AIアートが嫌いな人でも、無意識のうちにAI生成作品の方を好んでいるという調査結果

2024年12月2日(月)19時0分 カラパイア


 image credit:Astral Codex Ten[https://www.astralcodexten.com/p/how-did-you-do-on-the-ai-art-turing]


 AIによって生成された「アート」を嫌う人は多い。まだ不自然なところも多く、作品に込められた心などないからだ。


 だが11,000人以上が参加した新たな実験によると、優れたAIアートは、大抵の人はそれが人間による作品なのか、AIによる作品なのか区別がつかないようだ。


 それどころか、AIアートが嫌いな人ですら、AIが生成したと言われなければ素直に良い作品と感じてしまうという。


 ちなみにトップ画像の答え合わせは本文に書いておいたので、じっくり吟味してみよう。


AIと人間、どちらなのか?平均4割の確率で間違う


 「Astral Star Codex[https://www.astralcodexten.com/p/how-did-you-do-on-the-ai-art-turing]」では、11,000人以上の人を対象に「AIアート・チューリング・テスト」という実験を行った。


 もし自分も試してみたいというひとはこちらのリンク「AI Art Turing Test[https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdqpfY0OXLQoO_UNkhKTAtQbmh8EX_xpAAaGV6mxlBDms9CzQ/viewform]」からテストができる。


 この実験では、参加者にアート作品を見てもらい、それがAIによって生成されたものか、人間が描いたものなのか当ててもらうというもの。


 さらに回答後、アートに関するいくつかの質問にも答えてらう。


 その結果、参加者全体で平均4割の人が間違っていることがわかった。


 とは言っても、結果はそう単純ではなく、ジャンルによってもずいぶん差があるものとなった。


 たとえば、19世紀美術や現代美術の場合は、AIアートであっても人間の作品と誤認されがちだったのに対し、デジタルアートは真逆で人間の作品であってもAIと誤認されることが多かった。



これは人間の手によるもの。ミッチェル・スチュアートによるビクトリア朝のメガシップ[https://www.artstation.com/artwork/mzVo49]で、最も多くの人たちが間違えた(AI として投票する人が多かった)作品だった。image credit:Astral Codex Ten[https://www.astralcodexten.com/p/how-did-you-do-on-the-ai-art-turing]


AIアートに批判的な人でも無意識にAIアートを好んでいた


 だが最も注目すべき点は、参加者から人気があったのは、人間の作品よりむしろAI作品だったことだろう。


 一番人気があったトップ10の作品のうち、6点がAIアートであり、トップ2もAI作品だったのだ。


 しかもこの傾向は、AI生成アートを嫌いと回答している人でも同様だった。



AIアートが嫌いな人でも、好きな作品として選んだJack Galler氏によるAIアートimage credit:Astral Codex Ten[https://www.astralcodexten.com/p/how-did-you-do-on-the-ai-art-turing]


実験結果について、いくつか考慮するべき要因


 今回の実験は11,000人が参加したそれなりに規模の大きなものだ。それでも忘れてはいけないのは、これがきちんと科学的に行われたものではないことだ。


 出題されたAIアートは適当に選ばれたわけではなく、一目でAIとわかるような不自然な手や意味不明な文字が描かれているものは除外され、製作者もAI生成プロンプトに慣れた人物だった。


 そうした出題作品は、AI然としたわかりやすい作品もあれば、印象派を思わせる作品なども多く含まれていた。


 こうしたジャンルが結果に影響を与えた可能性もある。つまりAIアートに人気が集まったのは、その多くが一般に人気がある印象派に似た作風であることが関係するかもしれないと、Astraは推測している。


 また問題が簡単にならないよう、出題作品がじっくりと入念に選ばれている点も指摘されている。つまり出題されたAIアートは、いわば最高品質の作品ばかりだったのだ。


 このことは、AI作品嫌いの人ですらAIアートに高評価を与えた理由を説明するかもしれない。


 つまり出題作品が入念に選ばれた結果、AI作品嫌いの人たちが苦手に思う要素(たとえば、不自然な光沢など)が除外された可能性がある。



AIとする人と人間とする人で意見が分かれた作品、実際には人間によるものだ image credit:Astral Codex Ten[https://www.astralcodexten.com/p/how-did-you-do-on-the-ai-art-turing]


AIアートと人間の作品を見分けるコツは?


 いずれにせよ、高品質なAIアートとなれば、ほとんどの人はそれを見抜けないことは確かであるようだ。


 これはAIが既存の美術作品を平均化し、最も魅力的な部分を選択するよう調整されていることを考えれば、頷けるかもしれない。


 その一方、わずかな違いを鋭く見抜ける人たちも確かにいた。参加者の成績上位トップ5は、50点満点中49点のスコアを収めているのだ。


 だがそのような審美眼を持つ人たちは、どうやってAIと人間の作品を見分けているのだろうか?


 この実験に参加したとあるアーティストがAstralに語ったところによると、ポイントは人間の作品が「論理的」である一方で、AIの作品は「上辺がただ細かいだけ」である点なのだという。


 彼女に言わせれば、AIアートはいわば料理の味と栄養を真似たプロテインシェイクのようなものなのだとか。


 確かに、プロテインシェイクは満腹感が得られるし、それなりに美味しいものもある。だが、もしもそれによって暖かい手料理がこの世から消えてしまったら、あなたは嬉しいだろうか?


 「これを食の未来と呼び、いずれ料理人はいらなくなると主張する人々を想像してください」と、彼女は語っている。


 で、この記事のトップにある2枚の画像の答え合わせをしよう。



 左側がAIで生成した印象派風の作品、右側はかの有名なフランスのポスト印象派の画家、ゴーギャンの描いた「オスニー村の入口」だ。悲しいことにこちらも間違える人が多かったようだ。 


 私もちらっと「AI Art Turing Test[https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdqpfY0OXLQoO_UNkhKTAtQbmh8EX_xpAAaGV6mxlBDms9CzQ/viewform]」にチャレンジしてみたんだけど、かなり難しかったな。初音ミクはわかったけど。


References: How Did You Do On The AI Art Turing Test?[https://www.astralcodexten.com/p/how-did-you-do-on-the-ai-art-turing] / AI Art Turing Test[https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdqpfY0OXLQoO_UNkhKTAtQbmh8EX_xpAAaGV6mxlBDms9CzQ/viewform] / Even People Who Hate AI Art Appear to Actually Prefer AI Art in a Blind Test[https://futurism.com/people-prefer-ai-art-blind-test]

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