水中で3Dプリンターが「ミャクミャク」描く、万博ドリンクにX感嘆 サントリー「世界初開発」の技術とは
2025年4月14日(月)20時3分 J-CASTニュース
大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」のイラストを、液体の中に液体で、ロボットが描く──。万博会場にサントリーホールディングス(HD)が出店したカフェテリア「SUNTORY PARK CAFE」のドリンクメニューがXで驚きを集めている。一体どのような技術が用いられているのか。同社に詳しく聞いた。
「水中に直接絵を描けちゃうんだ...」
話題になっているのは、同店が税込み900円で販売しているドリンク「ミャクミャクレモネード」だ。
提供時の動画を、Xユーザー・たかちょ(@takacho_01)さんが2025年4月13日に投稿した。青く照らされたグラス入りの飲み物があり、ロボットアームが注射器さながらの細いノズルを浅く刺し、水中で赤い線を描いてミャクミャクのイラストを完成させている。
たかちょさんは、「大阪万博のSUNTORY PARK CAFEでミャクミャクレモネード頼んだら、その場でミャクミャク様を描いてくれる」「まさかの表面から1センチ沈んだとこに描かれてるんですよ......。まじすげぇんですよ」などと感動を伝えていた。
動画は4万9000件超の「いいね」を集め、Xでは「なにこれ楽しい!」「水中に直接絵を描けちゃうんだ...」「これすごい!液体はトロトロしているのかな?」「どういう技術なんだろ...」などと関心を集めている。
14日にJ-CASTニュースの取材に応じたサントリーHD広報部によると、使用しているのは、飲料中に文字やイラスト、3Dパターンを描画できる3Dフードプリンター「Lidris(リドリス)」。その仕組みを、下記のように説明した。
「この『飲料の中にほかの液体で線を描き維持させる技術』は、物理学を応用したもので、サントリーホールディングスの研究者が世界で初めて開発しました。"キャンバス"となる飲料と"インク"となる飲料との『比重』が同じであるため、インクとなる飲料が沈殿や拡散、混合せずにそこに留まっています」
物理学的には、液体同士の比重が異なる場合、浮いたり、沈んだり、混ざったりする現象が起こるとも補足した。
万博以外では...ダイヤモンドやバラの花といったデザインも
キャンバス飲料・インク飲料ともに「Lidris」専用に開発したジュースで、市販の飲料にはプリントできないという。描画したデザインを維持するため、飲んでもほぼ感じられないほどに、わずかなとろみがあるとも説明した。
先の「ミャクミャクレモネード」はキャンバス飲料がレモネード味で、レモンの爽やかな酸味とほんのりした甘みが特徴。インク飲料はオレンジ風味だが、少量のため、ほとんど感じられないのではないかとした。
一方、機械自体については次のように説明している。
「既存のロボットをベースに、先端に取り付けられているインク飲料の吹き出し部分を開発しました。先端部分は『Lidris』専用に開発しています。Lidrisではノズルの動きと吐出量の精密な連動が実現されています」
万博会場ではミャクミャクのイラストが使用されているものの、ほかに「ダイヤモンド」や「バラの花」など、さまざまなオリジナルの絵柄や文字を描くことも可能。色々なシーンに応用できるようだ。具体的には、結婚式場やイベント会場、エンターテイメント施設などが考えられるとし、「特別な場面でのお楽しみのひとつとして、飲食シーンに彩りと楽しさを与えられれば」とアピールしている。
反響には喜び「願った通りの楽しみ方をしていただいている」
Xの反響は、「飲んで美味しいというだけではなく、ミャクミャクを描いている間も、描いた後も、動画や写真に撮って楽しんでいただきたいと思って開発しましたので、まさに、願った通りの楽しみ方をしていただいているのは、大変うれしいです」と歓迎している。
同社は「水と生きる」というメッセージを統一コンセプトとして、万博に参画しているとし、下記のようにもコメントした。
「わたしたちが今回の万博でいちばんお届けしたいことは『地球の"未来"を想う』ということです。サントリーのパーパスは『人と自然と響き合い、豊かな生活文化を創造し、人間の生命(いのち)の輝きを目指す』。わたしたちは、自然の恵みに支えられ、ものづくりの力を注ぎ、生活文化に潤いや豊かさをもたらすことを存在意義としています。
『SUNTORY PARK CAFÉ』でも、メニューやしつらえのひとつひとつに、美味しくて心地よい飲食体験を、未来にもずっとずっとお届けできますようにという想いを込めて、お客様をお迎えします。ぜひ当店にお立ち寄りいただき、万博での忘れられない体験をお楽しみください」