「こういうのが好きなんでしょ?」 今は失われた、夏らしすぎる光景に反響
2021年8月11日(水)18時0分 Jタウンネット
2021年8月5日、連日のように猛暑が続く中、次のようなツイートが投稿され、大きな注目を集めている。
夏「こういうのが好きなんでしょ?」 pic.twitter.com/nXQTU0qULZ
-- 四季しのぶ??????桃県民 (@shikishinobu) August 5, 2021
写真に撮られているのは、流水の中で冷やされている飲料のようだ。「ラムネ」「サイダー」「ビール」といった看板も見える。いかにも涼しげだ。
コメントには、「夏『こういうのが好きなんでしょ?』」とある。思わず「うん」と頷いたのは、筆者だけではあるまい。
「四季しのぶ」(@shikishinobu)さんが投稿したツイートには、なんと26万5000件を超える「いいね」(10日夜現在)が付けられ、大きな話題となった。
ツイッターには、こんな声が寄せられている。
「見ているだけで涼しくなるとは、こういうこと。 ラムネが飲みたくなります(笑)」
「つい買って夏だな〜と体感する 今は帰れないけどね」
「実家の方これで胡瓜や西瓜を冷やしてましたね... 夏ならではという感じでいいですねぇ」
「実際はたいして冷えていなくても心理的にはキンキンに冷えてやがるやつ」
「川で冷やしたもんって何であんなに美味いんだろうな」
「本当は 冷蔵庫の方が冷える筈ですが...断然、こっちが好き」
ツイッターの反応は、きわめて正直だ。コロナ禍で自宅にひきこもって鬱々としている人々の琴線に触れたのかもしれない。
Jタウンネット記者は、まず投稿者「四季しのぶ」さんに話を聞いてみた。
失われた光景だった
投稿者「四季しのぶ」さんは福島市在住。会津問屋という歴史系サークルに所属しているという。投稿のきっかけについてこう語った。
「毎日あまりにも暑かったので、何か涼しげな写真でも上げようかしら、とホントに軽い気持ちでつぶやきました」
四季しのぶさんは、年に何度も大内宿を訪問しているという。投稿した写真は4年前のもので、大通り沿いの水路を利用して飲料を冷やしている光景を捉えたもの。複数の店が、このような形でドリンクを販売していたそうだ。
そこでJタウンネット記者は、8月9日、大内宿観光協会に、「現在も、流水で飲料を冷やしているのだろうか?」と問い合わせてみることにした。
大内宿は福島県南西部、南会津郡下郷町にある。江戸時代から宿場町として栄えたところだ。茅葺屋根の民家が街道沿いに建ち並び、店舗兼住居として生活しながら、この景観を引き継いでいる。1981年には国選定重要伝統的建造物群保存地区に指定された。
Jタウンネット記者の質問に対して、大内宿観光協会事務局担当者からは、次のような回答が返ってきた。
「大内宿は、街道沿い左右に茅葺き屋根民家が立ち並び、民家の前、左右2本の水路が流れております。
以前は、Twitter画像のように水路に『ラムネ』『ジュース』『果物』『野菜』を冷やして販売しておりました。しかし、保健所から衛生上の指導を受けまして、現在は水路で商品を冷やして販売しておりません」
「山から流れる自然の水路なので、『水道水などとは違い100%安全とは言えません。』という保健所からの指導でした。但し、夏場のお盆時期など各家に親戚等が多く集まる際に、自家用の飲料やスイカ等を冷やしている場合があります」(大内宿観光協会事務局担当者)
現在はもう、見ることができない光景になってしまったようだ。残念だが、仕方がない。
たまたま自家用の飲料やスイカが冷やされているのを見かけることがあるかもしれないが、あくまで自家用で買うことはできない。しかし、それはそれで癒やされる光景かもしれない。
海外からも反響
また冒頭のツイッターには、こんな感想もあった。
「子供の頃、おばあちゃんの家では沢で冷やしてました。きゅうり、トマト、スイカ、サイダーetc. 野菜はおばあちゃんが畑で作ったもの。水温はもとより、沢の流れや音も清涼さを演出してくれていました。ちなみに奥会津でした」
「残念ながら今はこの冷やし方をしていませんが、水路では運が良いとサンショウウオが見つかります」
奥会津や南会津には、奥深い自然が広がっている。
ラムネやサイダーは冷蔵庫で冷やされた商品を購入することにして、サンショウウオなどを探すという楽しみもあるようだ。
また、海外からの反応も見られた。
「海外住みなので思わず日本の夏らしさに反応してしまいましたが、まさかの大内宿!懐かしいなぁ」
「They do this in Texas too.」
「メキシコでも、もそのように飲み物を冷やします」
テキサスやメキシコからも、共感の声が上がった。水路で飲み物を冷やす文化は、太平洋を挟んだアメリカ大陸にも存在するらしい。
「こういうのが好きなんでしょ?」に反応する人たちは、けっこう世界中にいるのかもしれない。