北海道の人口カバー率99.8%!東京都民が知らない「最強コンビニ」の名前
2025年4月29日(火)6時0分 ダイヤモンドオンライン
北海道の人口カバー率99.8%!東京都民が知らない「最強コンビニ」の名前
写真はイメージです Photo:PIXTA
少子高齢化による行政サービス負担増と働き手不足で手が回らない今、行政では行き届かない部分を民間企業のサービスが補うケースが出てきている。特に成長途上のベンチャー企業にとっては行政と仕事をすることで「事業の安定性」と「信用」が得られるため力強い支援策にもなるが、その際にお役所特有のズレたビジネスルールが問題になってしまうという。行政と民間企業が協働するために必要な施策とは。※本稿は、古見彰里『公共の未来 2040年に向けた自治体経営の論点』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。
コンビニに来店する高齢者の安否確認を担う「セイコーマート」
北海道全域で個人顧客を対象にサービス展開している企業を2つご紹介したい。1971年創業で札幌市に本社を置くセコマグループ(事業持株会社は株式会社セコマ)は、主力事業としてコンビニエンスストア「セイコーマート」を道内中心に直営とフランチャイズで店舗展開している。一般顧客を会員とする「セイコーマートクラブ」の会員数は567万人以上に上るという(2023年12月末時点)。
人口の少ない地域や離島にも出店し、グループの総店舗数は約1200店舗。人口密度の低い北海道にあって、人口カバー率は実に99.8%。1日の買い物客数は約56万人を数えるというから驚く。
セコマグループは原料生産・調達から製造、物流、小売まですべて自社グループ内で行う「セコマ・サプライチェーン」を構築している。また、クラブ会員の購買POSデータを収集・分析し、新しい商品・サービスの開発につなげている。特筆すべきは、「常連の高齢者が最近買い物に来なくなった」という情報が安否確認にも使えるということ。まさに行政における福祉サービスを民間企業が担っているわけだ。
「生協コープさっぽろ」は家事代行や宅食サービスも運営
もう1社は、同じく札幌市を拠点とする「生活協同組合コープさっぽろ」。道内に100以上の実店舗を構えるほか、北海道宅配シェア1位(2023年同社調べ)を誇る定期配送の宅配サービス「トドック」を通じて、安全・安心を追求した生鮮食品、北海道製造にこだわったプライベートブランド商品などを届けている。
ご承知だと思うが、利用者全員が出資して「組合員」となってサービスを利用するのが生協の仕組みである。コープさっぽろの加入時出資金は1000円以上と負担は軽い(脱退時に全額返金)。1人1000万円まで増資ができ、出資金額に応じて毎年特典がもらえる。現在の出資組合員は約200万人で、道内の81%以上の家庭が利用しているという。加入者1人ひとりが持ち寄るこの出資金を、商品づくりのほか、店舗・宅配事業、小売店舗がない過疎地や買い物困難な高齢者の多い地域を対象にした移動販売車の運営などに生かしている。