岡山・愛媛の山林火災、地表火でなく「樹冠火」で拡大か…燃焼に伴う上昇気流で広範囲に飛び火
2025年4月21日(月)16時10分 読売新聞
延焼が続き、煙が上がる山林(3月26日、岡山市南区で、読売ヘリから)
岡山、愛媛両県で3月に発生した大規模な山林火災について、樹木の上部や先端部の枝葉が燃える「
通常の山火事は、地表の枯れ草などが燃え広がる「地表火」にとどまり、火の粉が飛ぶ距離も数十メートル程度と短い。しかし火勢が増すと、樹冠火に発展。燃焼により上昇気流が生まれ、1〜2キロ・メートル先まで飛び火するという。
ニュース映像から分析した東京科学大の鈴木佐夜香准教授は「樹冠火によって広範囲に飛び火したことで、消火が追いつかなかったのでは」と話す。
愛媛大の江崎次夫名誉教授(森林科学)は「山には可燃物がたくさんある状況だった」と指摘する。瀬戸内海沿岸には油分の多いアカマツが分布し、竹林も広がる。マツや竹の葉がたまり、燃えやすかったことも背景にあるとみる。
岡山、松山両地方気象台によると、火災発生の1週間ほど前からまとまった雨が降らず、発生当日の最大瞬間風速は14メートル超だった。
総務省消防庁によると、林野火災は2019〜23年の5年間で年平均1279件が発生し、月別では4月(257件)が最多だった。