冒険家・植村直己さんが「俺は本当に疲れ果てた」「本当にアラスカまでゆけるのか」泣き言を綴った日

2025年5月21日(水)13時49分 読売新聞

植村さんの北極圏走破を紹介するパネル。使用したとみられるテントも展示している(兵庫県豊岡市で)

 兵庫県豊岡市出身の冒険家・植村直己さんが30歳代前半で挑んだ北極圏単独走破の冒険を紹介する企画展「冒険者が泣きごとを言って、進んだ日々—北極圏1万2000キロの旅—」が、同市日高町の植村直己冒険館で開かれている。冒険中の出来事や苦労話をパネルで展示。妻・公子さんに送った手紙も並べ、厳しい旅の様子を伝えている。(藤田真則)

 同館によると、北極圏走破は将来の南極大陸横断に向け、経験を積むのが目的で、1974年12月にグリーンランドを出発した。氷が解ける夏はカナダ北西部で過ごし、76年5月にゴールのアラスカに到達した。

 移動手段は犬ぞりだったが途中で何度も犬に逃げられ、植村さんは「茫然ぼうぜん自失した」という。また、犬の食料にするため、3日間かけて釣った魚の大半を野犬に食べられたり、寒さで一睡もできない夜があったりと、過酷な冒険だったことがうかがえる。北極圏で使用したとみられるテントも展示している。

 公子さんへの手紙には「この調子で本当にアラスカまでゆけるのか心配だ」「俺は本当に疲れ果てた」などと泣き言が記され、弱気になっていたことがわかる。

 企画した同館の西谷浩子さんは「GPS(全地球測位システム)もない時代。厳しい環境で旅していたことを知ってほしい。併せて、弱音も吐いていた植村さんの人間らしさも感じてもらえれば」と話す。

 9月30日まで。入館料は高校生以上550円、子ども(3歳以上)330円。水曜休館。問い合わせは同館(0796・44・1515)へ。

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