すでに連日大行列! ラーメン官僚が推す『中華そば たた味』(小伝馬町)の「スタミナ中華」が旨すぎる!

2021年6月1日(火)10時50分 食楽web


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 古き良き下町の情緒と近代的なビジネス街の活気とが絶妙な塩梅で交差し、行き交う人たちの息遣いが間近で聞こえてきそうな独特の雰囲気を形成する、中央区・小伝馬町。2021年3月31日、そんな小伝馬町の地に1軒のラーメン店が産声を上げました。

 そのお店の屋号は『中華そばたた味(たたみ)』。同店は2021年5月現在、土曜・日曜・祝日を除く平日の昼のみの営業(※2021年6月から試験的に土曜、日曜の営業も開始予定)。つまり、営業時間のハードルが極めて高く、折しものコロナ禍も相まって、常識的に考えて、生活拠点が近隣にない人たちがおいそれと足を運ぶことができるお店ではありません(※吉報です。本年6月より、営業日時を拡充するとの情報が店主から寄せられました! 訪問日が休日に限られる人のために土日祝日の営業を開始し、訪問時間が夕方以降に限られる人のために、平日夜営業を始動する予定)。


店舗の場所は、東京メトロ日比谷線・小伝馬町駅から150m弱。駅から徒歩2分もあれば店頭へとアクセス可能な好立地

 ですが、蓋を開けてみれば、オープン初日以来、行列が絶える日がないほどの盛況ぶり(開店する1時間前から客が並び始める状況)。加えて、訪問された方々から続々と報告される『たた味』に対する感想が、おしなべて「どれだけ時間に余裕がなくとも、『たた味』には行くべきだ」、「初めて口にするタイプの味で、しかも、激ウマだった」など、ラーメン好きの琴線に触れるものばかり。

 このような高評価の嵐を華麗にスルーできる者は、もはや、ラーメンマニアではありません。開業から1ヶ月が経過する頃には、営業時間のハードルを理由に訪問を手控えることが(心情的に)困難な状態となっていました。

 というわけで私も万全を期して、開店1時間前に現地へ。この日も、開店30分前から徐々にお客さんが並び始め、開店直前の段階では、10名を超える行列ができていました。

 看板は、赤く映える「雷紋」が真っ白い空白部分をぐるりと取り囲む、一見屋号が書かれていないように見える面白い仕様。が、よく見ると、雷紋に溶け込むような形で『たた味』の屋号がしっかりと刻まれています。

食べるほどに旨みが押し寄せる「スタミナ中華」とは?


「スタミナ中華 セット(生卵1個・半ライス付)」1000円(単品は880円)

 現在、同店が提供するラーメンは、「スタミナ中華」「辛スタミナ中華」と、それぞれの特製バージョン。デフォルトを頼んでも構いませんが、生卵1個と半ライスが付いた「セット」を頼むのがおススメです。私は、「スタミナ中華セット」を注文させていただきました。

 ラーメンは、青森を代表する激辛ネギラーメンの名店『あさ利』へのオマージュを込めたもの。屋号の『たた味』も、漫画「あさりちゃん」の主人公・浜野あさりの姉の名前(タタミ)から採ったものです。

 しかしながら、『たた味』の1杯は、単なる『あさ利』の模倣にとどまるものではありません。

「スープは、都内の方々の嗜好に合わせて甘さを抑え、代わりに、コクを最大限演出しました。また、青森のラーメンは細麺が主流ですが、こちらでは、ガッツリ系つけ麺に多用される存在感のある太麺を採用しています」と、店主・吉野氏が語るとおり、『あさ利』の魅力を、自分なりにしっかりと把握・分析した上で、オリジナリティのある1杯を創り上げています。


炒めタマネギ、刻みにんにく、刻みしょうが、味付背脂、自家製香唐辛子などのトッピングも超優秀

 この1杯から垣間見える店主の独創性は、それだけに止まりません。スープにプカリと浮かぶタマネギは、千葉県のご当地麺のひとつ『アリランラーメン』から着想を得て、中華鍋でじっくりと炒め、ナチュラルな甘みを極限まで引き出したもの。

 また、「無料トッピング」として用意される、「刻みにんにく」「刻みしょうが」「あぶら(味付背脂)」「からめ(自家製香唐辛子)」の増量システムは、吉野店主の修業先のひとつであるガッツリ系ラーメンの名店『ジャンクガレッジ』のそれを応用したものです。

 スープは、各種素材の持ち味を的確に捉えた上で、動物系素材(豚・鶏・牛)の骨と肉を大量に寸胴へと投入し、日高昆布・煮干し・香味野菜等をバランス良く掛け合わせたもの。スープに合わせる炒め油として寸胴の上澄み油を使用することで、豚・鶏・牛の三銃士による、盤石の“トロイカ体制”を構築しています。


卓上に丼が供された瞬間から、丼から放たれる芳醇な香りが食欲を刺激し、記録のためにデジカメで画像を撮影する時間さえ惜しまれるほど

 逸る気持ちを抑えながらスープをひと口啜ると、動物系素材の重厚なコクと、カエシの上質な風味が舌上で融合し、うま味の砲弾となって味覚中枢を直撃。スープに自ずと織り交ざる炒めタマネギの豊潤な甘みも、スープの魅力をググっと押し上げています。

「無料トッピング」でオーダーした、香味鮮烈なニンニクや、甘辛い下味が丁寧に施された背脂も、レンゲを持つ手の動きを速める役割を全う。オープンからまだ1ヶ月余りの新店とは到底思えない隙のない仕上がり具合に、驚きを隠し切ることができませんでした。

 麺は、都内を代表する名門製麺所のひとつ『浅草開化楼』のチーメンを使用。製麺所担当者と、『たた味』のスープに最適な茹で加減など、きめ細やかな調整を重ねた上で提供される麺は、けん引力のあるスープに負けず劣らずの存在感を放ち、食べ手を大いに魅せます。


「スタミナ中華」に牛もつ3つとチャーシュー2枚が乗った「特製スタミナ中華(生卵1個・半ライス付)」1280円(単品は1160円)も人気

 丼から直に麺を啜りながら、また、時折、溶かした生卵にスープを加えた小鉢に麺を浸す「すき焼き風」の食べ方を試しながら食べ進めていくと、いつの間にか丼が空っぽに。

辛さと旨さが融合した「辛スタミナ中華」も必食!


「辛スタミナ中華(生卵なし)」980円。生卵・半ライスのセットは1100円

「スタミナ中華」のスープをベースに、ゴマ油を介して中華と洋風の辛みを絶妙な塩梅でブレンドさせた「辛さの素」を加えた「辛スタミナ中華」も、口内でうま味と辛みがダイナミックにクロスオーバーする、スケール感のある名品。辛みが得意な方は、こちらを注文するのもオススメです。

 ラーメンが提供されてから数分後。身も心も幸福感で充たされながら、店を後にしました。評判に違わぬ優良店。同店が今年のラーメンシーンの「台風の目」であることは、紛れもない事実でしょう。

店主(吉野慎一氏)のプロフィール


手前が店主の吉野さん

・長年にわたり、『ど・みそ』、『ジャンクガレッジ』等の首都圏を代表する実力店で研鑽を重ね、今般、満を持して独立。
・「ラーメンの味そのもののブラッシュアップも必要だが、お客さんに楽しんでもらうためには、味を取り巻く雰囲気づくりも大切」という考えの下、遊び心で看板の中央部(本来、屋号が刻まれる箇所)を無地にしたり、修業先で採用されていた「無料トッピングシステム」を導入するなど、トータルでラーメン店を魅せることにこだわる。
・出店の地に小伝馬町を選んだのは、「下町情緒がある街の雰囲気に加え、店舗を探していた時に、『あさ利』のような昭和ノスタルジーが演出できる物件が見つかった」ことによるもの。
・「『たた味』のラーメンには、溶かした生卵にスープを足してつけ麺風に食べる、ライスにトッピングを載せて食べるなど、お客さまの数だけ召し上がり方がある。ぜひ好みの食べ方を探してみてください」と吉野さん。

●SHOP INFO

店名:中華そばたた味(ちゅうかそばたたみ)

住:東京都中央区日本橋小伝馬町15-20
TEL:03-6661-0559
営:11:30〜15:00(今後、平日夜営業スタート予定)
休:土・日・祝(今後、営業の可能性あり。直接店舗にお問合せください)

●著者プロフィール

田中一明
「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。

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