怖すぎ!1人で留守番中の女の子を襲った恐怖体験、その驚愕の結末とは?

2022年6月6日(月)6時0分 マイナビ子育て

『遠野物語』は文体が古く馴染みのない言葉も出てくるので、そのまま読むとお子さんにはわかりにくいでしょう。しかし、簡単な言葉に直して話してあげれば、ストーリーを楽しめるお話は少なくありません。たとえば、ちょっとスリリングな山姥のお話などいかがでしょうか。

『遠野物語』116話を子どもに聞かせよう!

『遠野物語』は柳田國男が岩手県遠野地方に伝わる伝承などをまとめた説話集です。不思議な話がたくさん収められています。今回はその中から、子どもが山姥に追いかけられるお話をご紹介します。

『遠野物語』116話のあらすじ

昔話によく出てくる山姥(やまうば、やまんば)は山に住むおばあさんの妖怪で、人を食べると考えられてきました。ヨーロッパでいう森の魔女と通じるものがありますね。『遠野物語』でも山姥の話は最も多く土地に伝わっていると書かれており、その1つが116話として収められています。そのあらすじと、お話しするときのポイントをお伝えします。

なお、『遠野物語』では「ヤマハハ」と書かれていますが、本記事ではわかりやすく「山姥」と表記します。

一人で留守番中の娘の家に山姥が…

昔々あるところにお父さんとお母さんがいて、娘が一人おりました。娘を家に残して町へ行くので、娘に「誰が来ても戸を開けないように」と注意してから、お父さんとお母さんは鍵を掛けて出かけていきました。

娘は怖かったため一人で炉にあたり身を縮めていました。すると、真昼間にもかかわらず、ドンドンと戸を叩きながら「ここを開けろ」と誰かが叫ぶではありませんか。

「開けなければ蹴破るぞ」と脅されて娘は戸を開けてしまいます。入ってきたのは山姥でした。

山姥は「ご飯を食べさせろ」と言うので食事を用意し、山姥がご飯を食べている隙を見て娘は家を逃げ出します。しかし、ご飯を食べ終わった山姥は娘を追いかけてきました。

\ココがポイント/✅娘が一人で留守番をしていると山姥がやってきた✅山姥がご飯を食べている隙に娘は逃げ出すが、山姥が追いかけてきた

追いかける山姥、逃げる娘

次第に山姥が娘に追いついてきて、今にも山姥の手が背中に触れそうになります。ちょうどその時、娘は柴(雑木)を刈るおじいさんに出会いました。「私は山姥に追いかけられています。どうか私を隠してください」とおじいさんに頼み、刈りとった木々の枝の中に隠れます。

山姥がやってきて「どこに隠れたんじゃ」と雑木の束をどけようとしました。ところが山姥は枝の束を抱えたまま、山の斜面を滑り落ちていきました。

\ココがポイント/✅娘は雑木を刈っているおじいさんに会い、枝の束の中に隠れる✅山姥は枝の束を調べようとしたが山を滑り落ちた

2度目、3度目のピンチも切り抜ける

その隙に娘がさらに逃げると、今度は萱(かや※)を刈るおじいさんに出会います。娘は「私は山姥に追いかけられています。どうか私を隠してください」と頼み、おじいさんが刈った萱の中に身を隠しました。

山姥がまたやってきて、「どこに隠れたんじゃ」と萱の束をどけようとします。すると、今度も山姥は萱を抱えたまま、山から滑り落ちました。

娘はその隙にまた逃げ出します。やがて大きな沼の岸のところに出るのですが、これ以上進めません。娘は沼の岸にある大きな木に登ることにしました。そこに「どこへ行っても逃すものか!」と叫んで山姥がやってきました。山姥は沼の水に映った娘の顔を見るやいなや、沼の中に飛びこみます。

その隙を使ってまた娘はその場を逃げ出しました。

——————–※萱とはイネ科のススキやスゲといった、屋根をふくのに用いられる丈の高い草の総称。

\ココがポイント/✅今度は萱刈りのおじいさんに助けを求めて難を逃れる✅沼にたどり着いた娘は木の上に身を隠す✅山姥は水面に映った娘の姿を本物だと思って沼に飛び込む

笹小屋にいた女性と一緒に山姥を撃退

やがて娘は笹小屋が1つ建っているのを見つけます。中に入ると若い女性がいました。これまでのように「私は山姥に追いかけられています。どうか私を隠してください」と女性に頼みます。山姥が飛ぶようにやってくるなか、娘は石でできた大きな箱(からうど、からびつ)の中に隠してもらいました。

娘はどこにいるのかと山姥に問われた女性は「知らないわ」と答えますが、「いや、来ないはずはない。人臭い匂いがする」と言います。「それは今雀をあぶって食べたからでしょう」と女性が説明すると、山姥も納得して「それなら、少し寝よう。石のからうどと木のからうど、どちらにしようか」と尋ねました。女性が「石はつめたいわ、木のからうどの中にどうぞ」と言うと、山姥は木のからうどの中に入って寝てしまいました。

女性は山姥の入った木のからうどに鍵をかけると、石のからうどから娘を出しました。

「私も山姥に連れてこられたのよ。一緒に山姥を殺して里へ帰りましょう」

そしてキリを焼いて赤くし、木のからうどに突き刺しました。しかし山姥はそのことに気付かず、ただ「なんだ、ネズミかい」と言うだけです。2人はキリであけた穴から熱湯を注いでついに山姥をやっつけ、一緒に親のもとへ帰ることができました。

(おわり)

\ココがポイント/✅今度は若い女性のいる小屋に逃げ込む✅娘は石のからうどに身を隠す✅山姥は木のからうどで眠る✅実は女性も山姥にさらわれた身だった✅熱湯で山姥を退治し、2人は無事に家に帰ることができた

子どもと『遠野物語』116話を楽しむには?

しつこく追いかけてくる山姥から逃げるのがスリリングなお話ですね。山姥の声色に凝って恐い雰囲気を出すと、ゾクゾク感が増すでしょう。また、娘の焦った感じなども演じられるといいですね。

お話のあとで、・どの場面が面白かった?・自分なら脅されて戸を開けちゃう?・最後に山姥を退治するのはどう思う?など聞いてみるとよいかもしれません。

また、山姥を殺してしまうシーンは、怖がらないようにあっさり話すなど、工夫して読んであげるなどして、親子で楽しんでみてください。

まとめ

何度も何度も山姥が追いかけてきて、ドキドキハラハラさせられる『遠野物語』116話。意外と山姥が間抜けというのがお話に滑稽さを与えています。お子さんの性格に合わせて、怖さと滑稽さのバランスを調整してあげましょう。

ちなみに、116話は「昔々あるところにトトとガガとあり」という一文から始まります。おとぎ話を始める時の決まり文句はそのまま活かして、お子さんにお話ししてみるのも楽しいですよ。

(文:千羽智美)

※画像はイメージです

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