北陸 29日は落雷 佐渡は暴風 北アは吹雪も 寒冷渦の影響 温暖化で増える懸念も
2025年4月29日(火)11時32分 tenki.jp
このあと、北陸東部の新潟県を中心に今夜(29日)遅くにかけて大気の非常に不安定な状態が続くでしょう。屋外で活動する際は、天気の急変時に備えて避難場所を予め必ず確保するようにして下さい。雷に関する警報は無く、注意報のみの運用となっていますが、落雷が人を直撃すれば高い確率で死に至るとされています。油断することのないようにお過ごし下さい。
上空には寒冷渦 地上を低気圧が進み大気の状態が非常に不安定
寒冷渦は主に大気の中層で発生する低気圧の一種で、上空に強い寒気を伴っており、地上天気図では表現されにくい存在です。上空の気圧の谷の中で、偏西風が赤道方向へ大きく蛇行する過程で、流れから取り残され、ちぎれて動きが遅くなり渦を巻くように同じような場所で停滞しやすくなったものです。
29日は、上空5500メートル付近には氷点下27度以下のこの時期としては強い寒気を伴った寒冷渦が進み、地上では日本海を低気圧が東進し、下層には暖かく湿った空気が流れ込むでしょう。北陸地方は、29日夜遅くにかけて北陸東部の新潟県を中心に大気の非常に不安定な状態が続く見込みです。
急な強い雨、落雷や竜巻などの激しい突風、降雹などに十分注意して下さい。上空の寒気の影響で、北アルプス方面など標高の高い所では降雪となり吹雪く所もあるでしょう。また、低気圧に近い佐渡では強風となり、暴風のおそれもあり、強い風に注意・警戒して下さい。屋外活動やレジャーの時期ではありますが、天気の急変には注意して、決して無理をしないようにしましょう。
「雷注意報」 警報の運用は無いが 注意報でも油断禁物
雷に関する警報は無く、注意報のみの運用となっていますが、落雷が人を直撃すれば高い確率で死に至るとされています。これからの時期、屋外で活動する際は、「大雨注意報」や「強風注意報」等に加えて「雷注意報」の発表有無も必ず確認しましょう。また、雨雲レーダーや雷レーダー(実況)をこまめに確認すると安心です。
雷の前兆として「急に真っ黒な雲が近づいてくる」「雷鳴が聞こえる」「稲光が見える」といった天候の急変が挙げられます。
開けた平らな場所で、周囲のものよりも自分が高くなると危険です。校庭、テニスコート、ゴルフ場、田畑、河川敷、海水浴場(海上含む)、プールなどに居る場合は直ちに安全な場所に避難しましょう。身に着けている時計、アクセサリー、眼鏡などの金属類を外しても落雷を阻止する効果はほとんど変わりません。
また、軒下で雨宿りせず、建物から4mは離れるようにしてください。高い木の近くでは側撃雷を受ける可能性があります。最上部を45度の角度で見上げられる距離まで離れてください。
30日は天気回復 1日以降 3日・5日などの奇数日がお出かけのチャンス
30日〜5月1日にかけては、移動性高気圧に覆われてだいたい晴れて、行楽日和となるでしょう。1日は、南から暖かい空気が流れ込んで、北陸西部(三県)を中心に25度以上の夏日となる所がある見込みです。この時期はまだ身体が暑さに慣れていませんので、熱中症には十分注意しましょう。
2日は、南北走向の前線が北陸地方を通過する見込みです。西から雨の範囲が広がり、日中を中心に雨が降るでしょう。一時的には雨脚が強まる所もありそうです。
3日の憲法記念日の北陸地方は、弱いながらも高気圧に覆われる見込みです。雲が多めながらも晴れ間の広がる所が多いでしょう。日中は快適な陽気となりますが、紫外線対策をしっかり行いましょう。
4日のみどりの日は、前線が日本海から北陸地方を通過する見込みです。日中を中心に雨が降りますが、天気は早くも西から回復するでしょう。
5日のこどもの日は、日中を中心に概ね晴れるでしょう。最高気温は20度前後の所が多く、日差しの下で快適な陽気となりそうです。
連休最終日の6日は、西から天気は下り坂となる見込みです。北陸東部の新潟方面など、はじめは晴れますが、北陸西部の福井方面では午前中から雨の降りだす所があるでしょう。低気圧の進路や速度によっては予報が変わる可能性もあり、最新の天気予報をこまめに確認するようにして下さい。WEBページを読み進んで頂くと、各自治体毎の天気、当日を含む三日先迄に関しては1時間毎の天気や気温、風の予想もご覧頂けますので、是非ご活用下さい。
温暖化が進む中での寒冷渦 中緯度地域まで南下すると顕著現象が増える?
JAXA(宇宙航空研究開発機構)などの分析チームによると、2024年12月〜2025年2月にかけて、北極海周辺の気温が平年より高かったことなどが影響し、2025年の北極海の氷の面積が、データが残されている1979年以降で、観測史上、最小になったことが確認されました。
北極域で雪や氷が減少傾向にあることは、日本を含む中緯度帯への寒気の吹き出しが長期的には弱まる傾向になるものと考えられます。ただ、ひとたび、偏西風が大きく南に蛇行したり、寒冷渦が大きく南下すると、大寒波に見舞われることがあり、日本でも2025年の2月には、2度の大寒波襲来となったことは皆さまの記憶に新しいでしょう。
北極域で寒気が弱まることは、地球の中緯度帯を含めて考えれば、南北の温度差が縮小することになります。中緯度帯の上空を吹く偏西風の風速は、南北の温度差に比例して強弱を繰り返し、北極域で寒気が弱まると、偏西風の風速が弱まることにもつながります。風速が弱まると、流れの直進性も弱まり、あるきっかけで偏西風が南北に大きく蛇行しやすくなることがあるということです。
寒冷渦の寒気の源は北極域で、上空に強い寒気を伴っています。ひとたび中緯度地域まで大きく南下すると、暖候期であっても、時には低気圧や前線、台風などと相互に影響を及ぼし、大雨災害をもたらす研究もなされています。2024年には、ノロノロ台風の第10号が大きく西廻りに進路を変える一因にもなりました。今後、地上天気図には表現されにくい、言わば「見えざる敵」による影響が大きくなる可能性もあり、注意が必要となりそうです。