こうやって飛んでいくんだ! 空に向かうトビウオが海を切り裂き生み出す芸術

2022年10月15日(土)8時0分 Jタウンネット

「加速中のトビウオが切り裂いた海面の美しさ!」

そんなつぶやきとともにツイッター上に投稿された写真が注目を集めている。

真っ青な海面に、ジグザグとした軌跡を描いているのは、翼を広げた1匹のトビウオ。尾びれで水を左右に蹴りながら、滑空する前の助走をつけている瞬間だという。

写真右下から左上まで走る小さな波の連続は、まさに海面を切り裂く芸術のようだ。

この写真は海や海の生き物を中心に撮影する写真家・岡野哲也さんが2014年7月21日、八丈島沖を航行する小笠原海運の貨客船「おがさわら丸」から捉えた一枚。2022年10月3日、自身のツイッターアカウント(@shirokito)に投稿したところ6000件を超えるいいね(10月13日昼時点)を集めたほか、

「これは...美しい...」
「尾びれを振って加速するとこんな形の波紋を残すんですね!」
「芸術だ!」

などの声も寄せられている。

一体どうやってこの光景を撮影したのだろう? Jタウンネット記者は5日、岡野哲也さんに話を聞いた。

すべての条件が揃ったレアな一枚

撮影当日は、ちょうどトビウオが日本に近づくシーズン。岡野さんはおがさわら丸のデッキで、日の出の時間からシャッターチャンスを狙っていた。

八丈島から東京竹芝に向かう船は、黒潮を横切る航路でトビウオが一番多く見られるエリアを航行。風や潮汐、潮流などで海面は少なからず波立つものだが、その日は海況も良く風も無い穏やかなコンディションで、運よく全く波のないツルツルの「ベタ凪」にも遭遇できたという。

しかし、ベタ凪は長く続くものではない。数分経てばさざなみが経ってしまうのだ。そんな海の上をトビウオが飛ぶ瞬間に出会うこと、そしてその時にシャッターを切ることは至難の業に違いない。

「私の感覚では毎年数回から数十回航路に乗って観察をしていても、天気の良いベタ凪の日にトビウオが飛んで撮れるということは2〜3年に1〜2回程度という認識です」(岡野さん)

岡野さんは日の出から日没までずっと船のデッキで海を観察しながら、その時を待つ。カメラの電源は入れっぱなしにしてスリープさせず、事前にピントを魚が出そうな位置に合わせておくという。

そんな臨戦態勢を長時間にわたって続けていても、トビウオたちは容易にはその姿を撮影させてはくれない。岡野さんはこう語る。

「何故かお茶で一息とか、カメラを手放しておにぎりを食べた瞬間にトビウオが出たりする時があるので悔しい思いも結構しています」

ベタ凪で天気も良く、さらに運よくトビウオが飛んでいるという条件が全て揃って初めて成立する、類まれなる海の芸術。岡野さんはこの一枚を振り返り、「またいつか絶対撮りたい写真」と意気込んだ。

Jタウンネット

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