「家庭教師のトライ」、オンライン教材に「水俣病は遺伝する」と誤情報…被害者団体が訂正求め削除

2025年5月24日(土)11時47分 読売新聞

環境省

 家庭教師を派遣する「家庭教師のトライ」の運営会社(東京)が、登録会員にオンラインで提供している映像学習サービスの教材で、水俣病が遺伝するという誤った内容の動画と文章を配信していたことが環境省などへの取材でわかった。熊本県水俣市の患者・被害者団体が同省を通じて訂正を求め、23日までに削除された。

 「水俣病被害者・支援者連絡会」と同省によると、文章には「この病気が恐ろしいのは、遺伝してしまうことです。妊婦さんが水俣病にかかり、生まれてきた赤ちゃんまでもが発症することがありました」などと記載されていた。

 4月下旬、連絡会が教材に誤った情報があるとの相談を受け、水俣病を所管する同省特殊疾病対策室に連絡した。同省が5月14日、同社にメールや電話で訂正を申し入れ、19日までに文章が修正されたことを確認した。ただ、動画での表現は残ったままだったため、再度同社に訂正を求めたところ、23日までにサイトのページが削除されたという。

 水俣病は同市のチッソ水俣工場から海に排出されたメチル水銀が魚介類に蓄積され、それを多食したことで発症する脳神経疾患。妊娠した母親の胎盤を通じてメチル水銀を取り込んだ胎児性患者は存在するが、遺伝する病気ではない。

 運営会社は取材に対し、「担当者が不在でわかりかねる」としている。

 水俣病を巡っては3月、熊本県宇城市が配布したカレンダーに「感染症」と誤った情報を掲載する事案も起きていた。連絡会の山下善寛代表代行(84)は「間違いが続けば差別や偏見の助長につながり、被害者の心を逆なでする」と話した。

 同省特殊疾病対策室の担当者は「会社側に誤った情報を載せた経緯や対応内容について詳細な説明を求めたい」と話した。

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