腸活の新常識「発酵性食物繊維」とは?

2022年12月22日(木)10時59分 ココカラネクスト

 厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日の食物繊維の摂取目標は21gですが、実際の摂取量は1955年と比較すると約3割も減少しているそうです。

食生活を見直して、上手に食物繊維を取り入れていきたいものです。

そこで、最近腸活で注目されている、「発酵性食物繊維」に着目してみましょう。発酵性食物繊維とは何なのか、発酵食品と何が違うのか、食物繊維研究の第一人者で大妻女子大学教授の青江誠一郎氏に解説いただきました。

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いま注目の発酵性食物繊維とは?

まず食物繊維とはとてもたくさんの種類があり、分類のしかたも分れています。水に溶けやすい「水溶性」と水に溶けない「不溶性」に分類されることなどで知られていますが、いま注目の腸内細菌の働きを助ける視点から見たときに大事なのが、「発酵性食物繊維」となります。これは、腸内細菌のエサとなり、腸内細菌によって発酵されやすい食物繊維のことを指します。

発酵性食物繊維と発酵食品の違いとは?

発酵というと、ヨーグルトや納豆などの発酵食品をイメージする人が多いと思いますが、発酵性食物繊維とは腸内細菌のエサとなり、腸内細菌の発酵を促すものです。さらに腸内細菌が発酵性食物繊維をエサとして発酵することで産出する短鎖脂肪酸に腸内環境の改善をはじめとする健康効果があることがわかっています。

発酵によって作られる短鎖脂肪酸が健康増進に役立つ

発酵性食物繊維をエサとし、腸内細菌が発酵することで産出される短鎖脂肪酸には、下記のような働きがあるとされます。

・腸の動きをよくする
・腸内フローラを整え有用菌がすみやすい環境をつくる
・がん化細胞の増殖抑制
・アレルギーの抑制
・炎症性腸疾患の抑制
・肥満の予防
・便秘の改善
・水分吸収の促進

また、短鎖脂肪酸が腸内に多い母親から生まれた子どもはメタボになりにくいという研究報告もあり、世代を超えて短鎖脂肪酸の影響があらわれることもわかりました。

発酵性食物繊維が多く含まれるのは穀類、根菜、豆類

発酵性食物繊維にはさまざまな種類がありますが、発酵性食物繊維のひとつである「β-グルカン」は押麦や大麦に、「アラビノキシラン」は小麦全粒粉や小麦ブラン、玄米など、茶色系の穀類に多く含まれます。これらは、主食として食べられることから毎日の食事に取り入れやすいのも魅力です。

そのほか、ごぼうには「イヌリン」、大豆などの豆類には「オリゴ糖」、キウイフルーツには「ペクチン」といった発酵性食物繊維が含まれています。

これらの発酵性食物繊維は、「近位結腸」と呼ばれる大腸の前方部分と、「遠位結腸」と呼ばれる大腸の後方部分で発酵するものに分かれます。近位結腸で発酵する「β-グルカン」「イヌリン」「オリゴ糖」「ペクチン」と、遠位結腸で発酵する「アラビノキシラン」を組み合わせて摂ることが、腸内細菌をバランスよく活性化させるために大切です。


[文/構成:ココカラネクスト編集部]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

青江 誠一郎(あおえ せいいちろう)

日本食物繊維学会理事長/編集委員
大妻女子大学家政学部食物学科教授。 大麦の食物繊維とメタボリックシンドローム予防に関する研究で同学会賞を受賞。著書多数、食物繊維研究の国内第一人者。

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