「ギザのピラミッドが海中にあった可能性」を研究者が指摘! 内部にウニの化石、古代エジプト文明以前から存在か?

2022年11月4日(金)20時0分 tocana

 三大ピラミッドとスフィンクスを擁するエジプトのギザ台地はかつて海に浸かっていたのだろうか? ピラミッドが考えられているよりもはるか昔に建てられたものであることを示唆する研究結果が報告されている。


■ギザ台地はかつて海に浸かっていた!?

 1990年代初頭、米ボストン大学の自然科学准教授、ロバート・ショック氏はギザ台地のピラミッドとスフィンクスは想定よりも何千年も古い建造物であり、紀元前5000年から紀元前9000年の間に建造されたものであると主張した。


 ショック氏によればギザ台地の遺跡や周辺の景観で発見された水の侵食パターンに基づくと、ギザ台地の古代構造物は主流の学者が示唆する紀元前2500年頃よりもはるかに古く、地域全体がかつて水中に沈んでいたと考えられるというのである。


 ショック氏の主張はアカデミズムの世界ではいったん保留という形になっているのだが、その後になってこのショック氏の学説を力強くサポートする研究が報告されている。


 ギザ高原で20年以上にわたって広く研究してきた考古学者のシェリフ・エル・モルシ氏と、彼の同僚であるアントワーヌ・ギガル氏もまたギザ台地がかつて海に浸かっていたことを主張し、特にギザの第3ピラミッド(メンカウラー神殿)は、ギザ台地が海水に覆われていた時代のラグ—ン(外海から隔てられた浅瀬)にあった可能性を指摘している。


 エル・モルシ氏らがギザ台地の古代海岸線を調査している時、第3ピラミッドの2階部分で何かにつまづいて転びそうになったことがあったという。


 足をつまずかせた突起部分を調べてみると、それは比較的浅い海に住む海洋生物であるエキノイド (ウニ) の化石であったのだ。


 エル・モルシ氏によればその当時の海水面は現在よりも75メートル高いと考えられ、これによりモルシ氏らはギザ台地が遠い過去に高潮によって氾濫したのだと説明できるという。そしてピラミッドとスフィンクスを擁するこのギザ台地の全体が潮の満ち引きで水没したり露出したりするラグーン(潮間帯)であった可能性を指摘している。


■ピラミッドはエジプト文明よりも前に建てられた!?

 懐疑論者は、ピラミッドの石灰岩で発見されたエキノイドは侵食によって内部にあったものが露出したものだ主張しており、この石灰岩は約3000万年前に形成されたものであると説明した。


 しかしエル・モルシ氏はこの化石化した生物は比較的最近に化石化したものであり、生物がラグーン内でほぼ完全な状態で置かれていることを指摘している。



「私たちは手付かずの状態の外骨格の穿孔の詳細をはっきりと見ることができます。これは海の生き物がもっと最近に化石化したに違いないことを意味します」(エル・モルシ氏)


 エル・モルシ氏が一帯のピラミッドをはじめとする遺跡を調べると、波による浸食痕がはっきりと刻まれており、過去に約2メートルの潮間帯が存在したことが示されているという。


 ではこの化石のエキノイドはいつ頃存在していたのか。研究者によると、過去10万年の間にこの地域の海面は 120メートル以上変動したと考えられているため、正確なタイムラインを特定することは困難であるという。前出のショック氏はざっくりと紀元前5000年から紀元前9000年と示唆している。


 そしてそのようなタイムタインであれば、ギザのピラミッドとスフィンクスは古代エジプト文明の前から存在していたことになる。ピラミッドは古代エジプト人が建てたのではなく、むしろピラミッドがあった場所に古代エジプト人が定住していたことになるのだ。ピラミッドを見て我々が不思議に思うように、古代エジプト人にとってもピラミッドは不可解な謎の建造物であったかもしれない。


 ピラミッドとスフィンクスは超古代先進文明の痕跡なのだろうか。現在進行形の調査と研究の動向に目が離せない。



参考:「Curiosmos」、「Gigal Research」ほか

tocana

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