「寝る前にどうしても食べたい」「食後のうたた寝」は脳の機能低下の証拠かも。専門医提案<血糖値の乱高下>を防ぐ食事のとり方

2024年6月27日(木)12時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

厚生労働省は2024年5月8日、認知症の患者数が、2060年に推計645万人に上ると公表しました。そのようななか、認知症診療医の今野裕之先生は「『寝る前3時間は食べない』という習慣を身につけるだけで、認知症予防に繋がる」と話します。そこで今回は、今野先生の著書『ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」から始めよう 認知症診療医に教わる最強の生活習慣』から、誰でもすぐにできる認知症予防のコツを一部ご紹介します。

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「寝る前にどうしても食べたい」は、すでに脳に栄養が届きにくい状態かも


寝る直前まで食べたり飲んだりしていると、逆流性食道炎や睡眠の質の低下、認知症リスクの増大など、多くのデメリットがあります。

「寝る前に食べてはいけないことはよくわかりました。でも、おなかが空いていたら眠れないでしょう」

たしかに空腹になるとイライラして眠りを妨げられることがあります。

もしその日に晩ご飯をしっかり食べる時間がなかったならば、仕方ありません。

必要な栄養を摂るためにも、あまり胃に負担にならない消化の良いものをよく噛んでゆっくり食べましょう。

空腹感の主な原因


しかし、今さっき、しっかり夕飯を食べたというのに、なぜか寝る時間になると空腹を感じているという場合、いったい体の中で何が起こっているのでしょうか。

「おなかが空いた」という空腹感の主な原因は低血糖です。


『ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」から始めよう 認知症診療医に教わる最強の生活習慣』(著:今野裕之/世界文化社)

低血糖になると、細胞のエネルギーの元になるものが少ないので食べ物が欲しくなります。

また、お酒を飲んだ人は、アルコールに食欲を亢進させる作用があるため、何か食べたくなるということもあります。

ストレスの緩和も大切


日頃から不安やイライラした気持ちを抱えている人は、ストレスの影響もあるかもしれません。

ストレスがかかると「コルチゾール」などのホルモンが分泌され、それらの影響によってさらに何かを食べたくなります。

このようにして起こる空腹感を、糖をふんだんに使用した甘いお菓子やジュースで紛らわせていると、インスリン抵抗性が発生し、インスリンが分泌されても糖を細胞に取り込めずエネルギーに変えることができない状態になります。

こうなるといくら食べても脳はエネルギー不足のままで、「何か食べたい」と強く感じてしまうのです。

このようなときには、ストレスを緩和することも大切です。

軽いストレッチやヨガのような体操をするのも、リラックスできておすすめです。

口にするものは、糖が少なくたんぱく質が多めのもの、たとえば、適度に温めた無糖の豆乳、アーモンドミルク、オーツミルクなどがよいでしょう。

晩ご飯や晩酌の後にちょっと寝てしまう人


食べ過ぎや糖の摂り過ぎなどの生活習慣によりインスリン抵抗性が発生すると、血糖値が急激に上がり、そのあと急激に下がる「血糖値スパイク」が起こりやすくなります。

このときよく見られる症状が「食べると眠くなる」というものです。

夕飯や晩酌のあと、軽くうたた寝をするのは至福のひとときであるとはいえ、そこで寝てしまうと夜になっていざ寝ようとしたときに目が冴えて眠れなくなってしまいます。

これが原因となって「眠れない」「寝酒をする」という悪循環にはまっている人も、多いのではないでしょうか。

食後のうたた寝が習慣になってくるのは、多くは中年以降です。

歳を取るほどに、少しずつインスリンの効きが悪くなり、食後の高血糖が起こりやすくなっている可能性があります。

眠くなっているということは、脳の働きが悪くなっているということです。

働き盛りの中年であれば、仕事のパフォーマンスにも直結する大問題です。

食事の際はおかずから食べ、お米やパン、麺類は最後にする、炭水化物は控えめにする、よく噛んでゆっくり食べる、食べてから軽く運動するなどにして、血糖値が急激に上がらないように工夫をしましょう。

糖尿病になっていなければ、インスリン抵抗性は改善できる可能性があります。

そうすれば、血糖値が上がりにくくなり眠気を感じずに活動できるようになります。

※本稿は、『ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」から始めよう 認知症診療医に教わる最強の生活習慣』(世界文化社)の一部を再編集したものです。

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