安倍氏は「愛子さまと旧皇族の男子が結婚するのが一番いいよね」と…筑波大ご進学の悠仁さまと愛子さま“それぞれの岐路”
2025年5月9日(金)12時0分 文春オンライン
〈 筑波大へご進学の悠仁さまを揺さぶる“愛子天皇”極秘計画…絵空事ではない? “女性天皇”誕生の可能性とは 〉から続く
「愛子さまに相応しい、Y染色体を持つ旧皇族の青年を」。総理が懐刀に指示し、女性天皇誕生に向けた計画が——。
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「安倍総理は『愛子天皇』の誕生も容認」
実はそれは、決して絵空事などではなかった。ある政権では、愛子天皇誕生に向けた「極秘計画」が、確かに存在していたのだ。
遡ること8年半前の、2016年8月。当時天皇だった上皇が「生前退位の意向」を表明した。皇位が一世代若返り、次の世代を担う男性皇族が悠仁さまだけであることが、改めて浮き彫りになる。それは、安定的な皇位継承の議論の緊急性を、時の政権に突き付けることにもなった。
政権を担っていた安倍晋三首相(当時)は、あらゆる可能性を視野に、皇室典範改正を検討していたという。事情を知る当時の政権中枢が、小誌の取材に初めてこう証言する。
「安倍総理は、皇位継承を途絶えさせないためには、女性天皇、すなわち『愛子天皇』の誕生も容認する考えでした。それほど幅広く、さまざまな選択肢を検討していたのです」
子どもにY染色体を継承させる
ただ、そこには1つ問題があった。保守政治家の安倍氏は歴史上、10代8人の前例のある女性天皇は容認できても、「女系天皇」は受け入れがたいと考えていたのだ。
仮に愛子天皇が誕生したとしても、その子どもには、男性固有の「Y染色体」が受け継がれない。神武天皇以来、男系男子が受け継いできたとされるY染色体をもたない子どもに対し、皇位を継承させるわけにはいかない。つまり、愛子天皇誕生のために皇室典範を改正しても、その子に皇位を継承させられない以上、皇位継承の問題は解消されないのだ。そこで安倍氏は、こんな“禁断の指示”を出した。
「愛子さまに相応しい、Y染色体を持つ旧皇族の青年を探せ」——。
前出の政権中枢が語る。
「安倍総理はこの指示を極秘裏に、杉田和博官房副長官(当時)に命じました。血統が天皇に連なる旧皇族の男系男子と愛子さまが結婚すれば、その子どもも天皇に連なるY染色体をもつ『男系男子』となる。それならば愛子天皇が誕生した後も、男系の子どもが皇位を継承していけるという計画だったのです」
安倍氏のブレーンとして知られる八木秀次麗澤大学教授も語る。
「具体的な動きについてはわかりませんが、たしかに安倍さんとは『愛子さまと旧皇族の男子が結婚するのが一番いいよね』という話をよくしていました。制度設計としては、養子縁組などで皇籍に復帰してからご結婚していただく案や、ご結婚後に事後的にお子さまに皇位継承権を与えられるよう制度を整える案などが考えられるでしょう」
愛子さまのお見合い
密命を受けた杉田氏が調査した結果、旧皇族の賀(か)陽(や)家に年齢が近い男子が2人いることが判明した。当時女子中等科だった愛子さまとの年齢差はそれぞれ6歳と4歳。将来、結婚相手となっても無理のない年齢だ。
旧皇族11宮家のうちの1つである賀陽家。そこに連なる賀陽正憲氏は、学習院初等科以来の天皇のご学友で、後に宮内庁勤務になったことでも知られる。白羽の矢が立ったのは、その2人の息子たちのようだ。一部週刊誌が23年、「御所で愛子さまのお見合いが行われた」と報じた相手でもある(宮内庁は当時、小誌の取材に御所での面会の事実を否定)。
官邸の秋篠宮家への不信感
だが結局、杉田氏が賀陽家に接触するまでには至らなかった。正憲氏が宮内庁から外務省に出向していたこともあり、この件は杉田氏の手から離れ、外務省の管轄に。しかし外務省としてもうまく捌けないまま、頓挫したという。

保守政治家として、男系継承にこだわりを持つと見られてきた安倍氏が「愛子天皇」誕生に向けた極秘計画を企図していたというのは意外な事実だが、背景には不穏な事情があった。安倍氏周辺が明かす。
「当時の安倍官邸には、要望の多い秋篠宮家に対する不信感がありました。秋篠宮家は警備関係者に対して目立たないように求めるなど、かねてより“要求が多い”と見られていた。象徴的なのは16年、NHKで生前退位のご意向が報じられた時のことです」
ご意向について寝耳に水だった安倍氏はまず、「この報道の背景にはどんな構図があるのか調べよう」と口にした。その結果「秋篠宮家がリークしたのではないか」と結論づけた。
「“秋篠宮さまからすれば、生前退位の仕組みを作ってしまえば、兄である次の天皇も存命中に退位し、ご自分に譲りやすくなる。だから生前退位を仕掛けた”というロジックでした。それはただの邪推だったのですが、安倍官邸はそうした穿った見方を持つほどに、秋篠宮家には複雑な思いを抱いていたのです。安倍氏の側近が『将来、皇位を継承するのがあのご一家で大丈夫なのだろうか……』と漏らすこともあった」(同前)
安定的な皇位継承のための議論
安倍政権は20年に退陣し、安倍氏も鬼籍に入った。だが、愛子天皇をめぐる議論は、決して過去のものではない。
「現在、安定的な皇位継承の議論は与野党協議の最中で、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する案や養子縁組による旧皇族の男系男子の皇籍復帰案が検討されている。しかし、これらはあくまで皇族の数を確保するための“弥縫策”に過ぎない。安定的な皇位継承のためには、女性天皇、女系天皇の議論は避けて通れません」(政治部デスク)
鍵を握るのは…
鍵を握るのは立憲民主党の野田佳彦代表だという。
「総理在任中に女性宮家創設のために動いたこともあり、皇室の問題に強い責任感を持っています」(同前)
野田氏は月刊「文藝春秋」(22年1月号)の鼎談でも、こう語っている。
〈最近は国民の間でも「愛子天皇待望論」が話題になっていますが、私はそれも選択肢だと思います〉
〈早急に決めないといけませんね。愛子さまは成人されたのに、「将来、天皇になるのか」「結婚したら民間人になるのか」と全く異なる2つの進路がまだ開かれている状況です。あまりにお辛いと思います〉
石破茂首相も言及
また、石破茂首相も就任前、女系天皇の可能性を排除すべきではないという発言をしたこともある。
「その後、『男系男子で継承されるべき』と転じたものの、女性天皇からさらに踏み込んで女系天皇にまで言及したことがあるという事実は重い。議論が進展する可能性はこれまで以上に高まっています」(同前)
悠仁さまは来春にも成年式に臨まれ、愛子さまと並び、成年皇族として本格的に活動されることになる。“生身の人間”であるお二人の運命を、いたずらに揺るがすことがあってはならない。どのような天皇像、皇室像を望むのか。それは我々に突き付けられた重い問いでもある。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年1月2日・9日号)