最もカンタンに相手と距離を縮めるのは「失敗談」?感情を揺らせば信頼感は次第に高まっていく

2024年6月14日(金)12時30分 婦人公論.jp


(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

フリーアナウンサー下間都代子さんが、SNSで2000人にとったアンケートでは約7割の人が「自分の声が嫌い」と答えたそう。しかし下間さんは、「話し方一つで、あなたの『声』は良くも悪くも印象が変わる」と話します。そこで今回は、下間さんの著書、『「この人なら!」と秒で信頼される声と話し方』から、信頼される「声」と「話し方」のスキルを一部ご紹介します。

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「感情」を揺さぶるコミュニケーション術


人は大人になると、感情を出さなくなる。かつては欲しいものを欲しい! と、その場で床に寝転んで駄々をこねた子どもも、いつしか理性を持って、感情をセーブするようになる。

特に初対面の相手に自分の感情を出すなど、そんな子どものようなことはできない、いや「してはいけない」と思っている。

だから、最初はヨロイも身につけているし、感情が伴うような本音は見せないのである。

「笑う」「笑わせる」というコミュニケーションほど、人と人の距離を縮めるものはない。ここで一番簡単な方法が「失敗談」を話すことだ。

笑える失敗談で安心感が生まれるのと同じように、ネガティブな自分を晒すことで相手はやはり安心する。失敗談とネガティブ話で笑うことにより、心が動き、扉が開き始める。

すると、「この人になら」自分の本音や感情を見せても良いのではないか? と感じ始める。そこで、次のように相手に言ってみよう。

「あなたにはこんなことありませんよね?」

これを「決めつけクエスチョン」という。

「ありますよね?」というのではなく、「ありませんよね?」という“否定の表現”で問うことによって、相手の感情を揺さぶることができる。

「完璧」だと思われることを嫌がる


多くの人は「失敗談」もあれば「ネガティブ話」も持っている。

しかし、このときの問い「あなたにはこんなことありませんよね?」のニュアンスには「あなたのような完璧な人には、こんな経験ありませんよね?」の意が含まれている。

ほとんどの人が、「完璧」だと思われることを嫌がる。完璧だと思われてしまうと、失敗したときに損だからだ。

だから慌てて否定してくるはず。

「そんなことありません。私もしょっちゅううっかりしています」
「そんなことありません。私もダメなこと、たくさんありました」

このように返してきてくれたらこちらのペース。「相槌」のテクニック、「ええっ? 本当ですか!」をやや大袈裟に言おう。

このリアクションによって、相手は「自分の返答があなたの感情を揺らした」と思う。

自分の自己開示をきっかけに


そして、相手は、

「本当ですよ!」


(写真提供:Photo AC)

と意気揚々と答える。

そこですかさず、あなたは、

「どんなことがあるのですか?」

と質問を投げ、相手が話し始めたら、「それでそれで?」

と煽り、盛り上げていく「合いの手」の相槌を入れる。

この「それで」という言葉は、もっと先が聞きたい、という「興味」を表す言葉であり、相手は「自分の話に食いついてもらっている」と感じ、承認欲求が満たされる。

さらに、

「そうなんですね! それでどうしたんですか?」

こんなふうに前のめりに聞かれると、「たいしたことないんですが」と言いつつも続きを話したくなる。相手の感情を揺らしたはずが、いつの間にか自分の感情も揺らされている。

このように、自分の自己開示をきっかけに、相手の自己開示にも繋がった。

「安心」と「嬉しさ」


あとはしっかり、頷(うなず)きながら親身になって耳を傾け、相槌と質問を挟んでいけば、さらに2人は腹を割って話せる関係に発展する。

お互いに感情を揺らすコミュニケーションをとることによって、次第に信頼感が高まっていく。

もちろん誰しも自己防衛していて当たり前だと最初は大らかに受け止めよう。様子見の段階でいきなり膝を突き合わせて話してくれるほど、コミュニケーションは簡単ではない。

「聞く力」を発揮して、「肯定的な共感」の相槌を繰り返しながら会話を続けていけば良い。

人は、自分の話を丁寧に親身になって耳を傾けてくれる人に好感を持つ。

自分に自信がない人は「私になんて興味ないでしょうから、お時間をとらせたくありません」などと言うが、これは不安な気持ちの裏返しである。

人は、「そうなのですね」と承認されるたびに安心する。
また、「わかります」と言われるたびに嬉しくなる。

このような「安心」も「嬉しさ」も感情の一つ。相手の感情を動かすことができると、「この人なら話してみても良いかも」から「ヨロイを脱いでまずは話の席に着いてみよう」という態度に繋がっていく。

※本稿は、『「この人なら!」と秒で信頼される声と話し方』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

婦人公論.jp

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