札幌市、無許可開発「ノースサファリ」側に補助金1962万円…「サッポロ割」に園内宿泊施設
2025年3月5日(水)7時25分 読売新聞
ノースサファリサッポロ(1月7日、札幌市南区で)
札幌市南区の市街化調整区域で民間動物園「ノースサファリサッポロ」が開発許可を得ずに20年近く営業している問題を巡り、市が運営会社「サクセス観光」に対し、コロナ禍に伴う宿泊事業者への支援などとして計1962万円の補助金を交付していたことが分かった。無許可開発を始めとする同社の法令違反が相次いで発覚していることを受け、市が返還を求めるかどうかを検討している。
市経済企画課によると、補助金は2020〜23年度に五つの事業で支給。このうち最も多かったのは「札幌市内宿泊促進キャンペーン」の計867万円で、コロナ禍を受けた市の旅行支援事業「サッポロ割」の対象に園内の宿泊施設も選ばれたためだった。
市の担当部署では、同社が都市計画法違反の無許可開発で繰り返し行政指導を受けていたことを把握していたが、旅館業法に基づく営業許可は得ていることから支給対象にしたという。
次いで多かったのは、23年度の「事業再構築サポート補助金」の750万円。中小企業庁が同社に「事業再構築補助金」を支給したことに伴うもので、国からも同社に6000万円が支払われていた。
関係者によると、同社は「動物園のワーケーション空間貸出事業」を提案して事業再構築補助金の対象に認められ、新たな宿泊施設を建設後に補助金を受給したという。この宿泊施設も無許可開発の対象に含まれるため、国と市の公金が違法建築の費用に充てられたことになる。
中小企業庁も返還を求めるかどうかを検討しており、市幹部は「国が返還を求めれば、市も同様の対応を取る」としている。