口座の不正売買、厳罰化を警察庁が検討…詐欺被害金の受け皿・トクリュウも資金洗浄に悪用
2025年4月18日(金)15時0分 読売新聞
警察庁
詐欺被害の急増を受け、警察庁は、被害金の受け皿に悪用されている不正な口座の売買について、罰則の引き上げに向けて犯罪収益移転防止法を改正する検討に入った。口座開設時の本人確認の強化と合わせて、不正売買を抑止する構えだ。
昨年の特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は計約2000億円(暫定値)に上った。7割以上は振り込み送金だった。SNS上では口座の譲渡を呼びかける投稿が絶えず、警察当局は買い集められた口座が犯罪収益の送金先になっているとみている。
実際、口座の不正売買は急増している。警察庁によると、昨年の同法違反(口座譲渡など)容疑の摘発件数は4513件で、前年から約3割増えた。10年前の2014年(1651件)に比べると3倍近くだ。
個人の口座譲渡に対する同法の法定刑は、1年以下の懲役か100万円以下の罰金などで、組織犯罪処罰法の「犯罪収益等収受罪」(7年以下の懲役か300万円以下の罰金など)に比べて罰則が軽い。国会でも対策強化を求める意見が出ており、警察庁は有識者を交えて最近の手口や課題などを分析し、法定刑の引き上げを検討する見通しだ。
不正口座を巡っては、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)が資金洗浄(マネーロンダリング)に悪用していることも判明している。大阪府警などが昨年摘発した決済代行業者は、約500社の法人名義の約4000口座を管理していた。SNSで名義人を募り、実態のない法人を設立して口座開設させたとされる。
警察庁は関係省庁と連携して、法人口座への対策も強める。口座の詐欺への悪用対策としては、オンライン上での開設時に、本人確認を原則マイナンバーカードなどのICチップを活用する方針を決めている。