【年越しそば】約200種類の干し蕎麦を食べた男が選ぶ「干しそばベスト9」〜家そば放浪記番外編〜

今現在、干し蕎麦を食べまくる連載「家そば放浪記」は第197回まで続いているが、まだ記事を書けていないだけで実はもう199まで食べ終えている。

ついに大台200目前。思い返せば様々な干し蕎麦があったな……というタイミングで、ちょうどよく「年越しそば」の季節がやってきた。

よって今回は、年越しそばに合いそうな干しそばベスト9を選出したいと思う。大晦日用干し蕎麦購入の参考にしていただければ幸いだ。

・真に美味い蕎麦は冷でも温でもイケる蕎麦

約200種類の干し蕎麦を「冷メニュー（もり）」食べてきた私が思うのは、干し蕎麦には「冷たい蕎麦の方が合いそうな蕎麦」と「温かい蕎麦の方が合いそうな蕎麦」があるということ。

「冷たい蕎麦のほうが合いそうな蕎麦」は、だいたいが「美味い蕎麦」である。小細工をしなくても、素のままで美味い蕎麦。そしてそれらは、ほぼ間違いなく「温」でも美味い。

逆に「温かい蕎麦の方が合いそうな蕎麦」というのは、厳しい言い方をすれば「シンプルな味勝負になる “冷メニュー” では少し厳しいかも……」というランクの蕎麦になる。

話をまとめると、「美味い蕎麦は冷でも温でもイケる蕎麦」ということになり、それすなわち「家そば放浪記ランキング」上位の蕎麦なら、温かい年越しそばでも◎なのだ。

・ベスト9

蕎麦ウンチクはそのくらいにしておいて、さっそくベスト9を発表したい。もちろん「家そば放浪記ランキング」をベースとしたものになるが、蕎麦を選ぶポイントも書いておくので、是非とも参考にしてほしい。

その1：長野県・霧しな（はくばく）『元祖乱れづくり 木曽路御岳そば』

とにかくこの商品が強いのは、圧倒的な “入手しやすさ” であろう。都内在住である私の感覚だと、たいていのスーパーには置いてある。そして、安いのに美味い！　食感とかも衝撃的。これは温でも絶対ウマイ。

その2：長野県・山本食品『特選そば 十割そば専用工場謹製』

別に『特選そば』でなくても、現在ランキング1位の『十割蕎麦 尾花沢』でも、4位の『十割そば 芯せいろ』でも絶対ウマイ。覚えておいてほしいのは、「山本食品」の「十割」は間違いが無いということである。

その3：福島県・奈良屋『乱切り二八』

山本食品と同じく「このメーカーは間違いない」と私が太鼓判を押すのが、福島県がほこる『奈良屋（ならや）』である。現在ランキング2位の『大内宿場そば』も美味しいが、奈良屋の蕎麦ならどれを選んでも正解だ。

その4：北海道・新得物産『北海道新得 更科そば』

さらに同じく、新得物産もハズレがない。ランキングを見てもらえればお分かりだと思うが、なんと1度もハズしていない。私の中で “干し蕎麦三銃士” といえば、「山本食品・奈良屋・新得物産」の3製造所を指す。

その5：東京都・島田製粉『深大寺そば　東京』

超高級な干し蕎麦でキメたいのであれば、島田製粉の深大寺そばはハズせない。価格と比例するように、文句なしで美味い。いいもん食ってる感ハンパない。さすがは伊勢丹の地下で売られているだけのことはある。

その6：島根県・児玉製麺『白梅とろろ入り 出雲そば』

高級デパートの地下売り場は、美味い干し蕎麦の宝庫である。上記『島田製粉の蕎麦』は伊勢丹の地下だったが、こちら児玉製麺の蕎麦は日本橋三越本店（三越伊勢丹）の地下にて発見。間違いのないセレクトだ。

その7：茨城県・ヤマダイ『手緒里 紫峰そば』

……とか言いつつ、庶民的なスーパーに「エッ！」ってなるほど美味い蕎麦があったりするのも干し蕎麦界の面白いところ。このヤマダイ『手緒里 紫峰そば』は、なんと1食あたり57円と爆安！　なのに唯一無二の存在感。

その8：山形県・酒井製麺所『来迎寺在来蕎麦』

逆に、こちらの蕎麦は1食あたり540円と、いまだ破られてはいない連載史上最高価格。そんでもって、こういっては元も子もないのだが、やはり “高い蕎麦は美味い可能性が高い” のである。迷ったら高いのを選ぼう。

その9：山形県・庄司製麺『山形板そば』

この蕎麦もスゴかった。なにせ「今そこで打ちたての蕎麦を切ってきました」くらいの出来立て感。この干し蕎麦を食べてから、がぜん山形県に興味を持った。いつか行くぞ、山形県。蕎麦を食べに、いざ山形！

──てな感じの干し蕎麦9選。長野、福島、北海道、東京、島根、茨城、そして山形……と、バランスよく地域も分かれているのも面白い。

記念すべき200束目、どんな干し蕎麦をチョイスしようか悩み続ける今日この頃。それではみなさま、よい年越しそばを〜！

執筆：干し蕎麦評論家・GO羽鳥
Photo：RocketNews24

画像をもっと見る