【食楽検証】前情報ゼロでも行列に並べば旨いものが食べられるのか? 知らないラーメン屋に並んでみたら最高の体験ができた!

2022年11月12日(土)10時51分 食楽web


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●調査内容:何の情報もなく行列ラーメン店に並んだらどうなるのか検証してみる

 海外から日本を訪れる観光客が増えて認知された日本グルメの一つに、ラーメンがあります。その美味しさが世界中で認知されるようになり、いまやすっかり日本食として自慢できる食べ物のジャンルに。ちなみにタウンページによれば、全国47都道府県に登録されているラーメン屋さんの数は、なんと約2万4000軒以上もあるそう。犬も歩けばラーメン屋に当たる状態ですね。

 確かに最近はどの街に行ってもラーメン店に行列ができている風景を見かけます。ということはつまり、初めて訪れた街でも行列にさえ混じれば、そこがどんな店かはわからずとも、ある程度レベルの高いラーメンにありつける可能性が高い、ということでもあります。


三ノ輪駅から徒歩1分の場所にあるラーメン屋『トイ・ボックス』

 先日も東京都台東区三ノ輪に用事があって訪れた際、駅前にあったラーメン屋さんに長蛇の列ができていました。赤い看板には『トイ・ボックス』というラーメン屋らしからぬ楽しげな店名が。これは気になります…。というわけで、どんなラーメンを出しているのかもわからぬまま、何の前情報もなしに、とりあえず並んでみたわけです。

 最後尾につくと、前に並んでいた人が「先に食券を買って並ぶんですよ」と親切に教えてくれました。そこで、「何がオススメですか?」と聞いてみると、「味噌や塩もありますが、僕はここの醤油がめちゃくちゃ好きです」と言って、チケットを見せてくれました。そこには「特製醤油ラーメン」の文字が。


券売機。この日は味噌系の販売はありませんでした

 さっそく店内入り口にある券売機の前に行って確認してみると、「特製醤油ラーメン」はなんと1300円もします! 昔に比べて、日本のラーメンはどんどん高くなっていますね。筆者は貧乏性なので、千円を余裕で超えてくると、ちょっと引いてしまうことが多いんですが、これも何かの縁。筆者もその「特製醤油ラーメン」をポチッ。

 で、結論から言うと、この特製醤油ラーメン、1300円はむしろ安すぎる! と思うくらい感動的な一杯でした。そんなわけで、一体どんなラーメンかご紹介していきましょう。

鶏の旨味がギュギュッと凝縮された至極のラーメンに感激!


「特製醤油ラーメン」1300円

 店内はL字カウンターのみの8席。着席すると、目の前でラーメン作りがよく見えます。厨房のスタッフは2人。

 1人が、温めた丼に黄金色の鶏油を入れ、もう1人がタレを2種類投入。そこに最初の人が透明のスープを注ぎ、茹で上がった麺を湯切りして投入したら、もう1人が、豚チャーシュー2枚、鶏ムネチャーシュー1枚、煮玉子、穂先メンマ、ワンタン2個、九条ネギをトッピング。仕上げに最初の人がまたまた黄色い鶏油をタラーリと回しかけます。この2人による餅つきのようなリズミカルなコンビネーションを経て、「特製醤油ラーメン」が目の前に登場しました。

 おお! 思わず頭の中で喝采が上がります。丼の中がキラキラと輝き、まるで絵に描いたような美しい醤油ラーメン。美味しいものは美しい。これは絶対ウマいやつだと確信。鶏油の香りなのか、醤油タレの香りなのか、なんとも言えない高貴な香りが漂ってきます。

 いざスープをひと口すすってみると、ガツンと鶏白湯の旨みが脳天を直撃。丸みを帯びたまろやかさ。その旨さにジーンと心打たれ、しばし天を仰ぎ見てしまいました。


鶏と醤油が醸し出すスープは絶品です

 続いて、ストレートの麺をすすると、ツルツルと口当たりがよく、噛むと跳ね返るような小麦とスープの旨味が一体化し、波のように旨さが舌の上を駆け抜けていきます。これはウマい! というかもはや美味しいを通り越してスゴい! 麺をすすればすするほど美味しさが倍加していきます。麺がなくなっていくのが悲しくなるくらい。


つるつると口当たり最高の麺が、過不足なく絶品スープを持ち上げます

 麺とスープを味わったら、トッピングへ。まずはワンタン。ツルンとした皮がスープを吸って、クニャリと折り重なっています。口に入れると、トゥルットゥル。織姫様の羽衣もかくや、というような気品あるなめらかタッチ。中には鶏の団子が入っていて、これまたふんわりジューシーでめちゃくちゃ旨し。


特製醤油ラーメンには、大きなワンタンが2つ入っています

 さらにチャーシューもいただきます。ふわふわの豚チャーシュー、しっとりみずみずしい鶏チャーシュー。この豚と鶏のダブルチャーシューを味わうに至り、確信しました。「このラーメン、向かうところ敵なし」と。完璧です。

 そして煮玉子を割れば完璧な半熟具合の黄金色の黄身がとろ〜り。穂先メンマだって抜かりナシ。極上のスープをまとって、しんなり柔らかくて優しい味わいです。

 というわけで、この特製醤油ラーメン、ちょっとすごすぎました。丼内の細部に至るまで、非常に丁寧に作られていて、しかも全てのバランスが完璧。加えて気品までを備えている…。最初に「1300円なんてお高い」なんて思った自分をひっぱたきたいくらいです。

 口いっぱい幸福感を残しながら店を出て、改めてお店を振り返り、『トイ・ボックス』という文字を二度見。ネットで検索してみたら、この『トイ・ボックス』、ミシュラン・ビブグルマンに2015年から5年連続で選出されたお店で、他にも数々のラーメン大賞を受賞した名店中の名店でした。

 しかしこうして知らない街で、行き当たりばったり行列に加わって、まさかこんな絶品ラーメンが食べられるなんて、やっぱり日本のラーメン文化のレベルは高いなあ、と再認識したのでした。

調査結果

 行列店に並んだら美味しいラーメンにありつけた! というか下調べしまくってそれを確認するようにしてお店に行くよりも、偶然の出会いはさらに楽しいことがわかりました。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

店名:ラーメン屋トイ・ボックス

住:東京都荒川区東日暮里1-1-3
営:11:00〜15:00、18:00〜21:00
  日曜 11:00〜15:00
休:月曜(祝日の場合は営業・翌日休業)・第2火曜

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