万博の通な楽しみ方は「スタンプラリー」…会場内190個のコンプ目指し、通期パスの取得者も
2025年4月21日(月)13時0分 読売新聞
スタンプを押す来場者(大阪市此花区で)=原田拓未撮影
大阪・関西万博で、手軽に持ち帰ることができる思い出として、スタンプラリーが人気だ。会場内には190個のスタンプが設置され、隅々まで万博を楽しもうという来場者の意欲をかき立てている。(山田珠琳)
スマホで保存可能なデジタル版も
スタンプは日本館や企業館、海外館などに設置され、パビリオンの外観や各国の特産品などがあしらわれた多彩なデザインだ。スマートフォンでQRコードを読み取り、画像データとして保存できるデジタルスタンプも併設している。
アフリカやアジア、中南米の途上国など約90か国がブースを設けて展示を行う五つの共同館「コモンズ」は予約不要で、効率的に多くのスタンプを集められる場所として注目されている。
「海外旅行の気分が味わえて楽しい」。コモンズを訪れた愛知県江南市の男性会社員(48)は、表情をほころばせた。2005年愛知万博で全てのスタンプを集め、今回も通期パスで通ってスタンプの制覇を目指すという。
海外客には、初めてスタンプラリーを体験する人もいる。マレーシアの留学生(25)は「マレーシアではスタンプラリーをしたことがない。色々な国のスタンプを集めてみたい」と話した。
「パスポート」は一時売り切れ
会場内の公式グッズ店では、スタンプを集めるためのパスポート(税込み1100円)を販売しており、多くの人が買い求めている。中央に公式キャラクター「ミャクミャク」のイラストが描かれ、コモンズの五館と国際機関館のスタンプを重ね押しすると、背景が完成する趣向もある。
丸善ジュンク堂書店などが運営する会場内東ゲートの店舗では、30〜60歳代の購入が目立つという。東謙児店長(39)は「万博の楽しみ方を知っている世代が買っている印象。(リハーサルの)テストランの時は一時売り切れたこともあり、人気を実感した」と語る。
スタンプの用意が間に合わず、「手書き」で対応する国もある。アフリカ・ガボンの展示ブースでは、スタッフが現地の言葉で「こんにちは ようこそ ガボンへ」と書き、来場者と交流している。
家族で訪れた岡山県総社市の小学1年の男児(6)は「スタッフの人と話せたのが楽しかった」と笑顔を見せた。
展示責任者のアリスティッド・エバン・エソノさん(58)は「これをきっかけに、私たちの国にも興味をもってもらいたい」と話す。
スタンプ製造の大半を手がけるのは
スタンプラリーが国内で広がるきっかけになったのは、1970年の大阪万博だった。
今年創業100周年のハンコ大手・シヤチハタ(名古屋市)によると、当時、朱肉が必要ない「Xスタンパー」を企業パビリオンの一つ、生活産業館に設置。他のパビリオンからも依頼が来て約40か所に増え、来場者間でスタンプを集めて回る楽しみ方が広がった。
2005年の愛知万博でも同社はスタンプを手がけ、開幕当初は50か所だったが、最終的に130か所以上に増設した。大阪・関西万博でも、ほとんどのスタンプを製造している。
70年万博のスタンプを所蔵する天理大付属天理参考館(奈良県天理市)は今月23日〜10月13日、カナダ館、中国館など97点の一部を展示する予定だ。