高校無償化、維新が参院選向け成果重視…社保改革の強硬論取り下げ

2025年2月22日(土)7時20分 読売新聞

日本維新の会の前原共同代表(右)と青柳政調会長(21日、国会で)

 自民、公明両党と日本維新の会が21日、高校授業料の無償化を柱とした2025年度予算案の修正で実質合意したのは、維新が看板政策に掲げる「教育無償化」の実現を夏の参院選に向けた成果として重視したことが大きい。最終的に社会保障改革の強硬論を取り下げ、現実的な妥協を図った。

■平行線

 「政調会長間の協議としてはこれで終結だ」

 自公政調会長との会談後、維新の青柳政調会長はこう記者団に強調した。

 維新は自公との3党協議で、高校授業料無償化と社会保障改革を2本柱に位置付け、強気の姿勢で与党側に受け入れを迫った。

 とりわけ、吉村代表は、文案から曖昧な文言を排除し、政府・与党に実施を確約させることにこだわった。過去に度々、政党間合意がほごにされた経験を踏まえたものだ。

 現役世代の保険料負担軽減に関しても、元東京都知事の猪瀬直樹参院議員は、年間で最低4兆円の国民医療費を削減すべきだとする維新の主張の実現を文書に明記するように党内で強く主張した。

 これに対し、与党側は「4兆円の根拠が不明で、文書に書くのは到底無理だ」(自民幹部)と反発を強めた。1月下旬以降、3党協議は断続的に開かれたが、社会保障改革分野の議論は平行線をたどることが多く、衆院当選2回で他党との調整に不慣れな青柳氏は「誰が敵か味方かわからなくなった」と周囲に弱音を漏らすほどだった。

■パイプ

 事態の打開に動いたのは、前原誠司共同代表が水面下の調整を委ねた遠藤敬・前国会対策委員長だった。遠藤氏は、自民党の森山幹事長や財務省幹部らとの独自のパイプを活用し、維新内の地ならしをしつつ、自民側との調整に汗をかいた。

 遠藤氏は、吉村氏に対し、長期的な検討が必要な社会保障改革よりも、教育無償化の拡大という「実利」を優先すべきだと説得。維新は当初、私立高の就学支援金について、「2025年度からの最大63万円」を主張していたが、譲歩し、自公側も「26年度から45万7000円」と金額を明確化することで折り合った。

 医療費削減でも「4兆円」の表現について、維新の主張を引用する形で「4兆円」の数字を「念頭に置く」との表現で決着した。維新は無償化に向けた具体的な手順、財源などを議員立法で定めるプログラム法案も求めていたが、文書案から削ることを受け入れた。

ヨミドクター 中学受験サポート 読売新聞購読ボタン 読売新聞

「無償化」をもっと詳しく

「無償化」のニュース

「無償化」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ