なぜ?「ウサギの島」大久野島に、居なかったはずの野良猫が...

2018年6月18日(月)11時0分 Jタウンネット

瀬戸内海には多くの島々が浮かぶが、そのうちのひとつ、広島県竹原市の大久野島(おおくのしま)のことを知っている人は少なくないだろう。名前は知らなかったとしても、「ウサギの島」と言えば、「ああ、あの島」となるはず。


島内のあちこちでウサギが跳びまわる様子はメディアでもよく取り上げられ、野生のウサギと触れ合える島として人気に。竹原市によると、2017年度は36万人以上が島を訪れたという。


そんなウサギの楽園に、野良猫が増えていると18年6月12日付の中国新聞オンライン版で報じられていた。一体何が起きているのだろう。


無責任なことをしているのは誰だ


人がいる島なら、野良猫くらいいるのではと思われるかもしれないが、戦時中に陸軍の毒ガス工場が設置されていた大久野島に「住民」はおらず、町もない。戦後は国が管理する国定公園となり、国民休暇村が設置。現在島に常駐しているのは休暇村の従業員だけだ。


つまり、一般的な「人が住んでいる島」とは状況がまったく異なる。そんな大久野島になぜ野良猫が現れたのか。


Jタウンネットはまず、島の状況を間近に見ているであろう休暇村に取材を行った。取材に答えた担当者は「現状どのくらいの猫がいるのかはわからない」としつつ、次のように話してくれた。


「猫の生息数や生息状況はわかりませんが、もともと猫はいなかった島で、昨年ごろから目撃情報が寄せられるようになりました。今年も休暇村の利用者の方から連絡があり、数匹を保護しています」

休暇村は島の管理を行っているわけではなく、詳しい状況はわからないとのこと。そこで、次に大久野島を管轄する環境省広島事務所に取材を行い、5月に島の現地調査を行ったという担当者から話を聞くことができた。


「大久野島に本来野生の猫は生息しておらず、住民がいないため飼い猫が逃げ出すこともありません。休暇村の従業員が飼育していたわけでもなく、想定される侵入ルートは、来島者が島外から持ち込んだということになるでしょう」

現在は駆除されていないものの、以前はイノシシが別の島から海を泳いで侵入してくることがあったという。しかし、ネコが海を泳いで島に来るというのは、他の島々や陸地からの距離を考えても、あり得なさそうだ。


誰かがわざわざ島にやってきてネコを捨てていることになる。環境省の担当者も理解できないと、呆れたように指摘した。


「なぜ大久野島までやってきて遺棄していくのか、我々には見当もつきません。理由を知りたいくらいです。大久野島はネコが暮らしやすい環境ではなく、遺棄されたネコが無事に生きていけるかはわかりません。なにより、ペットを遺棄するのは違法行為であり、許されることはでないのです」

担当者が島を訪れた際はネコを確認できず、恐らく10匹もいないのではないかと話す。現在は誰かが飼い猫を忘れていったという扱いで、「遺失物」として休暇村の従業員が保護しており、ペットを遺棄しないよう呼びかけるポスターなどを掲出しているが、根本的な解決になるわけではない。


「今後どのように対応するかは決まっていません。ただ、繰り返しにはなりますが、ペットの遺棄は違法であり、大変無責任な行為であるということはお伝えしておきたいと思います」

Jタウンネット

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