ノースサファリ、動物4割すでに別の施設へ…300匹は行き先未定
2025年5月4日(日)8時57分 読売新聞
4月23日の立ち入り調査で帳簿などを調べる札幌市の職員(札幌市提供)
危害の恐れある「特定動物」移動は2個体だけ
札幌市南区の動物園「ノースサファリサッポロ」が9月末までの閉園を発表したのに伴い、市が4月23日に実施した立ち入り調査では、計640匹・頭とされる飼育動物の約4割がすでに別の施設に引き取られたことが確認された。一方で300匹・頭ほどは今も行き先が決まっていないといい、閉園後も多数の動物が園内に留め置かれることが確実な状況だ。
立ち入り調査は、23日の午前10時から約1時間半にわたって行われた。園の運営会社「サクセス観光」は3月末、廃業に向けた飼育動物の搬出状況に関する書面を市に提出。その時点で計210匹・頭の搬出を終えたほか、2025年度中に計95匹・頭の移送を予定しているとも記載しており、今回の調査は報告が事実に即しているかを確認することが主な目的だった。
調査後に取材に応じた市動物愛護管理センターの担当者によると、提出書面の記載自体に誤りはなく、さらに25年度中の移動が予定されていた動物のうち、シマリスやモルモットなど約40匹が搬出済みであることも確認したという。
一方、同社は「29年末までに園内の全施設の撤去を終える」との方針も示しているが、26年度以降の動物の移送計画は明らかにしていない。人に危害を加える恐れがある「特定動物」についても、飼育していた約20種類、計約30匹・頭のうち、これまで市に移動の届け出があったのはネコ科と
園では現在、「最後のゴールデンウィーク 赤ちゃんどうぶつ大集合!!」と題したイベントが開催されている。同社はPR動画の投稿やSNSの更新を続けたり、キツネやフクロウを放し飼いにした新施設をアピールしたりもしており、ある市幹部は「本当に閉園する気があるのだろうか」といぶかしんでいる。
◆ノースサファリサッポロ=札幌市南区の豊滝地区で2005年7月に開業した民間動物園。都市計画法で開発が制限される市街化調整区域内にありながら、市の行政指導を無視して施設の拡張を続けるなどの法令違反が相次いで発覚し、運営会社が今年3月に閉園を発表した。市が違法と認定した園内の建築物は計156棟に上る。