経産省の否定的見解を再考せず、1審より捜査の違法性強まった判決…大川原化工機国賠訴訟

2025年5月28日(水)21時3分 読売新聞

東京高裁

 精密機械製造会社「大川原化工機」(横浜市)の社長らが不当に逮捕・起訴されたとして国家賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は28日、1審・東京地裁に続き、警視庁公安部の逮捕と東京地検の起訴を違法と認定し、東京都と国に計約1億6600万円の賠償を命じた。太田晃詳裁判長は「犯罪の嫌疑が成立するとの判断に基本的な問題があった」と述べた。

 訴訟では、同社の噴霧乾燥機が、経済産業省が定める輸出規制の要件を満たすと解釈した公安部の捜査の是非が問われた。公安部の解釈について、地裁は「経産省に確認しており不合理ではない」としたが、高裁は「規制の趣旨を踏まえれば相当ではない」と指摘。経産省から否定的な見解も示されたのに再考しなかったと問題視し、1審よりも違法性の度合いが強まった。

 判決によると、同社社長ら3人は2020年3月、兵器製造に転用可能だとして輸出規制の要件に該当する噴霧乾燥機を無許可で中国に輸出したとして、外為法違反容疑で逮捕・起訴されたが、21年8月の初公判直前に起訴が取り消された。

 高裁は地裁と同様に、公安部も地検も噴霧乾燥機が規制対象に当たるか追加捜査を行わなかったとし、「逮捕・起訴の根拠が欠如していることは明らか」と判断した。法廷で「(事件は)捏造ねつぞう」などと捜査を批判した捜査員らの証言を「重く受け止めるべきだ」とも述べた。

 同社元取締役に対する公安部の取り調べについても、「偽計的な方法を用いており、違法だ」と認定した。

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