93歳・現役介護職員の健康に働くための<食事の秘訣>とは。「誰かの健康法を真似るのではなく、自分の体と相談しながら考えて」

2024年5月24日(金)6時30分 婦人公論.jp


(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

内閣府が公表する「令和5年版高齢社会白書」によると、令和2年度の65歳以上の要介護者数は平成22年度から約178万人増加し、特に75歳以上で割合が高くなっているそう。誰もが要介護者になり得る「超高齢化社会」の昨今ですが、特別養護老人ホーム「山城ぬくもりの里」顧問の細井恵美子さんは、93歳で現役の介護職員として働いています。そこで今回は、施設利用者に日々寄り添う細井さんが書き下ろした自著『93歳、支えあって生きていく。』から、毎日を明るく楽しく生きていくための心得を一部お届けします。

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昨日までと変わらない一日を過ごす


たまに、「お元気に活動されていますが、秘訣はありますか?」といった質問をされることがあります。

しかし、お腹が空いたら食べる、眠くなったら眠るなどで、これといった健康法や秘訣があるわけではありません。

目標は、加齢による変化を受け入れながら、昨日までと変わらない一日を過ごすことです。

ただ、朝食はしっかり食べます。和食派ですから米飯は100グラム、あとは卵やハムなどと野菜。野菜も煮物が多いのと、酢の物は毎日のように準備しています。

お茶が好きで、急須350ミリリットルを2杯は最低。そのほかに、味噌(みそ)汁や澄まし汁。生野菜も欠かさずとるようにしていますが、冷蔵庫にない場合は果物に変えたり、青汁も準備しております。

お昼は職場でいただきますので、一定のカロリーやバランスが考えられています。夕食は7時までに食べる時は比較的多めに食べますが、7時より遅くなる時は少し量を減らしたり、脂っこいものは避けるようにしています。

私の食生活はどちらかといえば朝に多く、夕食は控えめにしています。

健康法は誰かを真似るのではなく、自分の体と相談しながら。


健康法はその人によって違います。

今までの生活環境や、職業からくる習慣にも影響されると思います。また食事の内容にもよるでしょう。


『93歳、支えあって生きていく。』(著:細井恵美子/Gakken)

健康法は誰かを真似るのではなく、自分の体と相談しながら、食事内容を考えたり、仕事内容によって摂取量を加減してみたり、なにより自分の体の状態をしっかり意識することが大切ではないかと思います。

私の健康法は、1日1000ミリリットル以上の水分摂取と、体調と相談しながらの食事のとり方を考えることです。

祖父とお地蔵さんの思い出


幼少のころ、私はよくお地蔵さんや、お寺にお参りをしました。

今でもうっすら記憶の中に、祖父と参ったお地蔵さんが浮かんできます。

山の小さな祠(ほこら)に祀(まつ)ってあるかわいいお地蔵さんには、赤い前掛けが掛けてありました。

祖父はお祈りをしたあと、お供えの水を笹の葉ですくい、痒(かゆ)くて赤くなった私の目に何度か振りかけてくれました。

「目にありがたいお地蔵さんで、このお水のおかげで恵美子と同じように目が赤くなり、痒(かゆ)くて困っていた子の目がようなった(良くなった)そうだ。お地蔵さんに頼んだら恵美子の目もようなる。どうか治してくださいってお祈りするだ」

祖父や祖母が大好きだった私は、いわれるままお祈りし、お供えの水で目を濡らしながら、「ようなりますように」と祈ったものです。

一見健康そうに見える人でも、他人にはわからない悩みがあるもの。


大人になってからも状態は良くならず、赤目と痒(かゆ)みに悩み、25歳のころに「痒(かゆ)みの原因は睫毛乱生(しょうもうらんせい)だ」と診断され、逆さ睫毛(まつげ)であることがわかりました。

一見健康そうに見え、日常生活にはなに一つ不自由がなくても、人には他人にはわからない痛みや悩みがあるものです。

お地蔵さんのご利益は気休めでしかなかったかもしれませんが、今も健康に恵まれ、守られている自分を喜び、祖父や祖母が「女の子だで(女の子だから)、顔は大事だで(顔は大切)。なーなんなっとしてやらな(なんとかしてやりたい)」─そういいながら、注いでくれた深い愛情に心から感謝しています。

先日、生まれて初めて「やさしいまなざし」だと、私のしょぼくれた目を褒(ほ)めていただけることがありました。

亡き祖父母にも伝えたい、そう思いました。

※本稿は、『93歳、支えあって生きていく。』(Gakken)の一部を再編集したものです。

婦人公論.jp

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