【虹に出会うのは偶然ではない。自ら会いに行くことができる】虹に出会うための3つの方法

2024年2月10日(土)6時0分 ダイヤモンドオンライン

【虹に出会うのは偶然ではない。自ら会いに行くことができる】虹に出会うための3つの方法

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空が青い理由、彩雲と出会う方法、豪雨はなぜ起こるのか、龍の巣の正体、天使の梯子を愛でる、天気予報の裏を読む…。空は美しい。そして、ただ美しいだけではなく、私たちが気象を理解するためのヒントに満ちている。SNSフォロワー数40万人を超える人気雲研究者の荒木健太郎氏(@arakencloud)が「雲愛」に貫かれた視点から、空、雲、天気についてのはなしや、気象学という学問の面白さを紹介する『読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし』が発刊された。西成活裕氏(東京大学教授)「あらゆる人におすすめしたい。壮大なスケールで「知的好奇心」を満たしてくれる素敵な本だ」、鎌田浩毅氏(京都大学名誉教授)「美しい空や雲の話から気象学の最先端までを面白く読ませる。数学ができない文系の人こそ読むべき凄い本である」、斉田季実治氏(気象予報士、「NHKニュースウオッチ9」で気象情報を担当)「空は「いつ」「どこ」にいても楽しむことができる最高のエンターテインメントだと教えてくれる本。あすの空が待ち遠しくなります」と絶賛されている。今回は、気象予報士の太田絢子氏の原稿を特別に掲載します。

雨上がりの夕空にかかる鮮やかな虹の架け橋(写真:荒木健太郎)。『読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし』(荒木健太郎/ダイヤモンド社)P2より

虹に出会う

 雨上がりの空に虹がかかると、とても幸せな気持ちになれます。虹に出会うのは偶然と思われているかもしれませんが、実は虹には自ら会いに行くことができるのです。今回は虹に出会う機会を増やし、より虹を楽しむ方法をご案内します。

その1:天気雨のときは雨雲レーダーを活用

 そもそも、虹は太陽と反対側の空で雨が降っているところに見られる、円弧状の光の帯です。赤から紫までの美しい虹色は、太陽の光によって生み出されます。

 太陽の光は雨粒に入るときと、反射して出ていくときに少し折れ曲がって進みます。太陽の光自体は、赤から紫の色が全て混ざっているため白っぽく見えますが、折れ曲がる角度が光の色によって異なるため、色ごとに光が分かれて虹色になるのです。

 虹に出会うには、雨雲が通り過ぎてすぐに太陽が顔を出すような天気雨のときがチャンスです。例えば、夏に多い夕立や、晩秋から初冬にかけて日本海側を中心に雨や雪が降ったりやんだりする、しぐれのような天気のときにもよく見られます。

 今は気象庁ウェブサイトや民間の気象会社のアプリなどで、雨雲レーダーを簡単にチェックできます。雨雲が通り過ぎるタイミングを狙って太陽と反対側の空を見上げれば、虹がかかっているかもしれませんよ。

その2:雨上がりに太陽光が強くさしてきたら、ダブルレインボーを探す

 よく見られるのは内側が紫で、外側が赤の主虹です。しかし光が強いときには、その外側に色の並びが逆になった副虹が現れて、「ダブルレインボー」になることもあります。副虹を作る雨粒は主虹よりも一度多く光を反射しているため、副虹の虹色は主虹より暗くなっているのが特徴です。副虹に出会いやすいのは、太陽側の空に広がる雲が少なく、太陽の光が強いときです。

 さらに、主虹の内側や副虹の外側には、虹色が繰り返されたような「過剰虹」が見えることがあります。過剰虹は太陽の光が強いときのほか、雨粒が細かく大きさが均一なときに現れます。

 明るい主虹が見えたら、副虹や過剰虹を見逃さないように空をよく観察してみましょう。

虹色が繰り返される過剰虹(写真:荒木健太郎)。『読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし』(荒木健太郎/ダイヤモンド社)P145より

その3:霧が晴れるときは白い虹に出会えるチャンス

 日本で虹といえば「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」の7色で表現されることがあり、カラフルなイメージがあります。しかし、一般的な虹色とは少し異なる虹もあるのです。そのひとつが「赤虹」です。

 赤虹は、朝や夕方に太陽の高さが低いときに見られ、虹色がぼんやりと赤みがかります。ほぼ赤色の虹が生まれるのは、赤く焼けた太陽の光だけが雨粒に入るためです。日の出直後や日の入り直前に天気雨があるようなときは、赤虹に出会えるかもしれません。

 ほかには、「白虹」もあります。普通の虹は雨粒でできますが、白虹は霧や雲の粒でできています。霧の粒でできたものは霧虹、雲の粒でできたものは雲虹とも呼ばれます。白虹を作る霧や雲の粒は、雨粒よりも粒が小さく、光が折れ曲がる際にそれぞれの色に分けられる範囲が広いため、様々な色が重なって白く見えるのです。白虹は地上で霧が晴れる時や山の上、飛行機で雲に入る時に出会えることがあります。

雲や霧の粒が空にあるときにできる白虹(写真:川村にゃ子)。『読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし』(荒木健太郎/ダイヤモンド社)P147より

 以上の3つの方法を知るだけで、虹と出会う確率がぐっと高くなります。ぜひ奥深い虹の世界を楽しんでください。

(本原稿は、荒木健太郎著『読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし』の内容と関連した、ダイヤモンド・オンラインのための書き下ろしです)

太田絢子(おおた・あやこ)
気象予報士・防災士・気象防災アドバイザー
愛知県出身。中学生のころから気象に興味をもち、早稲田大学在学中に気象予報士試験に合格。卒業後は損害保険会社に就職し、交通事故や自然災害に遭った人へのサービス業務に従事。自然災害が多発するなかで、災害の被害に遭う人をゼロにしたいと思うようになり、気象キャスターへ転身。これまでNHK松山やCBCテレビで気象解説を行う。編集協力に『もっとすごすぎる天気の図鑑』『雲の超図鑑』(以上、荒木健太郎著/KADOKAWA)、『読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし』(荒木健太郎著/ダイヤモンド社)、気象監修に『RE:VISION ART PROJECT(気候変動と難民問題の未来を描き換えるアートプロジェクト)』(国連UNHCR協会)などがある。現在はアメリカ・ロサンゼルスに在住。
X(Twitter)・Instagram:@ayako_weather

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