イベント中止でも参加費返金せず、被害額600万円以上か…宮城県が運営会社に行政指導
2025年5月22日(木)10時23分 読売新聞
県が立ち入り検査したハローワールドが入るビル(21日、仙台市青葉区で)
イベントが中止になったにもかかわらず事前に支払った参加費が返金されていないとして、宮城県は21日、旅行業法に基づき、子ども向けに国際交流イベントを企画・運営する旅行会社「ハローワールド」(仙台市青葉区)に行政指導を行ったことを明らかにした。
イベントは、子どもと留学生が英語を使って交流する「国際交流&イングリッシュキャンプ」。参加費は1人約2万7000〜約4万円(税抜き)で、全国各地で開催していた。
県によると、昨年10月以降、台風や最少催行人数に満たないなどの理由でイベントが中止になったにもかかわらず「参加費が返金されない」「問い合わせても電話がつながらない」といった相談が100件以上寄せられているという。
県は今月1日、同社への立ち入り検査を実施。パソコンや通帳の記録などを調べた結果、返金の申し出があった249件のうち支払われていたのは33件のみ。被害額は少なくとも600万円以上に上るという。
9日には、同社に対し全額返金した上で23日までに報告書を提出するよう行政指導した。期限までに対応しなかった場合、業務停止命令などの行政処分も検討するとしている。
村井知事は21日の定例記者会見で「返金トラブルは誠に遺憾だ。無理な営業をした結果、このようになってしまったのではないか」と語った。
利用者憤り「本当に返す気はあるのか」
兵庫県加西市の40歳代女性は昨年末、当時小学2年の娘を今年3月に県外で開かれる予定だったキャンプに参加させるため、ハローワールドに3万30円を振り込んだ。
今年に入り、「最少催行人数に達しなかった」と中止の連絡があり、返金か日程変更のどちらを希望するかを確認する書類が届いた。
しかし、書類にあるQRコードを読み込んだ申請ページの受け付け開始日は日を追うごとに延期が繰り返され、4月下旬に届いた振込先などを記入する用紙には「返金には2、3か月かかる」との記載があった。
女性は「本当に返す気はあるのか。娘が通う学校で配られたビラを見て、教育委員会も後援していたから信用していたのに。信じられない……」と憤る。事前に支払った参加費はまだ返ってきていないという。