急に適切な対処を行いましょう。
ここでは、医療法人社団五良会 竹内内科小児科医院の五藤良将院長の解説のもと、刺激性接触皮膚炎とアレルギー接触皮膚炎のそれぞれの対処法をご紹介します。
刺激性接触皮膚炎の対処法
ヘアカラー前の当日や直前のシャンプーは避ける(皮脂のバリア機能が低下するため)
刺激性接触皮膚炎への対策の一つとして、ヘアカラーの当日や直前のシャンプーを控えることがあります。
シャンプーによって頭皮の皮脂が取り除かれると、再び皮脂が回復するまでに数時間かかります。十分な皮脂がない頭皮はバリア機能が失われた状態になり、刺激を受けやすくなるためです。
シャンプーは前日までに済ませ、その際もできるだけ優しく洗髪するようにし、頭皮に傷や荒れがない状態で施術を受けることを心がけましょう。
美容師にあらかじめ相談し、刺激を受けやすいことを伝える
ヘアカラーの施術中にカラー剤が染みたり、頭皮がヒリヒリしたりしたことがある方は、前もって美容師さんにヘアカラーで刺激を感じやすいことを伝えておくと安心です。髪の生え際などに、クリームやオイルなどの保護剤を塗布してもらうのもよいでしょう。
ゼロ塗布(頭皮にカラー剤をつけない塗布方法)を行っている美容室を選ぶ
また、ゼロ塗布を行っている美容院に行くのもおすすめです。ゼロ塗布とは、髪の根元ギリギリの位置からヘアカラーを塗布して、頭皮に薬剤をつけずに髪の毛を染める施術です。美容院のサイトをチェックしたり、問い合わせたりして、ゼロ塗布ができるかどうか確認しましょう。
アレルギー性接触皮膚炎の対処法
基本的にヘアカラーの使用中止が必要
アレルギー性接触皮膚炎の場合は、基本的にはヘアカラーをやめるしか対処法がありません。一度アレルギーになってしまうと、ヘアカラーのたびに症状が出るようになるとされています。
無理をしてヘアカラーの使用を続けると、重篤なアレルギー(アナフィラキシーショックなど)を引き起こし、命に関わる危険もあります。
もしジアミンが原因のアレルギー性接触皮膚炎であれば、美容師さんに相談して、以下のようにジアミン系染料が含まれないものを検討するといいでしょう。
ヘアマニキュア
ヘナ
カラートリートメント
一時的なカラースプレー など
ヘアカラーで頭皮がヒリヒリしたら我慢は禁物! すぐに美容師さんに伝えて
好みの色に髪色を変えられるヘアカラーですが、施術中や施術後に頭皮がヒリヒリしたり、痛みやかゆみを感じたりしたら、我慢せずに美容師さんに伝えて、施術を中止しましょう。症状が軽いからとヘアカラーの使用を続けていると、だんだん症状が重くなるかもしれません。
ヘアカラーによる頭皮のヒリヒリは、刺激性接触皮膚炎やアレルギー性接触皮膚炎が考えられます。それぞれ対処法も異なるため、自己判断せず、早めに皮膚科を受診しましょう。
「ヘアカラーは見た目の印象を大きく変えてくれる素敵な手段ですが、頭皮の違和感を覚えたときは、決して我慢せずに適切な対処をとることが大切です。軽い症状と思っていても、アレルギー体質に変化するリスクは誰にでもあります。美しさと安全性を両立するために、頭皮の声に耳を傾け、必要に応じて皮膚科専門医の受診も検討しましょう」(五藤医師)
ヘアカラー時のヒリヒリ感が気になる人は、五藤医師の助言も参考にしてくださいね。
五藤良将 ごとうよしまさ 医療法人社団五良会 竹内内科小児科医院 院長 千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。 日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、日本美容内科学会評議員 この監修者の記事一覧はこちら
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