プログラミング教育で養えるものって?PTA会長のエンジニアパパが解説(2)
2018年9月5日(水)10時15分 リセマム
プログラミング教育で養う「プログラミング的思考」とは
ではそのプログラミングの考え方(前回の記事「なぜ小学校でプログラミング?PTA会長のエンジニアパパが解説(1)」はこちら)とは何でしょうか。プログラミング教育の目指すところは、「普遍的に求められる力」としての「論理的思考力」を身につけることだと説いています。有識者会議でのまとめには、次のように記載があります。
プログラミング教育とは
子どもたちに、コンピューターに意図した処理を行うように指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むこと
プログラミング的思考とは
自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力
プログラミングでは、ある抽象的な動作・処理を、細かく最小限のステップへと分解して分類し、順番に実行していくことで、ある動作を実現しています。このように、物事を分解して本質を見極め、分類して整理することによって、論理的な構造を考える力を養うことを、プログラミング教育では求めているのでしょう。
プログラミング教育は、小学校課程の目的にかなっている
そもそも、義務教育の目指すところは、教育基本法5条にあるとおり、次の2つです。
・各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、
・国家および社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うこと
小学校では、原則的に「基礎」「基本」に「興味を持ってもらう」ことを軸にして、各教科をまんべんなく学習します。上の2つは、どのような職に就くとしても活かすことのできる資質・能力です。将来、さまざまな職業の中から選択を行うときに、その幅を狭めずに、広く門戸を開いておくことが、小学校教育課程での重要な要素となります。
小学校6年間は、幼児教育で学んだことを活かしながら、身近な生活での体験を通じて、具体的な事象を捉え、抽象的な思考力を高めていく発達段階だとされています。このような体験から得られる気づきにより、基礎的な能力を身につけていくことが、小学校課程の教育です。
これはプログラミング教育においても同様で、「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」によると、「体験」「気づき」「身につけてほしいこと」は次のとおりです。
体験
・コンピューターに、意図した処理を行わせるように指示することができる
気づき
・身近な生活にコンピューターがあること
・問題の解決には手順があること
身につけてほしいこと
・基礎的な「プログラミング的思考」を身につけること
結局は地域次第?どのように小学校課程で教育するのか
ではこれらを具体的に、どのように小学校で学習していくのでしょうか。
図1.1に以下の記述がありますので、こちらを確認しましょう。
こうした資質・能力を育成するプログラミング教育を行う単元について、各学校が適切に位置付け、実施していくことが求められる。また、プログラミング教育を実施する前提として、言語能力の育成や各教科等における思考力の育成など、すべての教育の基盤として長年重視されてきている資質・能力の育成もしっかりと図っていくことが重要である。
要するに「学校で考えて」と読み解けます。実際には、各教育委員会や小学校が連携をして、授業内容を準備・決定していくことになるはずです。いくつかの学校ではすでに授業に組み入れており、2020年に向けて、そういった先行事例を手本に進めていくことになるでしょう。ですから、同じ地域の各小学校では、同じような教育方法が採られるのではないかと考えています。教科書については、検定の教科書により統一が図られるでしょうが、教師への教育・指導や、学校のICT 環境の整備にはばらつきがあるのではないか、といった不安要素があります。
これらの情報だけでは、保護者の方にとっては、新しく始まるプログラミング教育に対して、どのような準備をしておけばよいのか、プログラミング教室に通わせるべきなのか、悩みは尽きません。
そこで次章ではより具体的に、プログラミング教育により、各家庭へどのような影響が発生するかを考えていきます。