94歳男性、スキー検定1級に合格…コブの急斜面もリズミカルに「100歳まで滑り続けたい」
2025年4月23日(水)14時0分 読売新聞
合格証を受け取り笑顔を見せる後藤さん(2日、スプリングバレー仙台泉スキー場で)
高度なスキー技術が求められる公益財団法人「全日本スキー連盟(SAJ)」のスキー検定(バッジテスト)1級に、仙台市泉区高森の後藤次男さん(94)が合格した。合格率は3割程度の難関で、90歳代の合格者は極めて珍しいという。スキーと出会って約70年。「100歳まで滑り続けたい」との夢を描いている。(東北総局 小山太一)
1級のテストはスプリングバレー仙台泉スキー場(仙台市)で3月27日に行われ、後藤さんは初挑戦で合格した。スキー検定は1〜5級があり、1級はアマチュアとして最高レベル。パラレルターンで急斜面やコブ斜面などを4本滑り、公認検定員3人が採点する。2023〜24年シーズンは7270人が挑戦し、合格率は35・7%だった。
表彰式は今月2日、同スキー場で開かれ、後藤さんは「自分の娘に見せても『そうなの』という感じだろうけど」と笑いを誘った。その後、ゲレンデに向かい、滑らかで安定感のあるターンを披露していた。
スプリングバレースキースクール代表で、検定員を務めた渡辺淳浩さん(63)は「若者でも怖がるコブ斜面を転ばず、リズミカルに滑る」と称賛する。
後藤さんは宮城県南郷町(現美里町)出身。陸上自衛隊に入隊し、初任地の北海道で訓練の一環としてスキーを始めた。スキーは未経験で、板を付けると平地でも転んだが、8〜9年目には隊内の競技会に出場するまでに腕を上げた。
当時、スキーはあくまでも訓練の一環だったが、自衛隊を退官し再就職先も退職して時間ができた60歳頃に再開。10年ほどのブランクで、滑ることに怖さもあったが徐々に感覚を取り戻した。「(滑り終えると)ストレスがなくなりスカッとする。疲れるけど翌日には滑りたくなる」と話す。
18年には脊柱管
後藤さんは今も自宅近くの公園を1時間ほど約2〜3キロ歩き、腹筋を鍛えるなど体力維持を欠かさない。「スキーの発展と自身の体力の鍛錬にまい進したい」と力を込めた。