いま世界でブームが起きている、アディダス オリジナルスの「サンバ」の名前の由来は?HOTで“IT”なスニーカー5選

2024年11月13日(水)8時0分 JBpress

今や運動靴という枠組みを飛び越え、1つのカルチャーとしても世界中で愛されているスニーカー。その魅力である軽快な履き心地と個性豊かなデザインは、一流の革靴を日々の相棒とする読者諸氏をも魅了してやまない。ここでは“本物”を知る大人の男が選ぶべきスニーカーを提案する。

写真=青木和也 スタイリング=泉敦夫 文=TOMMY 編集=名知正登


サッカー用スパイクとして開発

 開口一番、お伝えする此度のテーマは「サンバ」……といっても、ダンサー御用達シューズを取り上げるわけではない。欧州の古豪ブランド・アディダスが、1950年のサッカーワールドカップ・ブラジル大会に合わせてサッカー用スパイクとして開発。その後、ファッションとしても広がった名作のハナシ。

 そのユニークな名称が連想させる南米の伝統的ダンス音楽を由来とする説もあるが、公式見解では誤報との解答。その昔、サッカーの試合時に薄氷の張ったピッチでこのシューズを履いた選手が、卓越したパフォーマンスを披露したことに由来するというのが真相だとか。これは同モデルが有する優れたグリップ力と安定性の証明でもあるわけだが、近年では甲部分が低く設計されたロープロファイルなシルエットを推しどころに挙げる声が大多数。

 歴史的には、1970年代に英国で誕生したサッカー発祥の文化、テラスカルチャーを足がかりに、1990年代にアメリカのスケーター、サッカーとブリットポップを愛するイギリスの若者たちの間で流行。そしてまた歴史は繰り返す。2022年頃より再び脚光を浴び、日本でも老若男女問わずトレンドに。

 そんな「サンバ」を今回は、オリジン、素材違い、ハイエンド、別注という異なる4つの切り口でフィーチャー。流行りというだけで意味なく忌避する人もいるだろうが、かように熱く支持されるのには理由がある。ならばその誘いに乗ってみるのも一興ではないか。「踊る阿呆、見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」とはよく言ったものである。

1. adidasOriginals「SAMBA OG」


極めてシンプルかつ、ベーシックに仕上げられたオリジンモデル

 先述のように元々は、ピッチでの着用を想定して作られた「サンバ」。ゆえにサッカーにおける動作に最適化されたディテールを今も色濃く残している。

 その最たる例が、トゥ部分にあしらわれたT字型のオーバーレイだろう。この意匠は単なるデザイン的装飾にあらず。シュートの際などにダメージを負いやすいトゥ部分の補強を目的とし、同時に美しく流れるような薄型シルエットのキープも担っている。しなやかで屈曲性に優れたレザー素材のアッパーは、スウェード素材のオーバーレイで補強。これまた薄く設計されたガムソールが足裏での繊細なボールコントロールを可能とする。

 キャッチーさを至上とした近年のスニーカートレンドの裏をつく、極めてシンプルにしてベーシックな佇まい。その汎用性は高く、合わせるスタイル不問のユーティリティプレイヤーである。

2. adidasOriginals「SAMBA OG」


クラシックに新たな解釈を加えて、テッキーな素材使いでツイスト

 限られた文字数の中で、いつまでもダンスの話を引きずるワケにはいかないが、前出のOGモデルを“ツイスト”するとどうなるかには興味がおありでは? そこで2足目の「サンバ」には、クラシックに新たな解釈を加えたナイロンアッパーのバージョンを推す。

 ブランドを象徴するスリーストライプスとヒールタブにリフレクター素材を配することで、今旬のトレンドでもあるテッキーな雰囲気を加味。さらにシックな色合いのラバーアウトソールがモダンさに拍車をかける。素材を変えただけで随分と印象は変わるもので、この振り幅こそが「サンバ」が人気の理由のひとつであることは明白だ。

 また色合いこそ落ち着きを感じさせるも、スマートなシルエットが期待させるのは軽やかな足取り。されどヘビーアウター着用の際にも負けない存在感で、冬の着こなしを支えてくれるに違いない。

3. adidasOriginals「SAMBA OG Mil」


職人技が光るメイド・イン・イタリー。革靴にも負けない「サンバ」

 素材を変えるだけでなく同時にハイエンドな高級志向へと舵を切ってみると、そこにはまた新たな景色が広がっているもの。こちらは革の本場としても知られるイタリア製のハンドポリッシュカーフレザーを用いて生み出されたプレミアムな逸足。

 モデル名のMilは当然、Made in ITALYを意味し、着想元である麗しくも堅牢な本格ドレスシューズと同様に熟練の職人技がシューズの細部にまで注入されているだけあって、そのプライスもスニーカーの枠を飛び越え革靴並み。当然ライニングにも上質なレザーを使い、ハンドペイントされたアッパーにラグジュアリーなタッチを添える。またさりげなくヒール部分に赤・緑・白のイタリアンカラーのステッチをあしらうという粋な遊び心にも注視したい。

 周囲との被りも少なく、かつ大人の装いに格上げする品格を備えた一足。ぜひとも挑戦を。

4. adidas Originals for BEAUTY&YOUTH「SAMBA OG」


オリジンの雰囲気を残しつつ季節感を落とし込んだ、匙加減も絶妙

 清潔感と品位を備えた美しさと、自由な発想や知的好奇心から得る若々しさを追求するセレクトショップ、ビューティ&ユースによる別注モデル。

 これまでも幾度となく述べてきたが、既存のアイテムに通常品にはない独自のアイデアを加えて“作ってもらったもの”を別注と称し、本作もオリジンカラーのホワイト×ブラックの雰囲気は残しつつ、温もりのあるダークブラウンをトゥに挿し込むことで、秋冬らしい表情にドレスアップ。加えてソールを透度の低いダークトーンに塗り替えて全体のバランスを調整。この絶妙な匙加減がクラシカルな意匠に洒脱な印象をもたらす。

 その恩恵に預かるならばジャケットやスラックスといったカチッとした服装との合わせが鉄板。もしくはデニムやスウェットといったアメカジの定番に“あえて”合わせてみる選択もアリではなかろうか。

5. atmos×adidas Originals「SAMBA atmos “Tuxedo”」


艶やかな光沢を放つ“タキシード”をモチーフにしたアトモス別注

“スタンダードであること”。これを「サンバ」の美徳と捉えるならば、最後は思いっきりの逆張りと洒落込んで、遊び心全開の一足で締めたい。

 その艶やかな佇まいは、美しい光沢を放つ黒のパテントレザーとメタリックシルバーのイタリアンレザーの共演がなせる技。まるでドレスシューズのようにラグジュアリーな別注モデルを仕掛けたのは、東京のスニーカーカルチャーを世界に発信するアトモスだ。

 配色自体は無駄のない2トーンカラーながら、光の角度によって表情を変えるその姿は、まさに“タキシード”の愛称通り。厳格なフォーマルスタイルの足元に合わせた際にも、この上ないハズシとなるに違いない。このモデルを履くことによって社交界の花形になれる…かどうかの約束はできないが、ダンスフロアの壁の花になる心配はご無用。そう断言して間違いないだろう。

筆者:TOMMY

JBpress

「スニーカー」をもっと詳しく

「スニーカー」のニュース

「スニーカー」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ