《埼玉小学生ひき逃げ》中国人容疑者は「別の場所へ移動する」と言って、現場を後にした…事件直後に車が置かれた「建設会社の寮」の謎
2025年5月22日(木)8時0分 文春オンライン
5月14日の午後4時過ぎ。埼玉県三郷市の長閑(のどか)な住宅街で下校中の小学生の列に1台の車が突っ込んだ。
車を運転していたスキンヘッドの男は、剃り上げた頭に手を回しながら車を降り、呆然とする子供に煩わしそうな表情で声をかけた。
「ここは邪魔だから別の場所へ移動する」
片言でそう言い残すと、何事もなかったように運転席に戻り、悠然と事故現場を後にした。
社会部記者が当時の状況を解説する。
「事故に遭ったのは、近隣の小学校に通う小学6年生の児童たちでした。4人が負傷し、うち1人は右足甲を剥離骨折する重傷を負っています。現場には、足から血を流す子供の姿もあった。車から現れた2人の男は通報や救護活動をせずに走り去りました」
逃走の瞬間は防犯カメラなどによってまざまざと捉えられていた。捜査の末、事故翌日には現場から約2キロ離れた民家の駐車場で車両が発見、押収された。
「見つかったのは英国ジャガー・ランドローバー製の高級SUV車『ディフェンダー』でした。オフロード性能が高いモデルで人気もあり、中古車でも1000万円以上の値段がつくことは珍しくない」(同前)

SUV車が停められていた民家は、築33年の木造3階建て。高級車は、事件の前からたびたびこの民家で目撃されていた。近隣住民が語る。
「あそこは東京の建設業者の寮なんです。4年くらい前に一度、アジア系の社長らしき男性が菓子折りをもって挨拶にみえた。5人くらいの外国人の方が住んでいて、自転車で出入りするのを時々見ます。SUVは3月くらいから停まっているのを見かけるようになりました」
建設業者の取引先が取材に応じた。
「事故後、社長から『車に同乗していたのはうちの実習生なんだ』と打ち明けられました。しかし彼は『あんな車が寮に停めてあったなんて全く知らなかった』とも言っていた。発覚後は同乗していた実習生を懇々と叱ったと聞きました」
「彼は実習生ではない」
事件翌日の15日、警察は助手席に座っていた王洪利容疑者(25)を特定し、事情を聞いていた。だがこの時点でも運転していた男の行方はわからぬまま。
建設業者の事務所を訪ねたところ、実習生の1人はこう語った。
「スキンヘッドの男も、ランドローバーも見たことがない。彼は実習生ではない。私たち(実習生)ではとてもああいった車には手が出ませんから」
事態が大きく動いたのは18日、事故から4日後のこと。捜査をしている吉川警察署にスキンヘッドの男が付き添いを伴い出頭してきた。警察は過失運転致傷とひき逃げの疑いで中国籍の鄧洪鵬容疑者(42)を即日逮捕した。
現在配信中の「 週刊文春 電子版 」および5月22日発売の「週刊文春」では、通訳の女性が吹聴していた衝撃の言い分、事件直前にいた中華料理屋店員の証言、近隣住民が明かす鄧容疑者の「本当の暮らしぶり」を詳しく報じている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年5月29日号)