ディオール、グッチ、ボッテガ・ヴェネタ…贅を尽くしたラグジュアリーブランドのハイエンドスニーカー5選

2024年9月20日(金)8時0分 JBpress

今や運動靴という枠組みを飛び越え、1つのカルチャーとしても世界中で愛されているスニーカー。その魅力である軽快な履き心地と個性豊かなデザインは、一流の革靴を日々の相棒とする読者諸氏をも魅了してやまない。ここでは“本物”を知る大人の男が選ぶべきスニーカーを提案する。

写真=青木和也 スタイリング=泉敦夫 文=TOMMY 編集=名知正登


「革靴がなければスニーカーを履けばいいじゃない」

 先入観というのは実に厄介で、あらゆる事象の本質を捉えにくくしてしまう。例えば「パンがなければブリオッシュを食べればいいじゃない」という有名なフレーズ。18世紀フランスで活躍した哲学者のジャン=ジャック・ルソーが著書において、農民が主食として食べるパンに事欠いていることを知った大変に身分の高い女性の言葉と記し、のちに「Let them eat cake(ケーキを食べればいいじゃない)」という“身分の高い人物は庶民の生活に疎い”と示す際に引用される慣用句ともなった。

 この女性をマリー・アントワネットと記憶している人も多いだろうが、それは全くのデマ。あくまで“そういうことを言いそう”という先入観によりもたらされたもの。このように無意識下でかかるフィルターが、今回のテーマ“ラグジュアリーブランドのハイエンドスニーカー”を取り挙げる理由へとつながる。

「世界中のセレブレティたちに愛されるラグジュアリーブランドの作るシューズであれば、間違いなく良いものに決まっている」。客観的に考えてこれは事実であるのかもしれない。だが実際に手に取り、触れてみなければその本質を語る言葉は空虚なものとなる。

 ならばと誰もが知るブランドの5つのモデルをここに集めた。先述のルソーは「Living is not breathing but doing(生きるとは呼吸することではない。行動することだ)」という言葉も残している。とにかくまずは先入観なしに足を通してみてはどうだろうか。さすれば“本当に価値あるものとは何か”の答えが得られるはずだ。

1. DIOR「B27」


“ディオール オブリーク”などアイコニックなディテールを随所に

 1946年、フランスで創設。第二次世界大戦が終結を迎え、それまで抑圧されてきた人々のファッションへの渇望に、これまでの概念を覆す美しく構造的なシルエットで応え、“ファッションの革命”を起こしたディオール。近年では、ナイキの名作「エア・ジョーダン1」とのコラボレーションを実現させ、新たにスニーカーヘッズらも注目する同メゾンを代表する一足が、1980年代のバッシュを彷彿とさせる「B27」だ。

 アッパー素材は、柔らかくなめらかな質感のスムースカーフスキン。先述のジョーダン1でも採用されたグレー&ホワイトの配色に、アイコニックな“ディオール オブリーク”ジャカードのパネルをあしらうことで、スポーティーなシルエットを洗練された印象に。さり気なくも主張するCD アイコンアイレットやシュータン、ヒールカウンターにあしらわれたロゴも見どころ。

2. GUCCI「Re-Web」


ブランドの伝統と現代的シルエットが融合したスケートトライクな一足

 1921年、フィレンツェにオープンした小さなラゲージ ショップから歴史が始まったグッチ。創設から一世紀を超える歴史の中で、クオリティの追求とディテールへのこだわりによって唯一無二の価値を体現してきた同ブランドの新作は、2000年代初頭のスケートボードシューズを思わせるルックが、現在のトレンドにも合致するだけでなく実に新鮮。

 手掛けたのは、2023年に新クリエイティブ・ディレクターに就任したサバト・デ・サルノ。彼が同ブランドのためにデザインした初のスニーカーでは、ブランドの伝統を受け継ぐウェブストライプを、存在感の際立つディテールとして現代的なシルエットと融合させるだけでなく、ブランドシンボルであるオリジナルGGキャンバスとホワイトレザーで仕立てられている点がポイント。グリーン&レッドの象徴的カラーもさり気なく目を引く。当然ながらメイド・イン・イタリーである。

3. Bottega Veneta「Flex Sneaker」


テッキーなルックスが視線を集め、あのカリスマ・ラッパーも愛用

 細く平たいレザーの革ひもを手作業で編み込むことで、耐久性とエレガントなデザイン性を両立させた“イントレチャート”。この技法を用いたレザーアイテムで名を馳せるボッテガ・ヴェネタだが、ここで取り挙げるモデルは、既存のイメージを刷新するようなフレッシュなムードが漂う。それもそのはず。数々の名門ブランドで経験と知識を積み、新たなクリエイティブ・ディレクターに就任したマチュー・ブレイジーが今年発表したのが本モデル。

 ラバーインジェクション製法を採用し、軽く伸縮性のあるニット素材のベースと堅牢かつ防水性と防滑性を備えたラバーパーツを一体化させたテッキーなルックスが特徴。時代の空気感にもマッチし、ファッショニスタとしても知られるカリスマ・ラッパー、エイサップ・ロッキーが色違いを着用。これにより、スニーカーマニアとストリートが今最も注目する一足の仲間入りを果たした。

4. Maison Margiela「REPLICA」


1970年代のトレーニングシューズを独自の解釈にて具現化

 1994年にメゾン マルジェラが発表した「レプリカ」コレクションは、時代を超えた普遍性をコンセプトに、オリジナルのアイテムがすでに時代を経てきたものであるという原則に基づいている。それらのアイテムは、シーズンのインスピレーションによって再解釈され、時代とともに進化している。その中でも誰もが知るのが、1970年代に東ドイツ軍でトレーニング用に制式採用された通称「ジャーマントレーナー」から着想を得た「レプリカ」スニーカー。

 アッパーを上質なナッパレザーとスウェードで構築することで武骨さを打ち消し、オリジンとの差異であるシュータンのアレンジで、ミニマルでありながら魅力あふれる一足に。今シーズン登場した新色のグレーのワントーンを選ぶことで周囲との差別化も図るのもアリだ。

5. MARNI「Pablo Sneaker」


シンプルなアッパーとチャンキーなソールが生むミスマッチ感の妙

 1994年、イタリアはミラノで誕生したファッションブランド、マルニ。そのスタイルの特徴を挙げるならば、ボリューミーかつ構築的なシルエットと、形式に囚われない自由な発想力ではないだろうか。事実、シグネチャースニーカーとして評価の高い「パブロ」シリーズがまさにそう。

 アッパーは上質なナッパレザーを採用しつつシンプルのひと言。そこに合体させた分厚いチャンキーソールが、フォルムに大きな変化をもたらす。これによってブランドの特徴であるポップさと重厚感、さらに高級感をひとつに。また気になる肝心の着用感だが、その点ももちろんご安心を。トゥに向かって厚みを増すことで足元に立体感を増しながらも、履き心地自体はいたって快適。加えてヒールパッチも厚くすることで、インパクトあるバックシャンを実現。様々な着こなしに取り入れてみたくなるチャレンジングな一足といえよう。

筆者:TOMMY

JBpress

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