マザー・テレサは破壊神「カーリー」の生まれ変わり? インドの神として祀られる霊的な理由

2022年11月7日(月)14時30分 tocana

 東京・目黒区にて10月2日、毎年恒例の一風変わった「かかし」展示が行われている。今年のテーマは世界平和であるが、そこにはマザー・テレサの「かかし」も見られた。インドではマザー・テレサの山車があるという。


 マザー・テレサ(1910-1997)といえば、言うまでもなく、世界に名だたるインドの聖人、コルカタの聖テレサである。カトリック教会の修道女にして修道会「神の愛の宣教者会」の創立者、2016年9月には聖人認定された人物だ。


■コルコタの聖女テレサの光と影

 


 貧富の差が激しいインドにおいて、病者や貧者への施しを行った聖人マザー・テレサにはさまざまな逸話がある。1973年にはテンプルトン賞、1979年にノーベル平和賞、1980年にインド最高の名誉であるバーラト・ラトナ賞を受け、1983年には故エリザベス2世から優秀修道会賞などを受賞した。


 その一方で生前から厳しい批判の目にも晒された。たとえば、ハイチやアルバニアなどの独裁者ら政治家との黒いつながり、世界各地の富豪からの資金提供、元フリーメイソン幹部にしてイタリア極右政党との交友など、闇深い噂は絶えない。何よりも、いよいよ死期迫るイスラム教徒やヒンドゥー教徒に承諾なく秘密裡に洗礼を施していたこと、ホスピス「死を待つ人の家」における医療体制の不備などは大問題として、その死後にも糾弾されている。これらについてはトカナでも扱った。


・「マザー・テレサは人身売買していた」世界中で告発相次ぐ! バチカンに巨額送金も… 聖人とは程遠い戦慄の“ダークサイド”判明!


 しかし、また別方向の指摘もある。


■破壊神カーリーと聖女テレサ

 そもそもインドのコルコタは、女神カーリーにあやかる都市である。カーリーは「宇宙の母」ゆえに崇拝され、コルコタは「カーリーの街」を意味する。そんな街でマザー・テレサの活動は始まった。1952 年、彼女は死の女神カーリーを祀る古代寺院の敷地内に、瀕死の患者のための病院を設立したのだ。当初、彼女らは毎日カーリー寺院に行き、その門前で病人や死にゆく人々に奉仕した。こんな逸話が残っている。


 ある日、何度注意しても立ち退かない修道女らに対して、ついに寺院側は怒り、また侮辱されたと感じた地元の人々が彼女らに石を投げた。しかしマザー・テレサたちは行政を説得し、廃寺院の一区画を病床として確保することになった。その後、伝染病(ハンセン病ともコレラとも言われる)が流行し、パニックに陥った人々は地域から逃げ出した。


 しかしカーリー寺院には、その寺の祭司がまだ残っていた。彼は高熱を出して倒れていた。人々は祭司を置いて逃げた後だった。修道女らは祭司を看病し、ついに彼は回復した。そして目覚めた祭司が叫んだ。「私はカーリーを見てきた! それは、あなただ! マザー!」


 また、あくまで噂に過ぎないが、マザー・テレサの個人的な祭壇には女神カーリーの図像が含まれていたとも言われる。



マザー・テレサの霊的実態とは!?

 果たして破壊神カーリーと聖人マザー・テレサには何か関係があるのか。女神カーリーの生まれ変わりが、聖人マザー・テレサだったのか。


 取材班は重要な証言に行き当たった。旧帝国大学で非常勤講師を務めるH氏、また某巨大メディアの幹部T氏である。H氏は、死海写本の実物を読み、シュメール語からギリシア語までを学ぶ研究者だ。一方、T氏は巨大メディアの文化部幹部であるが、実は古神道の祭祀にまつわる家系の人物である。完全匿名を条件に彼らが質問に応じてくれた。


——マザー・テレサの霊力の源泉はどこに?


 


H氏 マザー・テレサに会った人々は誰もが「自分が一番愛されている」と思ったそうです。これを聞いてピンと来ましたね。おそらくマザー・テレサの後ろには、インド土着の神々が憑いていたのではないでしょうか。何かしら相手を魅了してしまう能力をもった神霊の一種ですね。それゆえ誰もが彼女を一目みただけで「自分は愛されている」と感じ、そこにキリスト教的な神の愛を見出したんです。事実、マザー・テレサが神の声を聴いて修道女になったことは有名です。その声は、本当にキリスト教の神の声だったのでしょうか。むしろ土着の神霊の声を聴き、それを強烈なカトリック信仰によって解釈したのではないでしょうか。バチカンが異例の速さで列聖したことも気になりますね。


——現地ではどのように評価されていた?


 


T氏 「カーリーの街」コルコタでの活動開始、死去に際してはインド独立の父マハトマ・ガンジー、初代ネール首相と同じ扱いで陸軍砲車により葬列行進がなされた点、また現在の祭事では象頭神ガネーシャと共にマザー・テレサが山車となっている事実は見逃せません。これらの事実は、カトリックの聖人ではなく、むしろインドの神々の現われとして受容された「マザー・テレサ」の横顔を思わずにはいられません。事実、ウォールストリート・ジャーナルの報道では、マザー・テレサをヒンドゥー教の女神として拝む人々が現れています。


 死と破壊の女神カーリーは、慈愛の女神パールヴァティーと同一視されることもある。そしてパールヴァティーこそ、商神ガネーシャの母である。マザー・テレサとガネーシャの山車が共に練り歩くインドの祭事と日常は何を意味しているのか。破壊神カーリーも聖人マザー・テレサもインドの人々にとって、まさしく大いなる母であったことは間違いない。



なぜ人々はヒンドゥーの神としてマザー・テレサを拝むのか(インド2016)
動画は「Wall Street Journal/YouTube」より



マザーテレサ逝去25周年記念会の様子
動画は「Ranchi Archdiocese/YouTube」より

tocana

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