これが「豪運」ってヤツか 銚子鉄道が夢グループに最後の交渉...コラボ動画に出演請うた女性の正体【エピソード:鍵を握る奥田さん編】

2023年10月20日(金)21時0分 Jタウンネット

前回までのエピソード:
【エピソード1:極寒の網走編】
【エピソード2:夢のレール編】
【エピソード3:灼熱の護国寺編】
【エピソード4:疑念の熟練刑事編】

「夢グループとコラボして、通販CM風の宣伝を作る」——銚子電鉄・食品事業部の担当課長のA氏は、そんな夢をとんとん拍子で叶えつつあった。

2023年夏、「Jタウンネットが取材したことがある」という奇妙な縁で繋がった夢グループと銚子電鉄。2社の会談はスムーズに進み、A氏の「脳内シミュレーション」を実写化したかのようなプロトタイプも完成。

しかし、「あの人」が足りない。「夢ポータブル多機能プレーヤー」のCMを数十回見直したA氏はそんなことに気付いたという。

Jタウンネット記者にコラボ動画完成までの顛末を明かしたA氏は、その手記「夢から覚めた夢」(全5271文字)の中で、その瞬間のことを、こう記していた。

「亀さん、わかったぞ。鍵を握るのは奥田さんだ」

思わず時刻表トリックを見破った時の十津川刑事の決めセリフを発していた。(誰も聞いている人はいない)

鍵を握る人物の正体とは...

奥田さんとは誰か。「夢ポータブル多機能プレーヤー」のCMに登場する、製品の愛用者である。

「夢ポータブル多機能プレーヤー」のCMをできる限りトレースしたかったA氏にとって、奥田さんの存在は重要。必要不可欠なピースだったのだ。

完璧な動画を完成させるためのキーパーソンに気づいたA氏は、さっそく夢グループに交渉。しかし、問題があった。

奥田さんは夢グループの社員ではなく、ただの愛好者なのだ。

そんな人を銚子電鉄の商品を紹介する動画に出演させるなんていくら何でも無茶に思えるが......A氏からの連絡を受けた夢グループ広報部長が、A氏に寄越した返信がこちら。

お断りしておきますが、奥田さんは夢グループの社員ではありません。夢グループ製品の一愛好者なのですが、明後日こちらに来ますので本人に交渉してみます。

......どういう状況かは全く分からないが、とにかくA氏がツイてることだけは確か。ちょうど、一愛好者が来社する日の直前に、連絡を取れたのだから。

そして、本人への交渉の結果——。

見事出演。

「軽くて持ち歩きが楽なので銚子市内の観光にどこでも持ってゆくことができます」

そんなセリフも言ってもらえて、A氏は「この言葉をご本人から聞けたわが生涯に一片の悔いなし!!」と思ったそうだ。

A氏、最後のミッション

かくして、動画は完成。A氏は最後のミッションに取り掛かる。

今の時代に必要不可欠な"SNS告知"である。

動画制作同様、ここでもA氏のユニークすぎるセンスが活かされるのかと思いきや、パソコンに不慣れだからと、他の人に仕事を丸投げ。しかも、めちゃくちゃな要求と共に......。

「あの男女二人組バンドいるよね、『卒業アルバムの...』そうそう、ボーカルがヨシダさんの。
あの二人の写真、シルエットにして、『?』マークつけてくれない? 何に使うって?夢 グループの動画みせたじゃん、あれあれ。ほら、見てる人にはシルエットで〇リ〇ムと思わせといて、実際見てみたら、って話にするわけ。じゃーよろしくー」

ダメだよ、そんなことしちゃ!!!!!!!!!

頼まれた人も、そう思ったのだろう。翌日、A氏のもとに送られてきたのは「しっかり石田社長と保科さんのもの」とわかるシルエットだったという。

とはいえ、しっかり要望も聞き、"それっぽさ"を演出。A氏の手記は、その画像への感動の言葉とともに終わっていた。

その出来栄えに、無邪気に笑う私がいた。お後がよろしいようで。

画像は20日、銚子電鉄のXアカウント(@choden_inubou)から、こんなつぶやきと共に投稿される。

【夢は、かなう】
あの"国民的音楽グループ"が弊社の紹介動画を作ってくださいました!
こんな未来を予想図できなかった!?
担当が7月7日、星に願った夢が現実に!
ぜひご覧ください

夢グループは通販のほかに、コンサートの主催や、所属歌手のCD制作も行っている。石田社長も保科さんと共に「夢 石田社長と有里」として楽曲を発表。「音楽グループ」と呼んで、間違っていることはないだろう。

投稿を見たユーザーからは、こんな声も寄せられていた。

「『未来を予想図』でマジか!?と思ったら完全に騙された(笑)」
「夢は、かなう...ってそっちかよw」
「うわぁ!まさかあの2人が!?(笑)」

うっかり騙されて動画を見に行ったという人もいるようだ。

さて、Jタウンネット記者と辿る「銚子鉄道×夢グループ」コラボ実現までの旅も、ここが終点。また新たな旅に出るときにも、ぜひ教えてもらいたいものだ。

Jタウンネット

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