現行の50円玉が「11万円」に大化け! 一体なぜ!? 高額になる「お宝」が見つかる可能性は?
2025年5月18日(日)21時5分 All About
2025年4月12日に終了した、「第122回入札誌『銀座』」から、50円玉の落札結果を取り上げます。なんと落札結果は9万8000円(手数料込みで11万4170円)。なぜこのような高額落札となったのか、そのカギは穴のズレ方にあるのです。※サムネイル画像はイメージ
穴のズレ方が激しいほど高額となる可能性大
今回落札された昭和42年の50円玉は、明らかに穴が中心からズレています。少しどころではありません。極端に穴がズレています。現行貨幣ではあるものの、昭和に製造された50円玉や5円玉の中には、こうした“穴ズレ”と呼ばれるエラーコインはごくまれに見られます。年々製造技術は向上していますし、こうしたエラーコインも多くは回収されている可能性があり、現在では見かけることはかなり少なくなったと言えるのではないでしょうか。
特に今回のような極端に穴がズレているコインはマニアの中では重宝される逸品となります。ズレがひどくなればなるほど(中心からズレていればいるほど)価値が高まるのです。そのため、今回の出品物は2000倍近い高額落札となったと言えます。
最近ではコインの鑑定に出すことが一般的となりつつある
もう1つ、今回の出品で忘れてはならない点が、コインの鑑定機関の1つである「PCGS」(Professional Coin Grading Service:世界でも評判の高いアメリカの第三者格付け鑑定会社)から「Mint Error(貨幣を製造する過程で発生したミス)」とエラーコインのお墨付きをもらっているのも、評価を高めている理由であることです。最近では、PCGSやNGC(Numismatic Guaranty Company:1987年に創設されたアメリカの第三者格付け鑑定会社)といった海外のコインの鑑定機関に鑑定を依頼し、本物であること、エラーであること、状態のよさなどを評価してもらうことでコインの価値を高め、その状態を保存することが一般的となってきています。
今回のコインではエラーの評価のほかに、「MS63」と表記があります。俗にMS60〜64に該当するものが未使用評価となります。MS65以上となると完全未使用品です。今回の出品物は63ですので、未使用の中でもよい評価と考えていいでしょう。
おそらく、昭和42年に発行された際にすぐにエラーコインとして発見され保存されてきたのではないかと思われます。一般に流通し使用されている場合にはこの時代のものが未使用評価になるとは言い難いです。そのため、コイン収集家が後にコイン鑑定機関に鑑定を依頼したものではないかと思われます。
こうしたエラーコインは製造年月が新しいものほど数が少ない傾向にあるため、仮に令和時代のもので見つかったらさらなる高額が望めます。おつりをもらった際などに穴ズレエラーコインは探しやすいと思います。めったにないとは思いますが、ぜひ探してみてくださいね。
<参考>
「第122回入札誌『銀座』」 Lot番号:435 50円白銅貨 昭和42年 穴ズレエラー PCGS(MS63)
伊藤 亮太プロフィール
慶應義塾大学大学院商学研究科修了。一般社団法人資産運用総合研究所代表理事。ファイナンシャルプランナーとして、家計・保険等の相談、執筆、講演、大学講師を主軸に活動。大学院時代の専門は社会保障で、経済・金融に関する解説も得意。コイン収集マニアの一面も。(文:伊藤 亮太(株式・ファイナンシャルプランナーガイド))